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蹄鉄図鑑

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競走馬の蹄鉄(ていてつ)について、橋浜保子が解説します。
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#競馬

KEIBA=BIGDATA 気になり分析{落鉄}

奥野です。今日は連投です! 競馬離れしがちな夏場こそ頑張ってネタ作りを!と(笑) 「スキ!」「いいね!」等、よろしくお願いいたします🙇 さて、今回は{落鉄}について、気になったので調べてみました。 前回{心房細動} 「落鉄」とは、競走中に蹄鉄が外れてしまうことをいいます。人間でいうなれば裸足の状態。 レース後の関係者コメントで、「落鉄していたから力を発揮できなかった」というような談話を聞いたことがあるのではないでしょうか? 実際にどれほどパフォーマンスを落とすかは

蹄鉄図鑑 ~シガフース蹄鉄~

橋浜保子です。 シガフース蹄鉄(接着装蹄) 脚元コード:「083」 JRDB表記 「シ」「シガフース蹄鉄」 photo by Rumi Enokida *装着時の写真と見比べていただきやすいように、  横向きの単体写真は、画像の左右を反転させました。 蹄釘(ていちょう)が知覚部を圧迫するのを気にする馬などに使用します。 通常の接着装蹄に比べて、蹄機作用を損いません。また、厚みがあるので、蹄底に負荷が掛かりにくいのも特徴のひとつです。 ただし、シガフース蹄鉄は簡

蹄鉄図鑑 ~落鉄(らくてつ)しかけ~

橋浜保子です。 調教やレースでの落鉄(らくてつ)については、前回、ご説明しました。 中には、蹄から蹄鉄が完全に外れずに、ズレたままレースから戻ってくるケースもあります。 これは、同じ馬が、未勝利戦のレース後に落鉄しかかっている写真です。 photo by Rumi Enokida 左後肢の蹄壁(ていへき)が欠損しており、蹄鉄がズレていることがわかります。 2枚目は、蹄から外れてしまった蹄釘(ていちょう)の様子もわかる、貴重な写真です。 このケースでは、蹄壁にダメ

蹄鉄図鑑 ~落鉄(らくてつ)~

橋浜保子です。 photo by Rumi Enokida 落鉄とは、蹄鉄が蹄から外れて落ちてしまうことを言います。 原因として挙げられることを、以下に列挙します。 調教・レース ・裂蹄(れってい)や蟻洞(ぎどう)などで蹄壁(ていへき)が傷んで亀裂(きれつ)が入ったり、欠損している状態で走っていると、蹄釘(ていちょう)が緩みます。 ・左前肢と右前肢がぶつかる(交突・こうとつ) ・後肢で前肢を引っ掛ける(追突・ついとつ) ・一緒に走っている他の馬の脚とぶつかる

蹄鉄図鑑~ ヒールパッド ~

橋浜保子です。 ヒールパッド JRDB表記:「ヒP」「ひ」 脚元コード:「076」 photo by Rumi Enokida 蹄底(ていてい)と蹄鉄の間に挟んだ、ウレタン製のパッドです。 主に屈腱炎や、蹄叉腐爛(ていさふらん)、蹄底が傷ついている馬などに使用します。 鉄橋蹄鉄と見間違いやすいので、注意なさってください。 見分け方 パッドを蹄鉄の下に装着しているのが「ヒールパッド」 ヒールパッド 鉄橋(鋼片)を蹄鉄の上に渡してあるのが「鉄橋蹄鉄」 鉄橋

蹄鉄図鑑~リバーシブル蹄鉄~

橋浜保子です。 リバーシブル蹄鉄 JRDB表記:「リ鉄」「リ」 脚元コード:「077」 photo by Rumi Enokida  兼用蹄鉄の上下を逆にして装着した蹄鉄です。 連尾(れんび)蹄鉄と同様に、主に、屈腱炎の馬に使用します。 リバーシブル蹄鉄の使用頻度は極めて低いですが、脚元に不安を抱えていることを表す特殊蹄鉄のひとつです。

蹄鉄図鑑~連尾(れんび)蹄鉄~

コンテンツ一覧はこちら 橋浜保子です。 連尾(れんび)蹄鉄 JRDB表記:「丸鉄」 脚元コード:「013」 photo by Rumi Enokida 通称「丸鉄」。 アルファベットの「O」の字形をしている、鉄尾(てつび)の両端を繋げた蹄鉄です。 連尾蹄鉄は、主に、屈腱炎を発症した馬や、裂蹄(れってい)を患(わずら)っている馬に使用します。 裏筋への不安を軽減する効果が高いのが特徴です。 能力が高い馬が下級条件戦で好走するケースもありますが、クラスが上がる

蹄鉄図鑑 ~スプーンヒール蹄鉄 ~

橋浜保子です。 スプーンヒール蹄鉄 JRDB表記:「ス」 脚元コード:「045」 photo by Rumi Enokida 坂元利博氏が装蹄師時代に考案した蹄鉄です。 片側の鉄尾(蹄鉄の踵側の先端部分)をつぶして、スプーンのような形にしています。 前肢と後肢が追突(ついとつ)する馬の裂蹄(れってい)の保護や、落鉄(らくてつ)の予防策として用いられます。 つまり、スプーンヒール蹄鉄を使用している馬は、レース中に落鉄する不安を抱えていると考えることができます。

蹄鉄図鑑 ~ 柿元(かきもと)蹄鉄 ~

橋浜保子です。 柿元蹄鉄 JRDB表記「柿」 脚元コード:「046」 photo by Rumi Enokdia 柿元純司氏が装蹄師時代に考案した蹄鉄です。 通常の蹄鉄よりも、左右の鉄尾(てつび:蹄鉄の踵側の先端部分)の間隔が狭いのが特徴です。 裏筋や蹄球を保護する効果があり、主に、屈腱炎や蹄球炎を発症している馬に使用します。 使用頻度は、かなり低いです。 下級条件では、特にダート戦で、能力が高い装着馬が好走するケースが見受けられます。 しかし、この蹄鉄を装

蹄鉄図鑑~鉄橋(てっきょう)蹄鉄~

橋浜保子です。 鉄橋(てっきょう)蹄鉄 JRDB表示:「橋」 脚元コード :「015」 挫跖(ざせき:蹄釘(ていちょう)や石などを踏んだり、後肢の先端が前肢の蹄底に追突した時などに、蹄底にできた内出血・血豆)等で傷ついた蹄底(ていてい)を保護するための特殊蹄鉄です。 蹄鉄の両端にプレート状の鋼片(橋)を渡すような型をしています。 芝のレースでは、雨が降ったり、馬場が渋ると、鉄橋部分が上滑りする傾向があります。このため、芝の稍重(ややおも)馬場・重馬場。不良馬場など

蹄鉄図鑑~半蹄鉄~

半蹄鉄 JRDB表記:「半」 脚元コード:012 photo by Rumi Enokida 蹄の前半分のみに装蹄する蹄鉄で、鉄尾(てつび)の長さが、通常の兼用蹄鉄よりも半分短いです。 蹄鉄を履いていない、蹄の後ろ半分は、直接地面に接しています。 主に、裂蹄(れってい)、肘腫(ちゅうしゅ)、蹄踵狭窄(ていしょうきょうさく)、挙踵(きょしょう)の幹部を保護・予防する目的や、蹄機(ていき)作用を促進させるために用いられます。 それらの症状が酷い場合は、半鉄の鉄尾をさ

蹄鉄図鑑~四分の三蹄鉄

こんばんは。橋浜保子です。 四分の三蹄鉄 JRDB表記:「J」 脚元コード: 017 photo by Asami Nakazawa 「U」字型の蹄鉄の片端を、四分の一切り落とした蹄鉄です。 アルファベットの「J」字型をしています。 U字型をした、通常の兼用蹄鉄 主に裂蹄(れってい)や蹄の狭窄(きょうさく)、球節炎などを発症している馬に使用します。 最近では、裂蹄防止テープと併用するケースがよく見られます。 鉄尾(てつび:蹄鉄の踵側の先端部分)が短い箇所に

蹄鉄図鑑 ~通常の兼用蹄鉄~

こんばんは。橋浜保子です。 今日から、蹄鉄の説明をしていきます。 競走馬は、通常、蹄にアルファベットの「U」の字型をした蹄鉄を装着しています。 素材はアルミニウム合金製で、サイズは厚さ9mm以下、最大部分の幅は125g以下のものまでレースで装着することができます。 鉄頭(てっとう)に突起物(鋼片)を埋め込んで、滑り止めの役割を担うこともあります。 この歯鉄(通称「スパイク」)は、高さ2mmまで使用することができます。 調教とレースの両方で使用する通常の蹄鉄。四肢に