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土木学会『論説・オピニオン』

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土木学会では、会員だけでなく広く一般社会に、土木に関わる多様な考え・判断を紹介し、議論を重ねる契機とすることを目的に、社会に対する土木技術者の責務として、社会基盤整備のあり方・重…
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2021年7月の記事一覧

危機にあるレディーミクストコンクリートを考える

坂田 昇  論説委員会 委員 鹿島建設株式会社執行役員 土木管理本部土木技術部長 土木構造物の多くは、コンクリートで造られている。現在の土木学会には、29の調査研究委員会が存在するが、その中でコンクリート委員会は昭和3年に発足した委員会で、最も古く長い歴史を持つ組織である。また、すべての委員会の収益の約6割を占めている。このことからも、土木において、コンクリートが如何に大切なものであるかが窺える。そのコンクリートのほとんどが、レディーミクストコンクリート(以下、生コン)であ

リスク、安全率、そして予防的アプローチ

浅見 真理 論説委員 国立保健医療科学院 「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言」は、発出、解除が繰り返されているが、2011年3月11日に発出された原子力災害対策特措法の第15条に基づく「原子力緊急事態宣言」は10年以上解除されていない。この緊急事態宣言は、原子炉から溶融したデブリの処理が終わるまで、おそらく今後何十年か、解除できない。 筆者は2003~4年に厚生労働省で原子力総合防災訓練を担当していた。当時、原子力保安院の作成した訓練のシナリオは、より軽微な事故を対象