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うさぎに導かれた月①

僕はこの春大学生になった。
やってみたかった喫茶店のアルバイトをする為に面接に行った。
裏路地にあるレンガ調のその喫茶店の前には
『雑草』という看板が立てられていた。なんで『雑草』なんだろうと思いつつ約束の15:00になる前に扉を開けて中に入った。

カランカラン…何か懐かしさを感じる。
薄暗い店内にお客さんは3人。
1人は新聞を読みながらサンドイッチを頬張るサラリーマン。もう1人はカウンターに座ってマスターと話をする白髪のおばあさん。そして、ソファーに座って本を読む長い黒髪が印象的な女性。
店内はコーヒーのいい香りが充満して、すごく居心地が良かった。

「いらっしゃい」

白い髭が印象的なマスターが僕に声を掛けた。
店内に飾ってある振り子時計に目をやったマスターが
「あぁ、面接に来た佳月(カツキ)君かな?
ここ、カウンターに座って」
バリトンの心地の良い優しい声で僕を呼んだ。

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