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土木学会『論説・オピニオン』

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土木学会では、会員だけでなく広く一般社会に、土木に関わる多様な考え・判断を紹介し、議論を重ねる契機とすることを目的に、社会に対する土木技術者の責務として、社会基盤整備のあり方・重… もっと読む
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2023年5月の記事一覧

賃上げをするために

池田 薫 論説委員 阪神国際港湾(株) 2023年の春闘が終わり、多数の企業で賃上げの妥結をしており、賃上げが趨勢となっている。 賃上げについての議論を振り返ってみると、その時々の経済情勢によって、立論の仕方が変化している。安倍政権の2014年成長戦略においては、デフレ経済からの脱却と富の拡大(言い換えると賃上げのこと)が目標となっていた。デフレ経済からの脱却ができたかどうかは、評価が分かれているが、賃上げについては、実現できなかった。 最近は、ウクライナ侵攻の影響から

メンテナンス技術の価値に適切な評価を

水口 和之 依頼論説 (株)ネクスコ東日本エンジニアリング代表取締役社長 社会資本メンテナンス元年(2013年)から10年、この間に、道路構造物の5年に一度の詳細点検は法制化され、高速道路会社はRC床版の取り換えを中心とした大規模更新事業を全国で進めており、土木学会では2020年度にインフラメンテナンス総合委員会を立ち上げ体系的・有機的な活動を開始している。 日本のインフラはすでにメンテナンスの時代、しかも大更新時代に移行していると思われるが、一方でインフラメンテナンスの