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入学と春

晴れて第3期研修生となることが出来た私は2008年4月3日、肩で風を切ってに高尾に向かいました。この日は入学式です。

と、ここで13年も前の話を覚えているのか!?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、もちろん覚えていません。なんなら2週間前の事もあまり記憶にないです。

当会の研修生制度では毎日の研修を受けて「研修日報」というものを書きます。研修は週に4日、卒業までのすべての日(外部研修は除く)に日報を書いて職員へ提出します。この研修日報が訓練センターに保管されているので、それを見返しながらどんなことをやってきたのかをお伝えしようと思います。

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研修日報 なぜ赤い羽が付いているのかは不明


入学式

高尾駅から日本介助犬協会の貸しビルまで歩いて10分くらい。桜が・・・という記憶はないですが、気持ちは春といったところでしょうか。

施設の前で女性が中に入っていくのが見えました。3次審査のディスカッションで同じチームだった山口です。「あ、あの人(名前忘れた)も合格したのか、おめでとうございます」と心の中で思いました。「まぁ俺もなんですけどねー!」と浮かれていたのは内緒にしておいてください。

式では当時の理事長からご挨拶、髙栁事務局長(現専務理事)からのご挨拶をいただき、新しい研修生6名へ黄色と青の介助犬ケープが手渡されます。第3期研修生としてのスタートの日でした。


研修生の1日

毎日同じことをするわけではないのですが、一般的な1日のイメージです。

8:30 朝礼に参加

9:00 施設内清掃

10:00 研修(実技や講義など)

12:00 昼休憩

13:00 研修(犬舎管理や実技、講義など)

16:00 終礼に出て研修修了

ざっくり書くとこんな感じですが、毎日カリキュラムが違うのであくまでイメージくらいに見てください。そして終礼後に研修日報を仕上げて職員へ提出し、帰宅するという流れでした(と思います)。

研修日報には「週目標」「今日の課題(目標)」「内容(時間ごとに)」「本日最も学んだこと」「感想や改善点など」の項目があります。毎日何かを学ぶというのは大変そうに感じますし、「そんなに毎日書くことないだろ」と思われる(思っていた?)かもしれませんが、「今日は何を学んだか」を意識していると意外と書けるものです。最後の日まで結構びっしり書いてあるなと今見ても驚きます。要はやる気と姿勢ですかね。


春(4月~6月)

入学式が終わるとすぐに様々なカリキュラムが始まります。入学初日からグルーミング(ブラッシング、爪切り、耳掃除、シャンプーなど)の講義、ノートの隅には「難しい・・・」の文字が書いてありました。

「何気ない流れの確認は出来るが、何をしたらよいかがパッと思い浮かばず聞いているような状態。自分で考えられるようになるまでもう少し時間がかかりそう」

こんなことが殴り書きされていました。

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初日の日報より


補助犬育成団体さんとの関りも当時からありました。翌4月4日には研修生全員でご挨拶に伺っています。研修の1年間を通して共に学び、今でも交流は続いています。

そして毎週水曜日と月に1回の木曜日は外部講師の先生からトレーニングやインストラクションについて学ぶ日です。許可はまだ頂いていないのでお名前は伏せますが、毎週八王子まで遠路お越しいただき、午前午後とレッスン三昧。お昼に近くの定食屋さんに先輩や講師の先生方と食事に行くのが定番でした。

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Stayとセトルダウンのレッスンの様子


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いくら可愛くともセトルダウンの練習ではハンドラーが反応してはいけません。
私たちの反応が犬にとっての報酬になってしまうかもしれないからです。


今、研修日報を見てもお腹いっぱいになるくらい、本当に毎日が全力でした。犬たちのこと(グルーミングなトレーニング)やトレーニングを見学させていただいたり、研修生レッスン(外部講師による)、他協会での授業参加、啓発の研修、講義受講などなど・・・

何となく落ち着いたかなと思えるのは6月末くらいからです。それまではとにかく走って走って走ってと言うような感じでしょうか。

そしてすべての講義やレッスンなどが終わるとそれぞれ報告書を提出します。実際、講義中やトレーニングレッスンは本当に楽しいのですが、書ききれない報告書が溜まりに溜まってどんどん苦しくなってくるのもちょうどこの頃ですね。

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研修生6名で書いた報告書の一部が残っていました。重すぎ


そして、6月には1回目の定期試験がやってきます。研修生制度では年に4回(6月、9月、12月、2月)の試験があります。主に筆記と実技に分けられ、今の学習状況などを確認するのです。

筆記試験は主に福祉に関する問題や補助犬に関わる問題が出題されます。大体の平均は60~80点くらいでしょうか。優秀な人は90点以上出します。私は確か86点くらいだったような・・・割とよく出来たほうです。最初だけは。

実技試験はというと外部講師の先生からの出題で、その時々で変化します。レッスンの進行具合にもよるので、簡単でもダメですし難しすぎてもダメ。そして、私たちは犬たちとトレーニングするだけでなく、インストラクションつまり人にそれをどう伝えるか?という部分にも着目しています。実際に犬たちとの動きが素晴らしくても、それが個人の感覚によるもので人に説明できなければ評価は半減。

これが本当に難しかったのを覚えています。動きで課題を上手にできてもこれをどのように?をわかりやすく説明するにはさらに突き詰めなければなりません。説明は自分がどうするかではなく相手にどう伝わるかですから、「説明をもっと簡潔に」「相手にポイントが伝わっていない」など色々とアドバイスを頂きながら1回目の試験は終わりました。



今回はここまで。春夏秋冬と最終話という形でやっていきたいのですが、1回の文章量がまたもや多くなってしまいました。また次回もご覧いただければ幸いです。

介助犬1組の育成には240万円~300万円ほど費用がかかります。 みなさまのご支援をよろしくお願いします!