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令和5年度土木学会選奨土木遺産

土木学会事務局です。

土木学会では2000(平成12)年度から、顕彰を通じて歴史的土木構造物の保存に資することを目的として、選奨土木遺産を認定しています。

本日、2023年9月25日に令和5年度選奨土木遺産21件を公表し、23年間の累計で認定した土木遺産は517件となりました。
選奨土木遺産には、大規模なものから小規模なものまで、また誰もが知っているような有名なものから、日常生活の中に溶け込んでいて気がつきにくいものまで、さまざまなものがあります。そこにある土木施設にどのような背景があり、どのような役割を果たしているか、多くの方に知っていただければと思います。

以下、今年認定された21件の概要を、参考となるサイト・ページとあわせてご紹介します。

また、それぞれの遺産は見学を前提とした整備がされていないケースもありますので、見学施設等が整備されていないところについては、施設管理者に問い合わせし、ご自身の安全や周辺地域の生活環境等にご配慮ください。

選奨土木遺産を訪れた感想など、「#土木学会選奨土木遺産」「#土木遺産」 のタグをつけて記事をご投稿ください。マガジン「土木学会選奨土木遺産」では、タグの付いた記事を集めています。


十勝川 統内新水路

とかちがわ とうないしんすいろ

十勝川統内新水路は、十勝川流域の洪水被害軽減や統内原野の開発促進に貢献し、泥炭湿地帯の河道掘削及び築堤の施工技術や過程を示す貴重な新水路です。

北海道中川郡池田町~豊頃町
幕別町~豊頃町
1937(昭和12)年

新水路の上流の十勝川にある十勝川千代田堰堤も選奨土木遺産です。

茂岩橋

もいわばし

茂岩橋は、変断面下路式ゲルバートラスの橋梁において国内最長スパンを誇り、左右対称で中央に尖峰が並び立つ、均整の取れた意匠の土木遺産です。

北海道中川郡豊頃町
1961(昭和36)年
(1970(昭和45)年歩道橋添架)

大倉ダム

おおくらだむ

大倉ダムは、我が国唯一のダブルアーチダムであり、多目的ダムとして仙塩地域の人々の生活や産業を支えてきた歴史的構造物です。

宮城県仙台市青葉区
1961(昭和36)年

只見川ダム施設群

ただみがわだむしせつぐん

只見川ダム施設群は、豪雪地帯の水資源と地形を巧みに利用したダム・電源開発等の河川史や地域資産として貴重な土木遺産群です。

奥只見ダム:福島県南会津郡檜枝岐村
大鳥ダム・田子倉ダム:福島県南会津郡只見町
滝ダム:福島県大沼郡金山町
本名ダム・上田ダム:福島県大沼郡金山町
宮下ダム:福島県大沼郡三島町
柳津ダム:福島県河沼郡柳津町
片門ダム:福島県河沼郡会津坂下町

奥只見ダム:1961(昭和36)年
大鳥ダム:1963(昭和38)年
田子倉ダム:1959(昭和34)年
滝ダム:1961(昭和36)年
本名ダム・上田ダム:1954(昭和29)年
宮下ダム:1946(昭和21)年
柳津ダム・片門ダム:1953(昭和28)年

蔵前橋

くらまえばし

蔵前橋は、関東大震災の復興橋梁であり、バランスのとれた3連の鋼アーチ橋として歴史的に価値の高い貴重な土木遺産です。

東京都台東区~墨田区
1927(昭和2)年

城ヶ島大橋

じょうがしまおおはし

城ヶ島大橋は、鋼床版箱桁形式を採用し、種々の構造的課題を応力測定試験等により解決し、その後の橋梁技術発展の礎となった橋梁です。

神奈川県三浦市
1960(昭和35)年

阿賀野川満願寺「基準点標石」

あがのがわまんがんじ「きじゅんてんひょうせき」

阿賀野川満願寺「基準点標石」は、阿賀野川で初の国による河川改修事業着工時に設置した基準点で、公園内に移設されたが、河川の形を決めた原点となる土木遺産です。 

新潟県新潟市秋葉区
1915(大正4)年

大井ダムならびに大井発電所

おおいだむならびにおおいはつでんしょ

大井ダム・大井発電所は、国内初の本格的ダム式発電所として建設され、電力王・福沢桃介氏最大の偉業ともいわれ、大正期の風情を残す貴重な土木遺産です。

岐阜県中津川市~恵那市
1924(大正13)年

大井川橋梁(下り線)

おおいがわきょうりょう(くだりせん)

大井川橋梁(下り線)は、大正時代に製造された、リベットによる剛結合の曲弦プラットトラス桁で歴史的価値の高い橋梁です。

静岡県島田市
1915(大正4)年

上流に架かる道路橋、大井川橋も選奨土木遺産です。

深良用水 用水隧道

ふからようすい ようすいずいどう

深良用水 用水隧道は、江戸時代に農業用水として芦ノ湖から静岡側へ通水するため横穴等を使用せず素掘りで掘削されたものとして日本最長の山岳トンネルです。

静岡県裾野市
1670(寛文10)年

鬼谷川砂防堰堤

おんたにがわさぼうえんてい

鬼谷川砂防堰堤は、福井県で最古の砂防堰堤で、大きなもので1mを超す丸石を積み上げて建造した、現在も効果を発揮している貴重な土木遺産です。

福井県大野市
1897(明治30)年

紀州鉄道及び旧御坊臨港鉄道廃線部分

きしゅうてつどうおよびきゅうごぼうりんこうてつどうはいせんぶぶん

紀州鉄道及び旧御坊臨港鉄道廃線部分は、開業から92年経過した今も往時の設備も使用して運行されており、廃止路線にも軌条等が残存する貴重な土木遺産です。

和歌山県御坊市
1931(昭和 6)年

東高洲橋

ひがしたかすばし

東高洲橋は、関西に残る数少ない”本当に動く”可動道路橋であり、尼崎市南部工業地域を支え続け、経済発展に大きく寄与した貴重な土木遺産です。

兵庫県尼崎市
1966(昭和41)年

高砂港 向島突堤

たかさごこう むこうじまとってい

高砂港向島突堤は、工楽松右衛門築造の高砂港防波堤の一部が改修等を重ねながら残されており、港湾築造の技術を現代に伝える貴重な土木遺産です。

兵庫県高砂市
1810(文化7)年、
1929(昭和4)改修

近鉄難波線 大断面シールドトンネル

きんてつなんばせん だいだんめんしーるどとんねる

近鉄難波線 大断面シールドトンネルは、わが国で最初の複線断面機械掘りシールドトンネルであり、軟弱な沖積平野でさまざまな補助工法を駆使して完工した貴重な土木遺産です。

大阪府大阪市中央区
1970(昭和45)年

木津川橋りょう・岩崎運河橋りょう

きづがわきょうりょう・いわさきうんがきょうりょう

木津川橋りょう・岩崎運河橋りょうは、大阪環状線に在る国内唯一の複線下路ダブルワーレントラス橋で、斜角がきつく垂直の端柱と平行弦トラスを用いた貴重な土木遺産です。

大阪市浪速区~西区
1928(昭和3)年

78 木津川橋梁・岩崎運河橋梁 一裏舞台から表舞台へ

琵琶湖大橋(下り線)

びわこおおはし(くだりせん)

琵琶湖大橋(下り線)は、現代の長支間長桁橋の先鞭となった3径間連続鋼床版箱桁橋で、支間長140mは同形式として完成時国内最長を誇った貴重な土木遺産です。

滋賀県大津市~守山市
1964(昭和39)年

内尾大水門

うちおおおずいもん

内尾大水門は、興除新田の干拓用樋門として築造され、長さ10mを超える花崗岩を使用した現存するわが国最大の巨石樋門です。

岡山県岡山市南区
1823(文政6)年頃

佐川橋

さがわばし

佐川橋は、大正林道の橋梁として架設された鉄筋コンクリートアーチ橋で、永年地域で愛されてきた土木遺産です。

高知県高岡郡四万十町
1939(昭和14)年頃

横瀬二連水路橋

よこせにれんすいろきょう

横瀬二連水路橋は、明治期の大分に建設された二連の石造アーチ橋で、階段状の水路壁と重厚な橋脚を有するユニークな土木遺産です。

大分県大分市
幹線水路1900(明治33)年
左岸側1904(明治37)年
右岸側1906(明治39)年

慶応期出水の石造干拓施設群

けいおうきいずみのせきぞうかんたくしせつぐん

荒崎新地の石造干拓施設群は、薩摩藩独自の行政制度のもと、肥後藩との技術交流によって実現した土木事業の貴重な物証です。

鹿児島県出水市
1866(慶応2)年

土木学会選奨土木遺産

土木学会のページでは、過去に認定した選奨土木遺産を認定年別・地域別に紹介しておりますので、あわせてご覧下さい。

令和2年度以降の土木学会選奨土木遺産はこちらのnote記事でも紹介しています。

また、絞り込み・検索しやすいテストページを公開しています。(令和3年度以降の遺産は掲載準備中です)

Togetterでもまとめています

一連の紹介ツイートをTogetterでもまとめています。

選奨土木遺産の所在地は

はたはた@土木写真さんが、土木遺産マップを作成されています。
土木遺産探訪の参考に。


国内有数の工学系団体である土木学会は、「土木工学の進歩および土木事業の発達ならびに土木技術者の資質向上を図り、もって学術文化の進展と社会の発展に寄与する」ことを目指し、さまざまな活動を展開しています。 http://www.jsce.or.jp/