見出し画像

もうすぐ誕生日のあの人に、そして私に

勝手に応援している女優がいる。

誕生日が同じ。生まれ年も一緒だから年齢も同じ。彼女と同じ日に生まれたと思うだけでちょっと気分が上がる。残念ながら容姿は似ても似つかないけれど。それはそうだ、種から違うんだから。それでも「あー、どうりで!似てると思ってたんだよ、小指の爪の先っぽあたりが 」なんてからかわれるのも嬉しくて、テレビで見かけるたびに元気をもらっていた頃があった。

Messengerに一通のメッセージが届いて、そんな20代を思い出した。


みんなと離れて30年近く経つし、OB会をと思ってるんだよね。
連絡用にグループLINEをつなぎたいからID教えてくれる?

普段はほとんど接点もないのに何かあると思い出して連絡をくれる先輩。ありがたい。一緒に過ごした仲間たちの懐かしい顔が次々に浮かんできた。

短大の時に入っていた軽音部が他の大学の音楽サークルと一緒に活動をしていた。たまたま軽音部の練習中に通りかかって声をかけてもらった私はそんなこととは知らず、本物のギター演奏で歌えるなんて楽しそう!という理由だけで入部を決めた。だから、初めて大学の先輩方に会った時は面食らってしまった。即興でギターを弾きながら英語で歌い出す人、妙なテンションで部屋に入ってきたと思ったら、さっきの即興にいきなりベースをのせて演奏しはじめる人、どんどん人が集まってきて、いろいろな音が、声が重なっていく。サックスを吹く女の子もいた。みんなかっこよかった。ため息が出るくらいに。

そんな記憶から呼び戻すようにLINEが鳴った。グループに参加すると、同じように招待された仲間が次々に集まってくる。会話が続いていく中、誰かが昔の写真を送ってきた。バンドブームでイカ天が欠かせなかったあの時代、BOØWY、ブルーハーツ、ユニコーン、JUN SKY WALKERS、バービーボーイズ、尾崎豊にレベッカ、誰もが必死になってコピーした。

あの日の自分に戻れないことはみんなわかっている。だからみんなに会いたくてたまらないんだよね。懐かしんで歌って酔っ払ってどっぷり思い出に浸ったら楽しいだろうな。

でもそのあとには、あの日からの話もちゃんとしよう。今を生きている自分たちを認め合って、思い出の中だけでなく、もう一度仲間になるために。

まだ増え続けているグループLINEのメンバーには私の知らない名前もあって、コメントするにも適度な緊張感が必要になる。久しぶりの人、初めましての人、どちらにしても圧倒的に先輩が多い。


しばし、あの人のことを思い出さずに済む時間。
神様は私が必要以上に苦しまないように、心を外に向けるきっかけをくれたのかもしれない。


ふと思い立って、大好きな女優の名前を検索してみた。
知らなかったのだけど、彼女も今は笑顔で過ごせる日ばかりではないらしい。
私に心配されてもという気もするが、元気でいてほしい。笑っていてほしい。

そうだ、まず私が元気になるというのはどうだろう。昔、彼女の元気が私の日々を輝かせてくれたように、今度は私の元気が彼女を…なんて、どこまで図々しいんだ私。

我ながらスケールの大きすぎる妄想に苦笑してしまうけれど。
祈るのは自由だよね。

どうかいい風が吹きますように。
もうすぐ誕生日のあの人に、そして私に。



*****
いつも勇気をくださるnoteのライターさんに心の整理の仕方を教えていただきました。苦しみや悲しみから距離をとって自分を眺め、今持っているものを再確認してみるといいかもしれない。私にとって人とのつながりは大事な持ち物でした。大切にしなければ。素敵な言葉をありがとうございました。



届けていただく声に支えられ、書き続けています。 スキを、サポートを、本当にありがとうございます。