見出し画像

シャイニーカラーズを通して考える、「アイドル」と「歌」

※この記事は「アイドルマスター シャイニーカラーズ」noteシャニマス感想コンテストに投稿している記事です。

初めまして、J@Qと申します。
私は現在放送されているアニメ「アイドルマスターシャイニーカラーズ」(以下 シャニアニ)の「ツバサグラビティ」という歌にとても感動しました。
何故かと言うと、勿論歌詞やメロディが素晴らしい事もそうなのですが、それ以上にシャニアニ本編では曲を受け取ってからアイドル達がどのような気持ちを込めて歌うのか、という点がとても丁寧に描かれており、その過程に心を動かされたからです。

(アイドルマスター公式チャンネルより投稿されておりますので、良かったら聴いてみてください!)

この記事では「シャニマス」や「シャニソン」をプレイしたり、シャニアニを見て、アイドル達がどんな過程を経て歌を我々に届けていて、その過程のどこが素晴らしいのか、という点に関して書かせて頂きます。

「アイドル」と「歌」というシンプルかつ広すぎるテーマですが、是非とも皆様の解釈などと照らし合わせながらお読みいただけますと幸いです。



0.我々のような"非アイドル"が歌っている歌

My Songs Collectionより、【私のハルモニア】櫻木 真乃

まず私自身の話として、歌を歌った事は多々ありますが「自分の為に書かれた歌詞」「自分の為に作られた音楽」を基に歌を歌った事はありません。

歌手、アイドルにならない限りは多くの人がそうなのではないかと思います。

この場合、私達が歌うのは「誰かのための歌」になると思います。
当然「小学校を卒業する子供のための歌」を小学校を卒業する時に歌った事はありますが、それは作詞家さんや作曲家さんが思っている中の相手であって、自分が考えた相手では無いと考えます。

では、その歌を私達はどう歌っているかと言うと「きっとこんな感じの気持ちで歌えば良いのかな」と想像する事で補って歌っているはずです。
そうでは無い場合、多くの人は相当思い入れがある曲では無い限り「音を外さないようにしよう」「歌詞を間違えないようにしよう」などと考える事に重点を置いて歌っているのではないかと思います。

では、アイドルはどうかと言うと
「①自分以外が考えた歌を、②自分のものとして受け入れ、③自分が自分であるという事を示しながら歌う」と私は考えていて、この過程にアイドルの素晴らしさが詰まっていると考えます。 

そんな理由をひとつひとつ記していきます。


1.誰かが自分に授けてくれた歌

まず①の「自分以外が考えた歌」が届く事によって、そのアイドルが『自分はどういった目で見られているのか、何を期待されているのか』という事を理解できるようになる、と私は考えています。

智代子ちゃんのように「私はチョコアイドルで頑張ります!」というコンセプトがあればそれに合った曲を作られるのはある程度アイドル本人も想像出来ると思いますが、その他の子はまだ自分がどうして行くかも分からないでしょう。

【純真チョコレート】園田 智代子 2022年と2023年には森永DARSのアンバサダーまで務めた。


「自分は何故スカウトされたのか/オーディションに受かったのか」という事に関してアイドル達は悩む事もあると思います。
そんな中で最初の曲はプロデューサーや作詞家さん・作曲家さんからの最初のプレゼントかつ、「自分はこのつもりで貴方に仕事をして欲しいと思っています」という意思表示にもなるのでは無いでしょうか。

もちろん、アルストロメリアのイベントのコミュである「私たちのためのフレーズ」のように誰かが介入する事無く、自分達が思う歌詞を綴っていく事もアイドルとして経験を積んでいくうちにあると思いますが、初めて他人から「自分を題材にして描いた歌」を受け取る瞬間は1度しかありません。

【My lyrics】大崎 甜花 脱線にはなりますが先述の「私たちのためのフレーズ」というイベントコミュは『外から見られている自分たちらしさ』と『自分たちが思う自分たちらしさ』の違いの話なので、是非読んで欲しいです・・・!


シャニソンではソロ曲が追加された際に、チェインで曲を受け取った時にどういった気持ちだったかを伝えてくれますが、その反応を含めて「最初の一歩」としてのかけがえの無さがさらに高まるのではないでしょうか。

そうかもしれないな、じゃないんだよ~~~~~!!!!!!!!!


2.自分だけが分かる自分の歌

次に②の歌を自分のものとして受け入れる、という点に関してです。このフェイズに関しては「レッスン」が中心になると思います。そして、とても難しい事だと思います。

想像でしかありませんが、「歌い方の見本/もしくは正解」がある場合とない場合では全くもって難易度が違うはずです。 
動画を見たり、音楽の先生に「こうした方が良い」とアドバイスを貰えたら自分が何をすれば良いか分かりやすいでしょう。
しかしこれが「自分らしく歌え」という指示になれば途端に難しくなってしまいます。カラオケで練習も出来ず、他の人に見てもらって褒めて貰えてもそれは歌の上手さが評価されているのであって、他の人から「自分」の正解が見える訳ではありません。

【陽の光、透かせば】西城 樹里 のコミュより。ソロ曲に描かれた自分の姿に樹里は悩む事になる。

そして、歌の上手さ以上に大変なのは①のフェイズでもあった「誰かが作った自分の歌」を改めて受け入れるという事だと考えます。

当然自分の気持ちとイコールの歌詞であれば自ら歌いたいくらいの気持ちになるでしょう。ただ、先述した通り、受け取った歌はプロデューサー達が「我々はこのつもりで貴方に仕事をして欲しいと思っています」と考えて渡したものでもあります。つまり、「これからなる姿」に向けてじっくり考える事が必要にもなるのです。
例として挙げるとするなら、SHHisの曲を美琴とにちかが受け取った時に、二人の反応は絶対一緒にならないはずです。美琴は今まで積み上げてきたものを更に磨き上げる為に全力を注ぐでしょうし、にちかは遠くにいるパートナーと並び立つ為に全力を注ぐでしょう。

【RESONANCE】緋田 美琴

まとめるのが難しいですが、私は②のこの時間は突き放されて不安な時間でもありますが、「自分とは何か」という点を曲という物差しを基に考えられるかけがえのない時間だと考えています。

3.誰かに届ける自分の歌

最後に③の自分が自分である事を示しながら歌う、という事です。披露される機会として今回はリリイベ、ライブなどのファンと接する機会を中心に考えます。

これはソロ曲とユニット曲で分けて考える必要があると思っています。

まずソロ曲に関してですが、これに関してアイドルが自らに設けなければならない評価基準は「自分らしく歌えているか」という点です。
ここで言う「自分らしく歌う」は、今まで曲を受け取ってからレッスンをして考えた「アイドルとしての自分」がしっかり出ているか、それが伝わる形になっているか、という意味として捉えて頂ければと思います。

アイドルとしてデビューする際に1曲目がソロ曲だった場合、それは名刺と同様の価値があるでしょう。また、ライブではなくともそのアイドル個人が好きになったファンはサブスクなどでソロ曲を聴きに行くはずです。その時にアイドルとしての魅力の全てが伝わるような曲でなければなりません。
ただ、シャイニーカラーズは作品の性質上、斑鳩ルカを除くアイドルがユニットからのデビューとなります。なのでシャニマスにおいてのソロ曲は大切なものではありますが1番最初の瞬間に渡されるものではありません。

【BLUES】斑鳩 ルカ


すると、ユニット曲を一番最初に歌うという事を前提として考える必要があります。

ユニットというものは本当に複雑です。アイドルとしての自分が固まっていない中で、そんな柔らかい自分をユニットの中に置く必要があります。
イルミネーションスターズの初期はこの壁との戦いだったように思えます。自分がどう振る舞えば良いのか、どうすれば皆がやりやすいのか、既にパンク寸前の脳でそんな複雑な事を考える事は至難の業でしょう。
しかし、ソロとは違いユニットでは苦しんでも仲間が隣に居ます。そんなユニットだからこそ乗り越えられるという事は今のイルミネーションスターズが証明しているわけで……。

【トリプルイルミネーション】櫻木 真乃


反対に、アンティーカのようにコンセプトが決まって互いのイメージがより固まる場合も場合もあります。霧子と摩美々がやり取りをするシーンは何度見てもガッツポーズしてしまいますね。

イベントコミュ「廻る歯車、運命の瞬間」より


話が逸れましたが、最後にお客さん、もといファンに届けるという所がゴールであり、最難関でもあります。
今まで考えてきた自分、固めてきた自分に納得こそしても、それが誰かに届くと保証されているわけではありません。
ストレイライトのように元の自分とは異なる自分を演じる場合はなおさらでしょう。私達はゲームを通してアイドルの意図などを読み取れますが、あの世界のファンたちは歌やパフォーマンスを通してでしか分かりません。「ステージ上の自分が自分の全てになる」という事実はとても恐ろしいもので、それを相手取ったキャラ設定をするのは綱渡りと言っていいでしょう。

イベントコミュ「IF(!Straylight)」では「元々の自分とは違う自分を演じてきたアイドルのストレイライトに、元々の自分と似たような役が依頼される」という複雑であり、ストレイライトとしての自分達を見直すストーリーが描かれた。

反対に、そんな綱渡りをしないというそれはそれで恐ろしい選択をしたのがノクチルではないでしょうか。天塵での振る舞いやその後のワールプールフールガールズなど、そのステージまで着いてこられた人のみがアイドル像を受け取れる、というスタイルはストレイライトと対照的な様に思えます。本人たちが意図しているのかどうかは分かりませんが・・・。

【THE W♡RLD】市川 雛菜 「ノクチルはノクチル」という他ないかもしれない。

とはいえ、ステージで歌うという事に関してはやはり重圧があります。理由こそは明かされませんでしたが、シャニアニでは甜花ちゃんがステージ裏で涙を流している描写があったりしますし、そんな重圧を和らげるためにW.I.N.G.などでオーディションの前にはプロデューサーが必ず声をかけますよね。

和らげ方は人それぞれ

それを跳ね除けて帰ってくるアイドルには本当に頭が上がりません。特にMOIW2023や異次元フェスのように、多数のアイドルが並ぶ舞台でそれをやってのける姿を見ると「この子達はどれだけ大きくなったんだ・・・」と感動してしまいますね!



いかがだったでしょうか。

このように、アイドルマスターシャイニーカラーズにはアイドルと曲が通じ合っていく素敵な「過程」が描かれています!

現在放送中のシャニアニはまだまだ物語の途中ですが、この視点に注目して頂けると皆様が楽しんでいる軸とはもう一つ違う軸として楽しんで頂けるんじゃないかと思います。
特にシャニソンではアイドルのソロ曲が随時追加中ですので、皆様の担当アイドルがどんな気持ちを持って歌っているか、チェインをチェックするのもおススメです!
また、シャニマスではMy Songs Collectionというガシャシリーズで出てくるカードにソロ曲に対するアイドルの想いが綴られたコミュが実装されておりますので、そちらも是非是非チェックしてください!

以上、長くなりましたがここまでお読みいただきありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?