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土木学会『論説・オピニオン』

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土木学会では、会員だけでなく広く一般社会に、土木に関わる多様な考え・判断を紹介し、議論を重ねる契機とすることを目的に、社会に対する土木技術者の責務として、社会基盤整備のあり方・重…
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2023年4月の記事一覧

人口減少時代の水道とフューチャーデザイン

浅見 真理 論説委員 国立保健医療科学院 令和4年4月、全国1718市町村(東京23区を除く)の半数以上にあたる885市町村が「過疎地域」になったことが総務省から発表されました。 前年から65の市町村が追加され、初めて全国の半数を超えたのです。令和2年の国勢調査の結果に基づくもので、人口の減少率など、指定要件の見直しはあったものの、昭和45年の「過疎法」施行以来初めてのことになります。 人口減少は様々な社会基盤の前提に影響を及ぼします。特に水道関連では、従量制で水道料金

都市における賢い雨水管理へ

古米 弘明 論説委員長 中央大学研究開発機構 近年、豪雨による水災害が頻繁に発生しており、気候変動の影響による雨の激甚化・頻発化は明らかである。そのような背景のなか、令和3年に流域治水に関連する9つの法律が一体的に改正され、気候変動を踏まえながらハード・ソフト一体で、総合的かつ多層的に治水対策を進めるための法的枠組みが構築された。 流域治水プロジェクトが推進されているものの、人口や資産が集中した都市において、河川氾濫だけでなく内水による氾濫に対処するための都市浸水対策は単