マガジンのカバー画像

土木学会『論説・オピニオン』

93
土木学会では、会員だけでなく広く一般社会に、土木に関わる多様な考え・判断を紹介し、議論を重ねる契機とすることを目的に、社会に対する土木技術者の責務として、社会基盤整備のあり方・重…
運営しているクリエイター

2022年4月の記事一覧

流域治水とリスクの見える化

金尾 健司 論説委員 (独)水資源機構 流域治水関連法が2021年11月に全面施行された。 総合治水対策が世に出て約半世紀が経ち、ようやくという思いと同時に、これからの行く末が気になる。筆者は、1980年代にある地方自治体に勤務し、都市河川の総合治水対策を担当した。当時はバブル経済を迎える時期であり、その流域でも都市開発が盛んに行われ、流出増や浸水区域への資産集中に対して河川整備が追いつかず、そこに戦後最大規模の洪水が襲来し大水害となった。都市、農業などの関係部局に対して

流域治水が求める新しいガバナンス

多々納 裕一 論説委員 京都大学防災研究所・教授 流域治水関連法が2021年11月に全面施行され、河川においてもようやく洪水の損害を被る住民の視点に立った総合的取り組みがスタートしました。 私は、新しいタイプの「ガバナンス」が求められていると考えています。流域治水の英文名は、River Basin Disaster Resilience and Sustainability by Allとされています。みんなで河川流域を災害に対してレジリエントで持続可能なものにしていこう