カーボンニュートラル社会の実現に向けたコンクリート工学の挑戦
石田哲也
論説委員
東京大学大学院工学系研究科
カーボンニュートラル社会の実現に向け、世界中でCO2削減に向けた動きが活発だ。CO2排出量の大きいセメント・コンクリート産業への風当たりも厳しい。水と硬化する性質を持つセメントは、原料の石灰石(炭酸カルシウム)からCO2を離脱させるプロセスにより生まれる。セメント製造の際、原理的にCO2は必ず排出される。
コンクリートの低炭素化を図る従来の定番技術は、セメントの一部を高炉スラグ微粉末やフライアッシュなどの混和材で置換するもの