ふくろう多門のビデオレター No.6

ふくろう多門のビデオレターでは、「土木グローバル化」をキーワードに、会長プロジェクトの活動、「ふくろう多門の土木対談」の内容紹介などを紹介しています。
第6回は、国際コンクリート連合(fib)の会長の春日さんとの対談に関する内容を中心にお送りします。

上田会長に直接に意見や質問ができる「多門に多聞&多問」を開設しております。ぜひ皆さまからのご意見、ご質問をお寄せください!
https://committees.jsce.or.jp/chair/node/59

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皆さんこんにちは。6回目のビデオレターをお送りします。

先日、国際学会である国際構造コンクリート連合(fib)の会長の春日さん-春日さんは三井住友建設副社長でもあります-と対談を行いました。

春日さんはアジアでは珍しい国際学会の会長です。国際学会、多くの国際学会は設立の経緯や活動度から欧米から会長が出る場合が普通です。そういう意味ではアジア、その中日本からの会長という意味では特筆すべき例であると考えています。

また春日さんは学会という場で、会長なんですけれども、大学関係者ではないんですね、民間の技術者であり、これは国際的な技術者としての資質・活躍がその学会の場で高く評価された結果であると思います。

対談におきましては、春日さんが具体的に世界で高く評価されるコンクリート技術をいろいろと紹介していただいております。そういったことは示されておりますのでご覧いただきたいと思います。こういった春日さんとの対談からですね、

若い土木技術者にとっての素晴らしい良いモデルを示していただいたのではないかと考えています。春日さんがこの対談を通して指摘された、土木もしくは土木学会の課題として次の重要な2点を示していただきました。一つ目は日本の土木技術者、もしくは研究者はもっと英語で成果を公表する必要があるという点です。

2点目は日本での土木技術や作品に対して、そういったものにいろんな賞は与えるんですが、その受賞者としてもっと個人名を出すべきである。この2点が私は非常に大きく強く印象に残りました。1点目のですね、英語で成果を公表するべきだという点に関しましては、非常に面白い話を伺うことができました。

実はコンクリート強の技術として有名な、フランス発と言われている、波型Web橋というものがあります。我々としては1980年代にフランスの技術者が発明した、もしくは世界に公表した素晴らしい技術として知られてるところなんですが、実はその20年前、つまり1960年代に日本の技術者、大学の構造分野の先生なんですが、日本語で同じ技術を公表してるということが春日さんの話からされました。

で、なぜその技術が世界で知られていなかったか、それは明確でありまして、日本語での公表しかしていなかったからですね。これは非常に重要な点で、日本語でしか公表していないとそういうことが起こるということです。逆にですね日本語だけじゃなくて英語でも公表された昔の著名な先生がいます。私のコンクリート分野の先生ですが、英語で公表したために、今でも多くの英文の部分論文の中で後藤クラックという言われ方をして参照されています。

非常に引用回数の多い論文であります。これもですね、英語での公表がいかに重要であるかを示している顕著な例であります。と次にですね、春日さんが日本が海外展開すべき土木技術として、具体的に二つを示していただきました。

一つ目が、大きいテーマなんですが、カーボンニュートラルに貢献できるいろんな技術という点であります。もう一つが大地震、津波。日本が時々経験することなんですが、日本の中でもまだ具体的に大きく進んでるわけではないんですけれども、将来起こるであろうそういった大地震、津波に対する災害を少しでも減ずるために事前に土木技術、インフラ施設としてやる体制は多々ある。この二つをぜひ日本は海外に持っていって、海外にも広げるべきだというふうにおっしゃられています。

被災後の復旧によってですね、二酸化炭素が多く排出されますので、2番目のポイントも実はカーボンニュートラルにとっては非常に重要な技術であります。日ごろから土木分野の中で建設分野のカーボンニュートラルに積極的な発言をされてる春日さんらしいアドバイスであったと思います。

こういったことを含めて対談の様子、1時間弱ですけれども、その詳細は近日中にインターネットで公表いたしますので、ぜひご覧ください。また毎回申し上げますと申し上げておりますように会長への直接意見を送る仕組みを作っておりますので、それもぜひ。

次回は土木学会全国大会の行事の中からいくつかを選んで簡単に紹介したいと思っております。

次回もぜひお楽しみに。今日はありがとうございました。

国内有数の工学系団体である土木学会は、「土木工学の進歩および土木事業の発達ならびに土木技術者の資質向上を図り、もって学術文化の進展と社会の発展に寄与する」ことを目指し、さまざまな活動を展開しています。 http://www.jsce.or.jp/