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遠目から眺める絶景。 さくらが満開を迎え、青空の下で舞い踊る。 いつか思い出の中に咲く花が今、 はらはらと散りゆく。 めぐるめぐる春。 また一つ、思い出が重なる。 「綺麗ね」 微笑みながら、大切な人と見つめる。 「そうね」 そんな会話もこれから、 またどこかで思い出すんだろう。 一人で見るさくらと。 誰かと見るさくらは少し違う気がする。 いつまでも見ていたい気持ちはあるけど。 いつか無くなるからこそ、趣を感じるから。 さよなら、ではなく。 またねっ
さくら咲く。 瞬きひとつで消えてしまいそうな花びらが そっとふわり掌へ。 ほんのり淡紅色から白色のグラデーション。 内側からそろりと雪を溶かしていくよう。 目に移す度、心が丸ごと惹かれてやまない。 花が団子か、選ぶならば迷わず花。 哀しいくらいに、意識の中でさくらは 声を上げるのだろう。 「わたしを見て」って、恋する乙女みたいに。 薄命を燃やして、美しく、懸命に。 だから、きっと心を掴んで離さないのだ。 さくら咲く。 愛しき、散りゆく花よ。 追記:昨日