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土木技術者も読みたい児童書

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土木や土木に関連することを題材にした児童書は意外とたくさん発行されています。が、そうした年齢のお子さんお孫さんがおられないと、大人はなかなか書店や図書館で児童書コーナーに足が向か…
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2020年12月の記事一覧

The Dawn of a New Era 文明開化の音はきっと工事の音『技術と情熱をつたえた外国の人たち モレル・ブラントン|デ=レーケ・ケプロン』

土木の歴史絵本第3弾。江戸時代の終わり近代文明の夜明けに、明治政府は諸外国から土木の技術者をまねきました。「お雇い外国人」とよばれた技術者の活躍で日本の近代化に多大な貢献をしました。 鉄道を引き、鉄橋を架け、灯台をたて、街をつくり、水道、貯水池、港、川の改修、あらゆる土木技術を日本に伝えた外国の技術者たち。外国人に教えてもらっていくつも工事をしている間、日本の若者が土木技術を学ぶために海外留学をしていた。いくつものプロジェクトが完成していき、何年かたったとき、海外で学んでい

武将のみなさん、てっきり戦だけにうつつをぬかしているのだと思っていました。ごめんなさい。『川を治め水と戦った武将たち 武田信玄・豊臣秀吉・加藤清正』

いまからおよそ400から500年前、互いに領土をめぐって争っていた戦国時代、城や道をつくり、堤防を築き橋をかける仕事は、普請(ふしん)とよばれていました。侍たちは攻撃に備える一方で、自然や国をおさめ、民の生活をまもることにも力をそそいでいました。 華やかな築城、短時間で築いたエピソード、こんな大きな石をどうやって運ばせたんだろう。水責めとは考えたな!なんて、なんとなく知ったつもりでいたけれど、それってまさしく土木技術のこと。まったくもってノーマーク。大河ドラマも目をハートに

のっぽのスイブル

土木学会事務局です。 土木や土木に関連することを題材にした児童書は意外とたくさん発行されています。が、そうした年齢のお子さんお孫さんがおられないと、大人はなかなか書店や図書館で児童書コーナーに足が向かないもの。そこで、不定期にはなりますが、大人が読んでも面白い本、ためになる本を「土木技術者も読みたい児童書 #土木の本」として紹介していきたいと思います。 まずはじめに取りあげるのは「のっぽのスイブル155」(こもりまこと 著、偕成社)です。 50年以上前にコマツが世界で初

行基様!カリスマ土木技術者『暮らしをまもり工事を行ったお坊さんたち』

日本で初めて人々のための土木の工事の仕事をしたのは、お坊さんたちでした。どうして土木の仕事をお坊さんがやったのか。なぜお坊さんがやるようになったのかを解き明かします。 正直言ってこの本を読むまで、お坊さんと土木に関わりがあることに全く気付いていなかった。聞いたことのある有名なお坊さんなので、ひょっとしたら歴史の授業かなんかで習っていたとか?卒業するときに習ったことたくさん置いてきたからなー。 関西在住の人には馴染み深い昆陽池(こやいけ)は、行基が今から1290年ちかく前に