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土木学会『論説・オピニオン』

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土木学会では、会員だけでなく広く一般社会に、土木に関わる多様な考え・判断を紹介し、議論を重ねる契機とすることを目的に、社会に対する土木技術者の責務として、社会基盤整備のあり方・重…
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2024年1月の記事一覧

河川維持管理の高度化に向けて

田村 秀夫 論説委員 日本工営ビジネスパートナーズ(株) 気候変動に伴う洪水被害の頻発を受け、流域に関係するあらゆる関係者による流域治水の取り組みが本格化した。安全度を向上させる河川の整備はその根幹となるものであるが、整備された河道や施設の適正な維持管理が行われてこそ、その効果が継続して発揮される。河川の維持管理は地味ではあるが地域の安全を支える最も基礎的でかつ重要な分野である。 河道や河川管理施設の計画や設計のあり方は、長年の経験から得られた知見に基づくものから、力学的

技術者・研究者の研鑽の場としての土木学会

下村 匠 論説委員 長岡技術科学大学 土木学会よりも規模は小さいが、同じくインフラに関連する分野の学会であるプレストレストコンクリート工学会の会長を現在仰せつかっている。そこでの経験から、最近、社会における学会組織の存在意義を自問している。学会の役割はもとより多角的であるが、ここでは技術者・研究者の研鑽の場として学会の役割について自身の経験をもとに考えてみたい。 今から30年ほど前、土木学会のコンクリート委員会傘下のいくつかの公募型研究委員会に参加したのが、現在に続く私と