見出し画像

【ワインの熟成と飲み頃は、至高、嗜好、志向?】

ワインも人も、時の経過とともに変化してゆくものだということは、以前にも記しました。

https://note.com/jp_kudo1985/n/n76e3a26be099

では、実際にワインの「熟成」とはどのような変化がもたらされるのでしょうか?

ワインの液体は、基本的には全てブドウの果汁です。造る際に、仕込み水を用いることはありません。それが、ワインは生鮮食品と並べて考えられる所以でもあります。


まず、出来立てのワインは果実味に富んでいて、いわゆる「フルーティー」なものです。 そこから少し時間が経過すると、香りは新鮮な果実から、わずかに煮詰まったようなイメージになり、さらに干した果実のような印象へと変化していきます。そこから、だんだんキノコや土、枯れ葉のような香り、あるいは動物臭のようなものも現れます。

これを、自然界に置き換えて考えてみると、、、

完熟を迎えた果実は、枝についたままでも時間の経過とともに徐々に乾燥してゆきます。 そして、やがては痛み始め、最後は地面に落ちます。

その落ちた土には、虫や動物のフン、枯れ葉など、様々な有機物質が含まれていて、落ちた実は徐々に土へと返っていきます。

ワインの色調もそうです。赤ワインは若いうちには紫がかった色合いから次第に褐色を帯びたオレンジ色、やがてはレンガ色へ、白ワインもまた緑がかった黄色の色調から、黄金色、やがては茶色へと変化していきます。

つまり、最終的には、赤ワインでも白ワインでも共に土の色へとたどり着くわけです。

いわゆる、これが「自然の摂理」です。

ワインの価値観は人それぞれだと思います。
そこに正解はありません。

我々人間の魅力がそれぞれの世代によって異なるように、ワインにも年代によってさまざまな魅力があります。

至高なる熟成、味わいの嗜好傾向、あるいはブランド志向?

すなわち、ワインには「絶対的な飲み頃」などは存在せず、飲み手が口に含むその瞬間、その瞬間に、その人にとって最上の「飲み頃」と思えることが理想です。

料理との相性は大前提とし、お客様一人一人の「好みの飲み頃」を瞬時に察知、そしてそれを見極めたうえで最良のワインをお選びすることが私たちソムリエの役割であり、更には、そこに揺るぎない存在意義を感じながら今日もダイニングに立ってワインをサーヴするのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?