マガジンのカバー画像

文体模写の模写日記

24
宝島社から出版されている神田圭一さんと菊池良さんの著書『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』を下敷きにした自分の日記。 ※公認いただいています。
運営しているクリエイター

記事一覧

文体模写の模写日記:週刊文春編

友人にLINE ”繁華街での怪しい密会”を報告 5月中旬、大阪の焼き鳥屋の一室から、マスクをし…

クェr
3年前
3

文体模写の模写日記:夏目漱石編

 親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。  ゆっくりしたくなった時はすぐ何か観た…

クェr
3年前
7

文体模写の模写日記:町田康編

 お酒を買う。しかし、果たしてお酒は何度のお酒を買えばいいのであろうか。わからんではない…

クェr
3年前
4

文体模写の模写日記:糸井重里編

紙飛行機は、 「適当」に作れるところが、良いところだと思う。 A4の紙をパタパタ折っていっ…

クェr
3年前
3

文体模写の模写日記:安部公房編

これは遅刻の記録である。 僕は今、この記録を電車に揺られながら書き始めている。ドアが開き…

クェr
3年前
7

文体模写の模写日記:POPEYE編

日頃から本誌をチェックしているシティーボーイの君たちならわかるかもしれないけど、線香につ…

クェr
3年前
10

文体模写の模写日記:レイモンド・チャンドラー編

マッサージとの最初の出会いは、たいていはおとうさんの肩たたきか銭湯内に設置されているマッサージチェアだ。人は楽な体勢になり、リラックスする。そして、いじっていた携帯を仕舞い込み、出番を待たせる。結局のところ、マッサージとはそういう存在なのだ。 リビングで寝ている父が言った。「ちょっと肩こってんねん。肩揉んでくれへんか?」 こんな場面が来てようやくマッサージの開始となる。往々にして、人生にはそういうポイントがいくつかあるものだ。 マッサージをするにはウォーミングアップが必

文体模写の模写日記:小沢健二編

マッチングアプリのアイコンが欲しいの そんな君の願いを叶えるため 夜の河川敷に行って 写…

クェr
3年前
6

文体模写の模写日記:志賀直哉編

若い大学生Aは、知り合いからNISAを今からすぐ始めるのが得だと頻りに説かれた。Aはそれをやっ…

クェr
3年前
6

文体模写の模写日記:大江健三郎編

僕は躰の内奥から湧き上がる「虚無」に応えるように、手探りをした。 「虚無」の感覚をさがし…

クェr
3年前
5

文体模写の模写日記:田山花袋編

正午になってだらだら過ごしながら彼は考えた。「これだけの食欲が地震に起こるということは、…

クェr
3年前
6

文体模写の模写日記:ドストエフスキー編

あ、名前変えて心機一転気持ち変えていくので、よろしくお願いします。改めまして、たゆひとで…

クェr
4年前
7

文体模写の模写日記はじめます。:太宰治編

この文体模写の模写日記は宝島社から出版されている神田圭一さん、菊池良さんの『もし文豪たち…

クェr
4年前
12

文体模写の模写日記:太宰治編②

申し上げます。申し上げます。私はバイトが辞めたくなってしまいました。このままでは得意のおパターゴルフすらもままなりません。私はロッカーの扉を出鱈目に開けました。 これは埃のかぶった靴。 これは埃のかぶったハンガー。 これは何かしらに使われたビニール袋。 うわっはっは、と私はおかしくなりました。これは真っ当な人間がする嫌がらせではありません。 私は賭けに出て、その汚らしいおっさんが履いた可能性のある小汚い革靴を手に取って見ました。かなり汚れていました。 靴を片付ける