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まずは何よりも、完結させてみよう。

 noteを読んでいただきありがとうございます。今回は、小説を書いてみよう。の完結編です。前回のものはこちらから。最初のものはこちらから。
それでは、どうぞ。

 その日の晩飯を早々に平らげ、ストロング缶で胃へと流し込み、自分の部屋に閉じこもった。そして、転職サイトの求人広告を見ては、毒を吐き、動画の再生履歴から、新しい動画を見ては、 「いるいる、こういううっとうしい上司にモチベ高い迷惑な同期。」 と自分の中で消化しきれない怒りをスマホの画面にぶつける。
 そんなことを小一時間繰り返していると、部屋の外から、 「早くお風呂に入ってきなさい。」 と母の声が。 風呂の中でも、ぶつくさ独り言。早々に風呂からも出て、部屋の中に戻ろうとすると、姉とぶつかりそうになった。 「ちょっと、危ないじゃない。謝るくらいしなさいよ。」 姉は珍しく突っかかってきた。 「っるせーよっ」 小さく言い返す。 「何があったかは知らないし、知りたくもないけど、あんた、前は可愛げがあったけど、今は、何にもないし、ただただ、醜い。人を馬鹿にするのもいいかげんにしな。」と姉にここでも、説教をくらってしまう。
 「うるせーよ、何かあったらどうだって言うんだ!安い給料で休みもほぼない仕事しかつけないヤツに説教なんかされたかないよ。前に将来の事とか考えてないん?って言ったことあったけど、何にも考えてないから、そんな、安い給料で誰でもなれるような職業にしかつけないんだよ、クソが。何が、その時になってみないとやりたいことなんかわかんない。だ。何にも考えてないから、そんなことしか出来ないんだろ?」と吐き捨ててしまった。
「なんだよ、僕が羨ましいからみんな嫉妬してんのか?それとも、能力がないから、うぬぼれんなってか?」 僕は心の中で、そう続けようかと思ったが、姉が、物憂げそうな顔をこちらに向けてきて、やるせなくなり、姉をにらみつけて、部屋に戻っていった。 
「こんな場所、さっさと出てってやる。僕は組織で仕事するのは向いていない!やっぱり、起業するしかないんだ。」 と野望を口に出しても、それは、ただの虚勢にしか聞こえない。自分でもそうしか思えない。
 昔からそうだ。僕は、口ではデカいことを言っても、結局のところ行動しない。思っているだけで、何か批判されることが怖い。
 今日だって、上司にも言われたことは説教でも何でもないし、むしろ助言である。同期の女の子だって、こういうことをしているよっていう報告にしかすぎない。
 姉にも、今のままだとやばいよ? と忠告されているのに、感謝すらしない。もっといえば、母に晩飯を作ってもらったり、風呂へ呼びかけてもらったりしているのに、ありがたいとも思わない。
 自分の部屋だって、そうだ。父が、母や、姉、もちろん自分のためを思って建てた家であるのに、その家があることを当たり前だと思っている。
 そんなヤツが、起業したってすぐ潰れるに決まってる。それに、人の末路や、悪いところを見て、面白がっている場合ではない。むしろ、何かに挑戦をしている姿に関心すべきなんだ。失敗がその人にとって絶望であるとは限らない。成功したから、本当に幸せかと言われたら、そうでもない。「僕は、どうしてしまったのだろうか。ストロング缶が今頃になって効いてきたのだろうか。」 とベットの中で目を閉じながら、今日一日のことを回想していた。さっきの仏頂面が嘘みたいに、顔の緊張が取れていった。
 明くる日、目覚めは最悪だった。ストロング缶が効いていたのは間違いなさそうだ。朝、歯を磨いた後、ダイニングに向かうと、姉といっしょになった。 「昨日は、ごめん。」 と小さく姉に声をかける。 「なーにっ、かわいいところまだあるじゃない、あんた。何があったかは知らないけど、能力や学歴よりも、まずは感謝の心を忘れんなよ。」と、また姉から説教をくらってしまった。
 その後、私、今、美容師やってるけど、学生の頃、いろいろ悩んで、ロングからショートヘアにどうしても変えたくなったの、施術が終わって、鏡で自分の顔見たら、なんか、自分じゃないみたいに思えたの。いい意味でね。」 そしたら、美容師さんに 「前より明るくなりましたね。」 ってぼそって言われてね。そしたらスーって悩みが消えていったの。その時に、ああ、小さなきっかけで、考え方って変わるんだなって思ったわけよ。それで、その時に、なんかカッコいいって思った美容師にあこがれたってわけ。と続けて姉の想いを聞いた。
 僕の、心の中の邪悪な部分が、少しずつ消えていく気がした。コーンスープを流し込み、家を出る。
 出勤した後に、上司に、「おはようございます。昨日はありがとうございました。」と伝えに行った。そしたら、「どうした、お前?酔っぱらってんのか?」って。酔っぱらってはいるけど、嫌な酔い方じゃない。 「森田、また、プラン練り直して、寝てないっていうから、お前も手伝ってやれ、それか、寝た方がいいぞ!って伝えてやってくれ。」 続けざまにこういわれたので、小さくうなずいてみた。言われたことはきちんとやる。僕の信条だ。すぐに、森田のもとへ向かい、さっきの上司の言葉を伝える。すると森田から、 「私、このままでいいのなあ」 って相談された。僕は、「そのままでいいし、行き詰ったら誰かを頼ればいいんじゃない?一人じゃないんだし」ってそっけなく返した。すると、「そうだよねー、ありがとう。朽田くんって冷ややかな人だと思ったら、優しいとこもあるんやね。」って。大きなお世話である。そうこうしているうちに休み時間だ。僕は、ハンバーグ定食とコーヒーを注文した。あんまり覚えていなかったが、思い出した。昨日の晩飯と同じメニューだ。余談かもしれないが母の得意料理だ。
 スマホを覗くと、「次の動画を再生しますか?」と問われた。迷いなく、僕は「しない」をタップして再生履歴を全て消した。休憩時間を終え、午後の仕事へと向かう。どんよりとした曇り空から、日差しが少し見えた気がする。

 

感想

 小説を読んでいるときには、意外と簡単に書けるんじゃないか?なんて思ったりもしましたが、全然書けませんでした(笑)見返したりすると、うーん、この表現は、どうなんだ?うーん、なんか、何言ってるか分からないな。とかいろいろ思ってました。正直、全然ダメなものだと思います。でも、書いてるときはすごい楽しかったです。それに、完成させたときの達成感は、何ともいえないものでした。
 最後に、この小説を書いて、将来が一夜にして変わる!なんてことは思ってませんし、多分、誰にも読まれないだろうし、単なる自己満足で終わってしまうでしょう。
 ただ、楽しいと思えたことは事実なので、これからも、こういった活動は続けていこうと思います。あと、もし読んでくださる方がいたなら、アドバイスを下さるとうれしいです。励みになります。
 そういえば、タイトルが決まってなかったですね。「日差し」にします。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。



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