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オフィスの価値は「無駄さ」? リモートワーク歴5年の社員と考える、オンライン×リアルの新しい働き方

エンジニアリングで「楽しく働く」を追求する会社、ジョイゾーのnoteへようこそ。ここは、取締役COO・四宮琴絵(以下、琴絵)が営む「琴絵の部屋」。社員やクライアント、他企業で働くエンジニアまで、琴絵さんとおしゃべりをしにやって来ます。

『琴絵の部屋』を訪れたのは、ジョイゾーの社員で、札幌でフルリモートワークをするエンジニア社員、大門純平さん(以下、大門)。入社した2016年からずっと、完全なるリモートワーカーとしてジョイゾーで働いています。

コロナの時代に突入する前から、ジョイゾーは、リモートワークを手段として積極的に取り入れてきました。コロナによって社会全体が”強制的リモート”となっても、クラウド上の「kintone」での日報やビジネスチャットの「LINEWORKS」、バーチャルオフィス「oVice」などツールを駆使して、不足する社内コミュニケーションを補ってきました(「社員が結果を出せる」リモート時代のおすすめツール!)。

「リモートワークはあくまでも手段」そう考えるITのプロが、はやくからリモートワークを社内制度化してきた背景、会うことを制限されたことで感じたリモートワークの壁、これからのオフィスの価値、そこから見えてきたチームの課題など、リモートワークの話題からチームビルディングまで語ります。

<今日の『琴絵の部屋』ゲスト>
大門純平(だいもん・じゅんぺい)
株式会社ジョイゾーでシステムエンジニアとして、kintoneのカスタマイズなどの開発を行う。2014年にジョイゾーが請け負った三菱ふそうトラック・バス(株)様の大型案件を、外注先の宣伝会社の社員として請け負ったところから関係がスタート。取引先としてジョイゾーとの2年の付き合いを経て、2016年月にジョイゾーに入社。札幌在住のフルリモートワーカー。

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リモートワークで不足する社内コミュニケーション

琴絵 今日考えたいのは、コロナの時代にマスト課題となった「リモートワーク」について。札幌在住リモートワーカーとして、創業して4年(2016年)からジョイゾー古参メンバーとなった大門さんに、お付き合いしてもらうことにしました。

大門 ジョイゾーも組織として、転職してきたメンバー、新卒、インターンと新しい顔が増え、人数も20人を超えてどんどん拡大しています。リモートの働き方でメンバー間でのコミュニケーションをどう補うか。直近の課題ですよね。世の中としても、これからの働き方として、議論が必要なテーマだと思います。

琴絵 大門さんは入社した直後から、札幌からのフルリモートワークでした。とはいえ、当時は、顔と顔を合わせたコミュニケーションが必要と感じたらすぐに上京してもらっていました。コロナ前もいまも同じ「リモートワーク」でも、状況はかなり違いますよね?

大門 コロナ前は、月に1回あった社内飲み会のために上京していましたからね(笑)。必要と感じたら、体感できるコミュニケーションはそこで“差し込んで”いましたが、それが絶たれてしまった。会うことが規制されるコロナ下で切に感じるのは、たまにでも構わないから、「会う」のは大事ということです。

琴絵 「会う」ことの価値を、どのあたりで感じています?

大門 開発部分を担っている僕は、ひたすらモノを作るのが仕事です。業務効率だけを考えたら、リモートでいいのかもしれません。一方で、「いま、どんな状況やどういう心持ちで仕事をしているの?」とか、顔を合わせていれば自然と聞けて拾えるけれど、リモートの場合はかなり意識的にならないと、お互いの情報がどんどん不足していく。そういった情報がお互いに足りないことで、チームで動くときに、意識や視点がそろわなくなることが起こるだろうと考えています。

札幌にある外注先企業としての関係を経て、札幌在住フルリモートワーカーへ

琴絵 オンラインとオフラインの働き方について詳しく語る前に、大門さんとのジョイゾーとの出会いを、改めて振り返りましょうか。

大門 創業して怒涛の日々だったジョイゾーが、2014年に三菱ふそうトラック・バス(株)様の大型案件を請け負った際に、その外注先企業の社員として一緒に働いたのが始まりですね。僕は札幌にある小さな宣伝会社にいて、飲食店をはじめ企業のホームページを作ることをしていました。

業務システムを作ることに関しては素人でしたから、kintoneってなんですか?というレベルからのスタートでした。でも、当時プロジェクトを率いていた四宮さんがJavaScriptとHTMLを書けたら問題ないとのことで、画面作りを請け負っていました。

琴絵 私はまだ、子育てに専念して入社していないころですね。

大門 その大型案件以降も案件をご一緒して2年くらい経った2014年に、四宮さんからうちの会社に来ませんか? とメールをもらったんですよね。ただ、お誘いいただいた時は一度お断りしました。外注先としてのお付き合いは良好に続いていたなかで半年後、今度は僕のほうから「あの転職話は、まだ生きてますか?」と問い合わせたんですよね。

琴絵 夫は、一緒に働いてくれる社員を探していて。「一緒に仕事にしている札幌にいる会社の担当者が、すごいパフォーマンスを出してくる!」と大門さん獲得を、早くから“狙っていた”ようでした(笑)。一度こちらからの誘いを断られたのに、相手から言ってきてくれるとはラッキーだね! そんな会話をした記憶があります。

大門 僕自身が転職を考えたタイミングは半年後という、四宮さんの打診から時間がかかってしまった。それを受け入れていただいたのも、ありがたかったです。僕としては、自分が備えているスキルがSI企業に入って活かせるとは判断ができなかったなか、外注先という関係性で知ってくれた経験とスキルを評価していただけたことも、うれしかったです。

琴絵 転職への迷いはなかったですか?

大門 期待のほうが大きかったですね。今後kintoneというクラウドサービスが面白くなりそうという予感もあり、以前いた会社よりも給料もよかった。札幌からのフルリモートを快諾いただけたのも大きく、迷いはありませんでした。

琴絵 出会ったころから、大門さんには札幌に生活がありました。「フルリモート社員」という意識はそう強くなく、札幌で暮らす人に仕事を発注している。その延長でうちの社員に、という自然な感覚だったのではないですかね。

大門 僕としても、妻が小学校教諭として働いていたから転勤はできなくて、札幌から別の場所へ引っ越すことは、自分のライフスタイルでは考えにくかった。

琴絵 一緒に働きたい人と、場所がネックになりそれが叶わないのは、もったいない。そのための手段として、リモートワークは活かせると考えています。手段やツールとしてリモートワークができる社内環境を整えておくことで、ライフを理由に入社を諦める事態は避けられると思うんですよね。

大門 当時の四宮さんも、「うちにはすでに、リモート社員がいます。全く問題ないです!」と入社の際に言ってくださいました。ふたを開けると、そのリモート社員の住まいは「千葉」だった。東京へ通勤圏内の千葉と、札幌は、ちょっと意味合いが違うかなとは思いましたけどね(笑)。

琴絵 物理的な距離より、2時間の通勤時間のほうが遠い!新幹線や飛行機でのアクセスが良くて、サッと来れるほうが“近い”よね(笑)。

「無言のコミュニケーション」が成立しない。リモートワークの壁

琴絵 大門さんはそういった経緯で長くリモートワークですが、会おうと思えばいつでも会えたときは、私も不都合を感じていませんでした。けれど、足りないときに差し込めたオフコミュニケーションがコロナによって制限された。どんなにITツールを駆使しても、不足することは出てくるものだと感じています。

大門 同感です。

琴絵 オフィスで仕事して、夜ご飯を食べに行こう。その、少し仕事から抜けた時間をともにすることで、それぞれの側面を見れる機会がある。そういう時に、人となりをお互いに見ていると思うんですよね。

大門 毎朝9時半~10時はZoomで雑談タイムを設けていたり、コミュニケーションツールを入れたり、リモートの働き方を快適にするアクションは組織としていているもの、足りなさはありますね。朝の雑談をしていても、喋る人と喋らない人が出てくるのがありますよね。

僕は、喋ることが得意でも好きでもない。そういう人間にとってリアルのコミュニケーションだと無言で居ることにも意味があるけれど、リモートだと沈黙は「居ない」と同義になってしまいます。ゼロ。喋っていないのは照れ屋だから、とか、喋れない人なのか、喋らない人なのか。居ることで伝わるコミュニケーションができない

琴絵 ちょっとしたことを話かけられる距離感や、お互いの関係性という微妙なニュアンスもかかわりますよね。一度でも会ってコミュニケーションを交わしていると、オンラインになっても、次のときにアクションをしやすい。そういう関係性を経ずにいると、(今、話しかけていいのかな…)といった迷いみたいなものも発生してしまいます。

大門 特に、コロナ以降に仲間になった新メンバーとの難しさを感じていますか?

琴絵 そうですね。大門さんとも行き違いやすれ違いは起こることもあるでしょうが、創業すぐのころからいままでの時間を共にしたことで、「ジョイゾーの文化や価値観」をすでに共有していることが大きいと思っています。

古参メンバーと新参メンバーの意識のズレをどう揃えるか

琴絵 私も大門さんも、創業期からずっとチャレンジを続けてきました。でも、いまとこれからは、「確立できている会社」という入口からジョインしてくるメンバーが増えます。これまでは、kintoneのトップベンダーを走るために頑張ってきた。それがいまのジョイゾーはすでに、トップベンダーを走っています。

意識が違うスタートのところからきているから、会社の歴史をざっとでも知ってもらったうえでいまの組織を認識していないと、古いメンバーと新しいメンバーでのコミュニケーション齟齬が起きやすい。そこを円滑にするためにも、自分たちの歴史や会社としての前提を、注意深くみんなに伝えていく必要性を感じています。

大門 リモートワークは、社員間でお互いの信頼関係がないと成立しない。すごく難易度の高い働き方だと、長くリモートワークをしているからこそ思います。求められているアウトプットさえ出せば、それをどうやるか。時間の使い方は自分で管理していい。サボろうと思えばサボれるという「管理されないリモートワーク」は、ちゃんとした信頼関係があるから、成り立つ。信頼されているから信頼で返すというものがないと、どこかで綻びが出るでしょうね。

琴絵 リモートワークは本来、自分でパフォーマンスをあげないといけない。コミュニケーションが取れ、会社で働くうえで、自分の役割として何をしないといけないのか。何をやるべきなのか。それができてはじめて、オフィスで顔を合わせなくても仕事ができます。

大門 一方で、新しいメンバーや右も左もわからない新卒何年目かまでは、管理が必要な時期があります。そういう、個々の状態やスキルに合わせて、リモートワークの方法もカスタマイズしていく必要が出てきていますね。

琴絵 こういった理解を飛ばして、「コミュニケーション不足だけど、リモートワークがしたい」などという意見を聞くと、それは違う。本末転倒だよ、と話をしています。課題ですね。

大門 社員20人を超えたジョイゾーの組織としての段階が、ちょうどコミュニケーションが難しくなる時期であることも関係していますね。

琴絵 そうですね。いま社員は29名(8月末時点)。社内マネジメントにおける「20人の壁」です。いまは、なんとなく、業務の違いで線引きして「チーム分け」をしている。でもそれがチーム間の分断になってはいけない。

これからのオフィスの役割は、会いたい・喋りたい時に出ていける場所

大門 9月にジョイゾーは、新オフィスへの移転します。移転の背景には、コミュニケーションの不足感を解消するための「場づくり」という側面もありますか?

琴絵 オフィスに勤務がマストではなくて、オフィスに働きに行ったほうが気分転換になるよね。そういう場所が、これからのオフィスになっていくのだと思います。人に会いたくて、誰かと喋っていたほうがいいよね、というときは事務所に出ていける。そういう立ち位置。

オフィスに出社したほうが、コミュニケーションとしては、余計な話がよくできる。どうでもいい話、無駄話から会社で仲良くもなるし、どうでもいい話から発想の幅が広がっていたりもします。

制度としては、リモートは便利です。新しくジョイゾーにコミットしてくれたメンバーも、うちの働き方に共感してくれているところがあります。でも、フレキシブルな働き方をいろいろと取り入れていても、不満やほころびが出てくる。そういう細かな課題を解決していきたい。会社が大きくなっていっても、ジョイゾーらしさは消したくないから。

大門 こうやって琴絵さんと対話したことで、自分が課題感としてあったことが明確化したところがあります。

琴絵 コロナ生活はまだ続く。制限が多いなかでも、ジョイゾーとしての課題は待ったなし。だから、7月からは、業務の役割を分け、タスクマネジメントの領域を任せようと、マネジャー職として新しいメンバーを2人採用しました。案件を回すなど、業務に対するタスクマネジメントは別の人に任せて、私はもっと、社員一人ひとりをケアするチームマネジメントの動きにシフトしています。具体的には、1on1で、一人ひとりと個別に面談していく時間を増やそうと考えています。

試行錯誤の段階ですけれど、試行錯誤をしていることもちゃんと伝えておくことも、成長しようとする企業に大事なことかなと思います。

大門 「試行錯誤も共有」は納得。特に若いメンバーは、会社とは出来上がっているもの、という印象を抱きがち。そこに完璧なシステムがあって、制度があって、自分たちはそのルールを遵守さえすればいい、というふうに。そうではなくて、一緒に作っていくものなんですよね。

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琴絵 そう、私もそう思っています。

大門 ほかの企業が一様にそうだとは言えないけれど、少なくともジョイゾーは、「すべての仲間が働きやすい場所を一緒に作っていく」組織を目指している。そういうジョイゾーに創業期から流れている価値観を、まだ感じきれていない人がいるのかも。ふと思いました。

琴絵 若いメンバーは、私を完璧な人だと思っているのでは? そう不安になるときもあります。琴絵さんに相談するとなんとかしてもらえる!そう信頼して頼ってくれているのはうれしいけれど、難なくやっていることはなく、チャレンジして、失敗していることも多い。最終的に”なんとかするだけ”なのになぁ(笑)。

大門 琴絵さんだからできる。そう思われているところ、ありそうですね(苦笑)。

琴絵 新しく入ってくれたメンバーの一人が、仕事の進め方で「こうしたほうがいいです」と改善点を私に指摘してくれたことがありました。もっともだと思ったし、私が気づかなかった視点をくれてありがとう、とすぐにやり方を変えたんですね。それに対して、指摘した本人が「意見を取り入れてくれて驚いた」と言いました。良くないことは変えて、良いものは誰の意見であろうが取り入れる。それだけなんですけどね。

大門 上司と部下は立場の上下ではなく、役割の差にすぎない。それはジョイゾーのとても大事なカルチャーであり、フラットな関係性から生まれるものがジョイゾーの強みや革新性につながっている。この前提を、昔からいる僕は肌感覚で理解していますが、リモートでは共有しづらいところがありますよね。

琴絵 その会社の「空気」「文化」を伝播させていく。メンバー間の意識やゴールを揃えるために、10周年になる今年は、「ENJOY YOUR WORLD 〜新しい波を楽しもう〜」というビジョンをはじめ、ビジョン・ミッション・バリューを一新。改めて自分たちの会社について言葉で定義し直し、社内で共有しました。より意識的にならないとですね。

大門 リモートワークを定義することで、ジョイゾーの課題がくっきりしてきましたね。

<『琴絵の部屋』ホスト>
四宮琴絵(しのみや・ことえ)

株式会社ジョイゾー取締役COO。サイボウズ社提供「kintone」の定額開発サービス「システム39」コンサルタント。システム会社に事務職として就職した後、システム部への異動を希望しエンジニアとなる。結婚を機に退職し、2006年に第一子出産、2008年に第二子出産、2013年に第三子出産し、約10年主婦業と子育てに専念する。2014年にパートという働き方から復職し、対面開発のエンジニア兼COOとして、業務執行の責任を持ちながら経営にも参加する。8歳、12歳、15歳を育てるママ。

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(▲)向かって前列右から2番目が琴絵さん。ジョイゾー新オフィスへの移転前、最後にオフィス掃除をしたメンバーと。

ジョイゾーは、エンジニアリングで新しい波を広げます

ジョイゾーは、サイボウズ社の「kintone」(キントーン)を専門にコンサルティングやシステム開発を行うSIerです。すべての人生を楽しくするために、SIerとしてエンジニアリングの可能性を追求しています。

編集・構成協力/コルクラボギルド(平山ゆりの)

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