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東日本大震災の教訓と経験

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東日本の現場で考えてきたことを、まとめています。
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東日本大震災から11年目

この話は、これらの話も関連しているので、気になる方は読んでいただけると嬉しいです。 2022年4月23日、24日の宮城県石巻市での時間です。プロジェクトの振り返りと新しいプロジェクトの始まりの始まりです。 約8年間、約8km区間のデザインに携わっていた旧北上川の堤防デザインの仕事が節目を迎えました。この堤防は国交省北上下流事務所および石巻市河川港湾課が主体となり、かわまちづくりを進めています。川湊の無堤だったまちに震災以後のさまざまな議論を経て、堤防をつくる決断をし、その

まちの編集

東日本大震災の被災地石巻市の旧北上川の堤防整備、約8キロのデザイン監修業務をやっています。 2019年・台風19号で、71河川128箇所で堤防決壊している。堤防建設現場をみながら感じたこと。 被災の有無に関わらず、その事業をやるべきかやらないべきか、他に投資するものがないかをしっかり考えないといけない。人が減るのだから、その分土地も余る。どこにでも住めるからこそ、どこに住むかを選ばないといけない。縦割り(国・県・市)とか横割り(省庁)とかは置いておいて、まち全体の編集が必

復興のなかの復興事業

この文章は長い年月のかかる事業に向かう人たちに向けて、書いています。話のきっかけは、先日携わっていた堤防の一部が完成したためです。2018年5月に竣工したので、東日本大震災からは7年と2ヶ月ほど経過しています。 この堤防に関して四つの話題です。 ・ まとめ;基本方針は大切にしよう ・ 計画の前提としての堤防方針(基本方針) ・ 新しくつくられた堤防空間(基本計画・実施設計) ・ 土木の時間と建築の時間(雑感) ー 大切なのは基本方針 今回、出来上がった空間は官民

問いをたてる

クリティカルシンキングとデザインについて、色々な人の話を聞くことができたので、建築・土木の計画論として、どういうものか考えてみました。 1.アメリカの教育の1シーン 2.問いをたてる 3.話会うこと 4.ある計画での問い ー アメリカの教育、FACT or OPINION 面白いことを聞きました。アメリカの小学校3年生の授業で、論理的思考を学ぶ一環で、ある文章に対して、FACT or OPINION の FとOを入れる授業があるそうです。すごいなと思いました。一人一人の語

コミュニティを特定しよう

コミュニティとは何だろうか。最近、コミュニティデザイン、という言葉もこの10年くらいで頻繁に聞こえる様になってきたが、それがなんとなく市民参加や、誰のものかわからなかったりするのでモヤモヤしていた。先日話を聞いて、「あ、これか」と感じたことを書いていく。 コミュニティは、もはやカタカナ言葉として通じる言葉になっているが、日本国語大辞典によると、以下の様に書いてある。 村落、都市、地方など、地域性と共同性という二つの要件を中心に構成されている社会のこと。特に地縁によって

モニュメント、慰霊碑をどう考えるか

「その眺望は多方向的である。それは奥行きとして知覚される。動く人間がこのなかに入れば、どの場所にたってもそこが中心となる。ここと決められた眺めの場所はなく、どの眺望も全て対等であり、移動し続ければ限りなく変化していく。想像力はこれを無限の大きさに変貌せしめる」イサム・ノグチ,ある彫刻家の世界,p169,1969 Isamu Noguchi「Black Sun」1969, Seattle これは1904-1988年、日米のハーフとして生まれ戦時から戦後を彫刻家という職能に

住まいの環境 文章を描く(5)

ルールは破るためにあるとは言わないが、日曜日でもあることだし、好きなことを描こうと思う。 住まいの環境について。 東本大震災の被災地の計画に携わり、人の住まいの環境に対して、考えるようになった。被災した人々の都市部的住まいにはもちろんアパートもあったが、それは大多数ではなく、多くの方は持ち家で500坪の土地に母屋、納屋、畑などを抱え、広々とした環境だった。移転団地は、規模にもよるが数十から数百世帯まである。ちなみに一般的な団地という言葉に対するイメージは中高層の建物が並ん

備前焼きの魅力

岡山の星さんの備前焼きの工房へ。 備前焼きは登窯で釉薬を一切使わず「酸化焔焼成」によって堅く締められた赤みの強い味わいや、「窯変」によって生まれる偶然の美学により生まれます。 全然知りませんでした。 写真は焼成の際に二つの器を重ねた下にあった器です。簡単に説明します。それぞれの器がくっつかないように器の間には藁をしきます。藁は炊き上げする赤松よりも高音で溶け出し、それが器にうつります。 そこで生まれるのが火襷と呼ばれる赤い文様です。 写真は内側から、火襷の後、器がおいてあ

自分らしい暮らし 選択性の高い復興住宅

#公営住宅 #選択 #東日本大震災 #復興計画 目次 1. 半島部での暮らしと状況 2. 選択性の高い復興住宅の概要 3. 選択性の高い復興住宅の結果 4. おまけの感想 1. 半島部での暮らしと状況 東日本の沿岸部、半島部での暮らしは主屋、倉庫、庭、作業場を持ち、家から一歩出たところには海・山・川・畑などの親んできた豊かな自然環境が広がっていた。 時代と供に様々な人が増えていき、その場所での暮らしが育まれ、何世代も前から人が住み続けてきた場所で、何百坪もある土地に伸びやか

事前復興 コミュニティの単位と仮設団地

出来れば、こちらから「事前復興 今ある暮らし」 https://note.mu/jp_fuukeiya/n/n91f38742aa84 上記リンクで、東日本で考えれば集会所単位が最も機動力と組織力の高いまとまりと感じた理由を書いてみたい。 以下は復興事業計画策定において、集会所単位が働く・機能する瞬間に対するメモである。 事前復興的観点で読む人は、復興計画の段取りを想像して読んで頂けると幸いである。 発災後、集会所単位の視点からは以下のことが動きが出す。 s1:避難所へ

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事前復興 今ある暮らし

Q 1:私の家と周辺環境 A 1:家は何坪あり、その家と外部環境との関係はどのようになっているのか Q 2:その一、私たちの住まい「住んでいる町・集落」はどのような生活で担保されているのか A 2:一次産業、二次産業、三次産業、六次化、半◯半◯、四半◯四半◯四半◯四半◯ Q 3:私の家と隣の家の関係はどのくらいの範囲で形成されているのか(集会所単位) A 3:30世帯、100世帯、300世帯、1000世帯 Q 4:集会所単位に在る施設は A 4:八百屋、魚屋、郵便局、コ

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