『ザリガニの鳴くところ』

ディーリア・オーエンズ
『ザリガニの鳴くところ』
(早川書房)

頭がまわんない。
心ここにあらずな感じで、何も考えられない。
そんなわけで読み終えてしばらく、ぼーっとしてしまった。

『湿地の少女』に対する偏見。
こういう偏見は過去には国を問わず様々なところであり、そして現在でもまだ残っている。

ちょっと違う気はするけれど、
人種差別の話題が真っ只中の今読み終えたのは何かに引き合わされたようなものを感じる。
偏見や差別から受ける傷は想像以上に深い。
その傷が思考や人間関係に影響を与える。
そして近しい人から拒絶され続けることの傷は想像を絶する。

カイアの孤独。
孤独は人を弱くする。

カイアは一見強い女性のように見えるかもしれないけれど、常に怯えている。
拒絶されることが怖いから、拒絶する。
そう。自分の身を守るためにはそれが1番手っ取り早い。

誰かと生きることで強くなるんじゃない。
誰かを信じる強さがあるから誰かと生きられるんだ。
その強さを得るためには信じられる誰かとの出会いは必要不可欠だけれども。
そして出会えたとしても、信じる信じないは自分次第。
きっと、そこに強さや弱さが現れる。

まぁ、強い弱いってなんか抽象的すぎてよくわからないし、表現方法としてどうなのかなというところはあるのだけど。

でも言えるのは強いからいい、弱いからダメとかそういうことではないよね。
強くても弱くても、どっちでもいい。
というか、そんなことはどうでもいい。
強弱=優劣ではない。

生きる上で何を大切にし、守れるか。
個々で違うそれを認め合うことが成り立つ世の中になりますように。

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