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令和3年度土木学会全国大会/研究討論会一覧(初日)

土木学会事務局です。

令和3年度全国大会での研究討論会は、9月6日(月)、9月7日(火)の二日間で開催します。今年はVimeoを使ってのオンライン配信です。土木学会の対象とする様々な調査研究分野から21件の討論会が開催されます。
この記事では初日9月6日に開催される12件の研究討論会についてご紹介します。

研究討論会は、一般の方も視聴いただけます。参加登録不要でご覧頂けますので、気になるテーマがありましたら、どうぞお気軽にご視聴ください。

1)突発大災害にレジリエントな地域社会の構築と建設技術者の役割

南海トラフ地震のような広域大災害が発生した場合、あるいは感染症などが複合する地震災害が突発した場合、域外から多数の人や物の応援を得てインフラ施設の早期復旧を図ることは困難である。地元自治体と建設業の技術者そして住民が連携し、地域の災害対応力をより効果的に結集して災害復旧に当たる必要がある。そのような観点から2016年熊本地震で被災した自治体のインフラ施設の応急復旧を題材に、建設業の自主出動や事故補償、BCPとBCMの実効性、住民参加による地域管理などを議論し、災害に対して自立的でレジリエントな地域社会の実現に向けて建設技術者が果たすべき役割を明らかにする。

共催:
地震工学委員会 熊本地震における建設技術者の応急対応調査小委員会
安全問題研究委員会

2)2050年ゼロカーボンシティの実現に向けて

2050年にCO2を実質ゼロにすることを目指す旨を首長または地方自治体として公表された地方自治体(ゼロカーボンシティ)が急速に増えており,2021年7月1日時点で416自治体(人口で1億1,090万人)となっている.見直しが進みつつある国の地球温暖化対策計画,エネルギー基本計画の動向を見据えつつ,各自治体でも地球温暖化対策実行計画等の見直しを進めているところではあるが,ゼロカーボンシティを実現させる具体的な政策については必ずしも十分に見通せていない.本研究討論会では,国内外の政策動向,自治体が直面している課題等について事例を共有するとともに,環境システム研究が果たし得る政策立案へのインプットについて討論を行う.

主催:環境システム委員会

3)プレハブ・プレキャスト工法で創られる未来の社会インフラ像とその課題

労働者人口の減少、働き方改革、環境負荷の低減をはじめとする日本社会の課題に加えて、土木分野では社会インフラ整備における持続的な質の向上が求められている。新たな時代の建設において多様化する制約条件やニーズに対して、プレハブ・プレキャスト工法の施工における自由度と複合構造の設計の自由度の組み合わせは有効な一手である。本研究討論会では、プレハブ・プレキャスト工法を用いた国内外の各分野の事例を通して、計画、設計、製作・施工、維持管理のステージにおけるプレハブ・プレキャスト工法のメリットとデメリット、および課題をディスカッションし、未来の美しい社会インフラの実現に繋げていく。

主催:複合構造委員会

4)3Dプリンティング技術を活用した構造物構築に関する現状と展望

3Dプリンターによる構造物の構築技術は、国外においては一部実用化が進み橋梁や住宅などの実施工に活用されており、その施工方法から、従来までと違った斬新なデザインなどを踏襲した構造物が建設されはじめている。一方、国内においては、一部の機関において試験的な3次元造形や各種試験等の報告がなされているが、実構造物への適用に対しては解決すべき課題が多い。本討論会では、海外の現状や国内の現状、課題を踏まえ、今後の日本において3Dプリンティング技術を活用した構造物に関する展望を材料や構造、設計やデザインなど多面的な視点で議論する。

主催:コンクリート委員会

5)災害レジリエンスの構築に向けた分野・部門間協働や意思決定に対し、COVID-19はどのような影響を与えたか?

How COVID-19 affected Trans-disciplinary Approach (TDA) and decision making on building disaster resilience?

アジア土木学協会連合協議会(ACECC)の21番目の技術委員会であるTC21は、産官学民連携をはじめとする分野・部門間協働(Transdisciplinary Approach: TDA) により、災害に強い社会づくりに貢献することを目的として設立された。本セッションでは、ACECC加盟各国からパネリストを招き、コロナ禍における最新の災害対応や防災対策の事例を報告いただいた上で、New-normalにおける災害レジリエンスに向けたTDAの在り方について議論を行う。なお、本セッションは基本的に英語で行われるが、発表には日本語字幕をつけるほか、パネルディスカッションでは適宜日本語で補足する予定である。

主催:ACECC TC21国内支援委員会

6)ニューノーマルな社会における市民合意形成

近年、様々な社会・地域課題に対して、官民連携による地方創生の取り組み、IoT・ビッグデータ・AI等のICTを活用した超スマート社会への対応や、現在の新型コロナ危機の影響によるニューノーマルな社会への対応等、新たな社会変化に対応したまちづくりが求められている。特に、ニューノーマルな社会では、人々はより多様化したつながり(ニューコミュニティ)を形成し、さらには多様な働き方などの社会の仕組みの変化と融合して、新しい地域社会(ニューローカル)を形成していくものと考えられる。
本研究討論会では、このような社会変化を前提に、ニューノーマルなまちづくりに着目した市民合意形成のあり方や課題について、議論を深めてみたい。

主催:コンサルタント委員会 市民合意形成小委員会

7)土木分野におけるDXの展望

土木分野において、近年ICTを活用した無人化、省人化施工技術が実用化され始めている。また、BIM/CIMを用いた計画・設計段階から施工・維持管理段階までの3次元データ連携が進んでいる。このようなデジタル技術を活用し、業務そのものや組織、プロセス等を変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが推進され、実現段階に来ている。本討論会では、土木分野の産官各分野のDXの現状について紹介し、将来展望について取り上げる。

主催:建設技術研究委員会

8)1F事故廃棄物・汚染廃棄物対策及びL3廃棄物処分方策の調査報告

東京電力福島第一原子力発電所(以下、1F)事故から10年が経過し、これまで事故後の緊急時対応、汚染水対策や事故廃棄物対策等が、また福島県内では除染廃棄物等への様々な対策が講じられており、土木技術分野でも様々な取り組み等がなされてきた。一方、国内の原子力発電所では廃止措置されることとなった原子炉が令和3年6月末には24基となり、今後、極低レベル放射性廃棄物(L3)の処分方策を各発電所の状況に応じて検討する必要がある。エネルギー委員会では、1F事故廃棄物や除染廃棄物に対するこれまでの取組み状況、またL3廃棄物処分方策に係る調査検討を行って来ており、本研究討論会では、これらの調査活動状況と成果の概要を報告する。

主催:エネルギー委員会

9)BIM/CIM導入により見えてきた建設生産性向上の課題と方向性

2023年、完全BIM/CIM化に向けて建設に関わる各プロセスで積極的に3Dモデルの導入が図られているが、その中で見えてきた課題を共有するとともに、課題解決の方向性について討論する。立場・関与する建設プロセス・対象構造物 が異なる人が感じている「現状におけるBIM/CIMの課題」を本音で語る、熱い討論にご注目下さい。

主催:土木情報学委員会
 三次元モデルを活用した建設生産性向上研究小委員会

10)鋼構造分野の魅力、将来展開、可能性について

鋼構造分野では、これまで座屈・耐荷力、耐震、維持管理、非破壊検査等、幅広い課題に対して研究・開発が進められ、新しい構造の実現や持続可能な社会への貢献等、多くの成果が示されてきている。今後、これらの成果を受け継ぎ、さらに発展させていくためには、次世代においても魅力のある分野であることが重要である。本討論会は、鋼構造分野の魅力について様々な視点から議論をするとともに、今後の可能性や展望について情報や方向性の共有をすることを目的として、企画・実施するものである。なお、本討論会はウェブアンケート等を活用したリアルタイム参加型での実施を予定している。

主催:鋼構造委員会

11)新しい木質材料 CLTの床版利用を考える

直交集成板(CLT)の普及は、国産木材の新たな用途と需要の拡大につながると期待されており、政府が示すロードマップに沿ってその製造や設計に関する基準類、生産体制が整備されつつある。2019 年のCLTの年間製造量はおよそ15,000㎥となった。製造開始からこの間、建築分野での利用が推進されてきたが、今後さらに消費拡大を目指すためには他の分野への活用研究が必須である。ついては、土木分野での需要の拡大を目的として橋梁の床版等への用途を考える。木質材料特有の軽さや加工のし易さを活かした国内外のCLT床版の採用事例や試験研究などの取組について話題提供を行い、現状の課題について検討する。

主催:木材工学委員会 木橋研究小委員会

12)原子力安全に係わる分野横断の壁の現状と打開の方向性

原子力土木委員会では、土木工学/電力土木分野に限らず、理学/建築学/機械工学/社会学の専門家にも幅広く参画いただき、分野横断で情報を共有し、社会に問い掛けている。本討論会では分野横断に係わる次の4つの壁について、関連委員から各壁の現状や打開状況について述べてもらうと共に、参加者と議論し、各壁の打開程度の確認や今後の方向性を確認する。

(1)自然科学における理学と工学の壁
(地震ハザード認識論的不確実さ評価SSHACの取扱い)
(2)工学における土木・建築・機械・電気・安全という関連技術間の壁
(3)プラント生涯における設計とリスク評価の壁
(4)自然科学と人文社会科学の壁(リスクコミュニケーションの観点)

主催:原子力土木委員会

お昼休みには

合間のお昼時間には、土木広報センターがYouTubeチャンネル「土木学会tv」でお送りするスペシャル番組「江戸から東京へ! 首都圏の発展を支えたインフラ-」をお楽しみください。

研究討論会二日目

二日目の研究討論会の内容は、以下のnoteでご確認ください。

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国内有数の工学系団体である土木学会は、「土木工学の進歩および土木事業の発達ならびに土木技術者の資質向上を図り、もって学術文化の進展と社会の発展に寄与する」ことを目指し、さまざまな活動を展開しています。 http://www.jsce.or.jp/