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土木学会『論説・オピニオン』

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土木学会では、会員だけでなく広く一般社会に、土木に関わる多様な考え・判断を紹介し、議論を重ねる契機とすることを目的に、社会に対する土木技術者の責務として、社会基盤整備のあり方・重… もっと読む
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2023年9月の記事一覧

複雑な問題の解決のために「総合的な力を発揮できる人と組織」をつくる

石井 一英 論説委員 北海道大学 1.環境分野の複雑性 将来の持続可能な社会のために、SDGsの達成、ネイチャーポジティブへの転換、そしてカーボンニュートラルの実現に向けた活動を加速化しなければならない。そして昨今のサーキュラーエコノミーに代表されるように、これら環境に関連する活動に投資を呼び込めるような仕組みづくりが求められている。すなわち、環境と経済、グローバルとローカルなど、一見相反する軸上に存在する複雑な問題の改善・解決に対処していく必要がある。 2.画一的なシ

大学教員が「橋の日」に感じたこと

穴見 健吾 論説委員 芝浦工業大学 8月4日は「橋の日」である。 鋼橋の耐久性(疲労)について研究している筆者の分野では例年「橋に関するシンポジウム」が行われているが、本年は所用により宮崎県にいた。車での移動中に一般の方々が参加する「橋の日イベント」に遭遇した。このイベントは普段使っている橋に感謝を込めて橋の清掃等も行うもので今年が37回目となる。このような橋に限らず社会基盤施設に対する理解・興味を深めてもらう行事は「橋の日」「土木の日」に限らず多く行われている。国土交通