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ロシアの意外な一面 【東北大学 阿部恒之教授 Part 1】

こんにちは!

東北大日露交流サークルの記念すべき第1回目の記事は、東北大学文学部・文学研究科で教鞭をとり、心理学がご専門の阿部恒之教授へのインタビューになります。東北大学の心理学部とモスクワ大学の心理学部は交流があり、阿部教授ご自身も何度かロシアへの渡航経験がおありで、そのロシアでの経験やロシアに関するご見解を伺いました。3回に分けてご紹介したいと思います。

Part 1では阿部教授がロシアへ行かれた際のお話をご紹介します。

ゲスト:阿部恒之教授
東北大学文学部哲学専攻(心理学)卒。資生堂(ビューティーサイエンス研究所)勤務。在職中に,東北大学大学院文学研究科博士課程後期3年の課程編入学(社会人コース),同課程修了。博士(文学)。2005年より東北大学大学院文学研究科心理学講座助教授。准教授を経て,同講座教授。文学研究科副研究科長に就任。

取材・文:小池貴之
東北大学経済学部経済学科4年。モスクワ国立大学に10ヵ月間の交換留学経験あり。


ロシアへの初渡航

阿部教授「2011年にモスクワ大学で開催された第1回日露人文社会フォーラムに招待され、初めてロシアを訪れました。このフォーラムは日本とロシアが人文社会領域での交流を図る目的で開催され、日露双方の先生方が集まり、研究内容などのシェアをしました。

その後、モスクワの中心にあるクレムリンの近くのモスクワ大学心理学部にて教授や学生と交流をしました。その交流会の際にモスクワ大学の学生が私のもとにやってきて、ある質問をしてきました。それは、日本で発行されている『認知心理学研究』という和文の心理学研究誌の内容についてでした。モスクワ大学の心理学部で、その日本語で書かれた研究誌を扱っている授業があったのです。私が何より驚いたのは、現在では大学の研究者というのは英語で論文を書かないと誰も見てくれず、評価されないということになっていますが、ロシアのモスクワ大学においては日本語の論文を使って授業をしている、少なくともそういうクラスがあるということでした。

図1

モスクワ大学心理学部との交流会

Memo
 まさかロシアで、それもロシアのトップの大学で日本語の論文が授業で扱われているのは驚きですね。なぜ扱われているのかについてお聞きしたところ、その心理学部の授業を行っているサーシャ先生という方が、日本が好きなうえに日本語が堪能でいらっしゃるため、毎年十数人を対象に日本語の論文を使った心理学購読を実施していることが大きいんだそうです。もし今後機会があれば、サーシャ先生にも是非インタビューをしてみたいと思います。


ロシアへ行く前と行った後の印象について

阿部教授「行く前の印象としては、なんとなく怖い国で行ったら攫われてしまうのではないかと思ってました。また、『深夜特急』で育った世代からするとアエロフロートは大変な飛行機だと思っていたんですが、実際に乗ってみたら最新式の快適な飛行機でした。しかし、出発がいきなり10時間ほど遅れて、モスクワに着いて一晩休んでから会議に備えるはずが、朝6時に着いたためにシャワーだけ浴びてすぐに会議に行かないといけませんでした(笑)。

ロシアに滞在するうちに徐々にロシアに対するイメージも変わってきて、クレムリンで軍人養成学校の子たちが見学に来ていた時に、やはり世界のどこに行っても子どもはかわいいし、世界中どこでも人は人で、似たようなことに喜怒哀楽を示すんだなということを理解するようになりました。

2016年にロシアを訪れた際に、心理学部の准教授で副学部長もされているバラヴァンシュコワ教授の家にお招きいただきました。お子さんが3人いらっしゃり、日本からガンダムのプラモデルを持っていったらすごく喜んでくれて、最後には懐いて頭に乗ってきたりしました(笑)。ご主人ともお話させていただいて、温かい家庭の雰囲気を感じ、ロシアでは日本同様かそれ以上に家庭を大事にしていると思いました。夏になったら家族全員で郊外にあるダーチャ(別荘)へ行って、キノコ採りをしたりベリーを摘んだりして楽しむということで、すごくうらやましい環境だなと思いました。」

図2

モスクワ中心部にあるクレムリン

Memo
 多くの日本人はロシアに対して何となく怖いイメージを抱いているような気がします。私もその例に漏れず、留学する前は怖い国だと思っていました。しかし、実際に現地へ行ってみると、困った時に助けてくれる人が多かったり、夜に街に出歩いても安全だったりと、良い意味で期待を裏切ってくれました。一度、ロシア人の友だちに夜中の0時頃から始まる映画のレイトショーに誘われたことがあり、その映画が終わったあと朝まで街を散歩していましたが、まったく危険なことはありませんでした。(ちなみにロシア人は散歩が好きな人が多く、1時間や2時間なら平気で歩きます。趣味は何か尋ねると散歩を挙げる人も多いです。)


今回の記事はここまでです。いかがでしたでしょうか?
ロシアの意外な一面を垣間見ることができたのではないかと思います。
次回もお楽しみに!

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