見出し画像

人事担当者の負担を減らす業務効率化のポイントとは

近年、少子化による労働力不足や採用活動の難航により、人事担当者の業務負担はますます大きくなっています。企業における三大資源(ヒト・モノ・カネ)のひとつ「ヒト」の管理・活性化という、企業の持続的な発展に欠かせない重要な役割を担う人事部。企業は人事業務の効率化に積極的に取り組み、人事担当者の負担を減らすことが求められます。

この記事では、人事業務を効率化するポイントとともに、効率化によって企業が得られるメリットをご紹介します。

ますます大きくなる人事担当者の負担

人事担当者の負担が大きくなっている背景には、少子化による労働人口の減少で人手不足が続いていること、有効求人倍率の高まりにより採用活動が難航していることが挙げられます。

以下のグラフは2009年から2020年における有効求人倍率の推移を表したものです。

画像1

2008年のリーマンショック以降、有効求人倍率は1倍を下回る年が続きました。しかし2014年に1.09倍まで回復、新型コロナウイルス感染拡大の影響で減少に転じた2020年を除き、有効求人倍率は順調に伸び続けています。

近年の売り手市場では、求人を出しても応募が集まらなかったり、内定を辞退されてしまったりと、難航する採用活動に頭を悩ませる人事担当者も多いでしょう。しかし、優秀な人材確保のために採用活動に注力したくても、膨大な人事業務に追われ十分なリソースを割けない現状があります。

また、人事業務は紙で運用する業務が多く、そのやりとりが大きな負担になっているケースも考えられます。しかし、ペーパーレス化するにはシステムの導入など従来のやり方を変える必要があるため、効率化したいと思ってはいてもすぐに踏み切れるとは限らないのです。

企業における人事業務とは

企業における主な人事業務には、「人材採用」「人材育成」「人事評価」があります。

人材採用
会社の方針に則った採用計画のもとで、自社に必要な人材を獲得するための採用活動をおこないます。人材採用では、母集団の形成(求人募集)や応募者の管理、説明会の開催、面接の調整など、さまざまな業務が発生します。

人材育成(教育・研修)
自社に貢献できる人材を育成するために、新入社員研修や管理職研修、スキルアップ研修など、従業員の経験や役職、スキルに合わせたさまざまな教育・研修をおこないます。

人事評価
評価基準の作成・運用を取り仕切り、従業員の働きぶりから能力や成果を適正に評価します。従業員が納得できる人事評価には、透明性が高く公平な評価制度が不可欠です。

人事業務を効率化する3つのポイント

画像2

人材採用や育成、評価など、企業の人事が担う役割は多岐にわたります。こうした人事担当者の負担を減らすには、人事業務をいかに効率化していくかが重要になってきます。

ここでは、人事業務を効率化するポイントを3つご紹介します。

1. 全体の流れが把握できる業務フローを作成する
業務フローとは、実際に現場でおこなっている業務プロセスをわかりやすく可視化したフロー図です。業務フローを作成することで人事業務の流れが「見える化」され、どのような流れで業務がおこなわれているのか各部署や担当者同士で共有できます。人事業務の一連の流れを可視化することで業務上の課題や問題点を把握でき、業務効率化のための改善策を考えやすくなります。

また、業務フローとともに人事業務の年間予定を作っておけば、人事が特に忙しくなる時期を把握したり、業務に取り掛かるタイミングや優先順位を判断したりできるため、日々の業務スケジュールが立てやすくなるでしょう。

2. 人事領域のアウトソーシングを検討する
アウトソーシング(外部委託)とは、業務の一部を他社から調達する経営手法です。
矢野経済研究所の人事・総務関連業務アウトソーシング市場に関する調査によると、人事・総務関連のアウトソーシング市場規模は増加傾向にあります。今後しばらくはコロナ禍が市場に及ぼす影響を注視する必要がありますが、矢野経済研究所は「市場のさらなる拡大が期待できる状況にある」としています。

アウトソーシングによって人事業務の一部を外部に任せられれば、人事担当者の負担を大きく減らせるでしょう。ただし、人事業務は取り扱いに細心の注意を払わなければならない仕事が特に多いため、人事領域のアウトソーシングにおいては、外部に任せやすい仕事・任せにくい仕事をよく見極めておく必要があります。

アウトソーサー選びのチェックポイント
アウトソーサーを選ぶ際に確認すべきポイントは次の5つです。
1. トータルコスト
2. 業務スキル・クオリティ
3. スピード感
4. セキュリティ体制
5. 他社での実績
特にコスト面は気になるポイントですが、コストだけで選ぶと”安かろう悪かろう”になりかねません。アウトソーサー選びにおいては、上記のような複数のチェックポイントから総合的に判断することをおすすめします。

3. 人事管理システムを導入する
人事管理システムとは、従業員の配属や役職、評価、給与など、人事業務に必要なデータを一元管理するシステムです。近年はオンライン上のサーバーで提供されるクラウド型の人事管理システムが、低コストかつスムーズに導入できることから主流となっています。

人事管理システムを導入することで、システム上に従業員のあらゆる情報を集約でき、従来は人手をかけていた作業が自動化します。システム管理による作業工数の削減で業務効率が上がり、さらには人為的ミスを防ぐことにもつながります。

人事管理システムには次のような種類があります。
・勤怠管理システム
・採用管理システム
・人事評価システム
・給与計算システム
・労務管理システム
・教育・研修管理システム
・タレントマネジメントシステム
このように人事管理システムにはさまざまな種類があり、システムによって対応業務の範囲が異なります。あらかじめ自社の課題や効率化したい業務を洗い出し、自社に合ったシステムを選ぶことが大切です。

おすすめの人事管理システム3選

人事業務を効率化するおすすめの人事管理システムを厳選してご紹介します。

マネーフォワード クラウド人事管理(株式会社マネーフォワード)

画像3

マネーフォワード クラウド人事管理では、クラウド上に従業員の情報を一元管理し、従業員の入退社や人事異動の手続きを効率化できます。マネーフォワードの他サービス(給与計算・勤怠管理・社会保険申請・経費精算など)との連携も可能です。

2. HRBrain(株式会社HRBrain)

画像4

HRBrainは、人事評価や人材育成、人材配置、組織分析などをサポートするタレントマネジメントシステムです。あらゆる人材データを「見える化」し、企業が抱えるさまざまな人事課題を解決へと導きます。

3. SmartHR(株式会社SmartHR)

画像6

SmartHRは、従業員の雇用契約や入社手続きを効率化する労務管理システムです。個人情報の入力は従業員本人へ依頼するため、ペーパーレス化とともに人事担当者の業務負担を大幅に減らせます。役所への電子申請にも対応し、ワンクリックで申請が完了します。

人事業務の効率化で企業が得られるメリット

人事業務の効率化は人事担当者の負担を減らし、生産性を高める効果が期待できます。
それでは、人事業務の効率化に取り組むことで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

時間的・人的コストを削減できる
既存の人事業務が効率化すれば、人事担当者の時間的・人的コストを減らせます。

全体的な作業時間が短縮することで「ヒト」しか対応できない非定型業務にリソースを割くことができ、新たな人事施策を考える時間に充てられるでしょう。また、適正な人員の確保によって人件費を削減できれば、その分のコストを新しいビジネスの投資に回せるようになります。

採用活動の質が向上し優秀な人材を確保できる
優秀な人材を確保するための採用活動は、企業が持続的に発展するためには欠かせない活動です。労働人口が減少し採用活動が難航しがちな今、自社が求める人材を探し出すために、企業は質の高い採用活動をおこなう必要があります。

採用活動では、採用計画の立案から採用手段の選択、応募者の選定・面接、内定者フォローに至るまでさまざまな業務が発生します。人事業務の効率が上がれば、人事担当者の業務過多を防ぎながらも、多くの時間とコストがかかる採用活動に十分なリソースを割けるようになるでしょう。しっかりと準備し質の高い採用活動が実現すれば、自社にマッチする優秀な人材の獲得につながるはずです。

従業員のモチベーションが上がる
人事評価システムを導入することで透明性が高く正当な人事評価ができ、人事部のみならず従業員全体のモチベーションアップに効果的です。

人が人を評価する人事評価は担当者の主観が入り、人によって評価に偏りが生じる可能性があります。そうなると公平な人事評価とはいえず、従業員は納得感が得られないことで仕事のモチベーションを下げてしまうかもしれません。

一方、人事評価システムは主観に左右されず客観的な評価が可能です。人事担当者の業務負担を減らすだけでなく、従業員に不満を与えない公正な評価をおこなうための手段としても活用できるのです。

まとめ

企業の人事担当者が担う役割は大きく、人事業務は多岐にわたります。業務過多な現状を見直し人事担当者の負担を減らすには、人事業務の効率化が欠かせません。

人事業務の効率が上がることで、企業は時間的・人的コストの削減や優秀な人材の獲得、従業員のモチベーションアップといったさまざまなメリットが得られます。企業のさらなる成長と発展を目指し、人事業務の効率化に取り組みましょう。

画像6

※本記事は、PULSE AIメディアのコラムの転載となります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?