うさぎに導かれた月③
マスターが僕に声を掛けた。
「佳月君は何色が好き?」
僕は声をかけられたことに驚きながら
「、、、あ、青、、、です」
いや、緑?
ん、黄色も好きだけど、、、
そんな事を考えながらマスターに目をやると
後ろの棚に並べられているカップの中から濃い群青色のコーヒーカップを手に取り
淹れたてのコーヒーを注いだ。
「さぁ、飲んで。飲みながら面接でいいよ」
僕は動揺した。
「えっ、、、あ、はい、、、ありがとうございます。頂きます、、、」
カップを覗くとカウンターの上に吊るされたライトが映り込んでいて、まるで満月のようだった。
ゆっくりとカップを持ち上げコーヒーの香りと湯気を感じながらひとくちすすった。
鼻から抜けるコーヒーの香り、芳醇な味わいのある後味が少し緊張していた僕の身体を緩めてくれた。
ソーサーとカップには星空のような模様が施されてあり、まるで夜空をモチーフにしたようなコーヒーカップでお洒落だった。
「美味いです。」
僕が言うとマスターはニコニコしながら
「明日から来れる?」
そう言われ僕は
「えっ?!あ、、、はい、、、えっ!?」
と驚きながら返事をしていると
後ろから声がした…
「おとうさん、、、いつもいきなりなんだから、、、ちゃんと順番に話さないと…。」
とさっきまで本を読んでいた女性があきれた表情をしながら話しかけてきた。
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