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「これでいいのか?日本の税務署!」②

「これでいいのか?日本の税務署!」②
今回は、
1 Aさんの経歴と農場経営の実態。
2 Aさんが抱えていた問題。
3 白河地方税務署で起きたことの詳細。
の順に述べていく。

①Aさんの経歴と農場経営の実態
Aさんは昭和28年に福島県西白河郡矢吹町で出生、中学卒業後に横浜の印刷会社に3年間勤務した後、矢吹町に戻りガソリンスタンド店員、呉服店の店員、不動産会社の受付等の職業に就き、23歳の時に個人で農場を営んでいたB氏と結婚。
以来、子牛の育成販売と生乳の販売等を中心とした畜産業の現場作業者として夫を
支えてきた。
平成14年に個人経営から法人化して有限会社〇〇農場を設立し、夫は代表取締役に、Aさんは取締役に就任した。平成23年に大規模設備投資をして経営の合理化を図ろうとしたが、これに失敗して8,000万円の債務を抱えることになった。
倒産の危機に瀕したが、B氏は外に働きに出て給与収入を得、Aさんは一人で農場
の仕事を切り盛りすることで倒産は回避することができた。
この頃、障害者施設からの依頼により二人の障害者を雇用した。(知的障害者のため作業について細かく指示、監督する必要がある。)
多岐にわたる現場作業、雇用人の管理・監督、事務作業等で目の回るような多忙の日々を送り、休みの日は皆無である。
②Aさんが抱えていた問題。
生き物が相手の業務であること、知的障害者である二人の雇用人への指示と監督で手一杯であることから、税務申告については、必要な資料を民主商工会に提出して申告書の作成を委託してきたが、民主商工会側の方針変更により平成29年8月からの事業年度分からは資料のまとめまでは自らが行い、申告書の作成だけを委託する形となった。
しかしながら日々の業務に追われて経理事務まで手が回らずに後述の通り白河地方税務署に確定申告書の提出は遅れてしまった。
夫は外に職を得て以来、農場の仕事はすべてAさんに任せきりである。
さらにAさんは何かにつけ夫からDVを受けており、協力は望めないどころか相談
さえできない状況にある。

③問題とする白河地方税務署で起きたことの詳細。
令和2年9月1日に、民主商工会が作成した平成28年度の法人税及び消費税の確定申告書を白河地方税務署に提出した。
その後、白河地方税務署から「印鑑持参で来所してください」との連絡を受けたので、令和2年11月16日午後に白河地方税務署に出向き、平成29年度の法人税及び消費税の確定申告書を窓口受付に提出した。
その際に、ある女性職員に案内されて奥の部屋に通されて3人の担当官がAさんに応対した。すぐに「録音します。」と告げられた。
そして「さっき提出された申告書は受け取れない」として、受理収受印の上に消印が捺されたたものを返された。
そこから何枚もの書類と各事業年度の納付税額が記載された用紙を出され、説明が
行われた。その書類とは、白河地方税務署が作成した、提出が遅滞していたこれまでの消費税確定申告書4期分(平成28~令和元年度)とその法人税申告書だった。
前述の9/1に提出した申告書については修正申告書とされていた。
Aさんは聴力に問題を抱えていたのでよく聞き取れないため「マスクを取って大きな声で話してほしい」旨を伝えたが聞き入れられず、内容はよく理解できなかった。
ただ金額が大きいことに驚いて「飼料の経費控除はできないのか、税額を抑える方法はないのか、5年分割にならないか」と質問するも「この金額が正しい、これしか方法はない、5年は駄目です4年です」ということであった。
そして白河地方税務署が作成していた申告書に署名・押印してくださいと促された。
Aさんは税務に疎い上に、話を聞き取りにくいために担当官の説明を理解できなかったが、白河地方税務署の指示に従って署名・押印してしまった。
後でよく見て理解したかったのでコピーがほしいと伝えても聞き入れられなかった。
この時の心情については「ハンコをおさないと帰れない、牛たちの世話や二人の雇用人のことで早く帰らないといけないし追い詰められた気持ちでした。」
白河地方税務署での滞在時間は1時間半ほどだったという。

さて、この話の概要をご覧になってどういう感想をお持ちだろうか。
確かに、事情はどうあれAさん側にも税務申告の遅滞という落ち度はある。
しかし、白河地方税務署のとった事務処理は法律に抵触するものではないのか。
仮にそうであるなら、この事務処理に基づく税徴収は違法ということになる。
加えて、税務署担当官の態度は、納税者の人権を念頭に置く国税庁の税務運営方針から大きく逸脱しており、許し難いものである。
相談内容の通りであるとするなら、公用文書等棄損罪(刑法258条)、公務員職権乱用罪(刑法193条)、私文書偽造罪(刑法158条)、監禁罪(刑法220条)及び強要罪(刑法223条1項)に該当する可能性のある問題である。

さらに、ご存じの通り、警視庁、都道府県警察本部の場合(都道府県毎に多少の違いはあるが)、警察官を捜査する監察官が配置されており、監察官はその役割からいわば「警察の中の警察」とされ、監察官室も警務部の中に置かれている。これは警察の自浄作用を担保するための組織であるが、このような部署は国税庁には存在しない。
私は、国民から税を直接徴収する立場の組織において、自らの過失や不正を監視する組織の必要性をかねてから感じていたところに今回の相談である。

この話の焦点となるのが白河地方税務署のとった事務処理の正当性という点であることから、次回は税理士と弁護士による見解を開示するつもりである。

『憂国の翁』

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