地域猫活動 その15
地域猫活動につきましては、こうして記事を出させていただいてますが、毎回ご注目いただいてる皆様、ありがとうございます。
今や全国各地で展開されつつある地域猫活動です。しかし実際に携わっている皆様でしたら、きっとおわかりのことと思いますが、次々といろいろな問題が起きてきて、なかなか終わりがないというのが現実だと思います。
子猫館の改良工事
前回の記事でお知らせした通り、保護猫ハナは、「ずっとのおうち」に旅立ちました。これでとりあえず、子猫館の第1期生が卒業したわけです。ただ心残りなのは、この時点で相変わらず5匹のうちの残り1匹の手がかりが全くなく、同じお腹から生まれた子猫すべてを保護できなかったことです。ただ、もしもこの子を発見した場合は、一刻も早く保護するつもりでいました。間もなく迎えようとしていた冬の季節は、まだ生まれて4ヶ月程度の子猫が外で生活するには、あまりにも過酷な環境です。
そのこともあって、子猫館の内装など、使ってみて気になる点について、改良工事をすることにしました。人間の住む家でも同じ事だと思いますが、住んでいるまま状態で改築工事というのは、普通あまりやらないことではないかと思います。それは猫小屋でも同じことです。
13話で紹介したこの図は、ちょっと言葉が足りなくて失礼しましたが、これはあくまでも現在の設備で、この第1期生が卒業した時点では、3階部分のプレールームはまだありませんでした。また、2階部分から猫トイレのある1階部分に降りる階段が急で、子猫だと、ある程度運動能力がついてきてからでないと、上り下りが難しいかも知れないというのを、観察していて気づきました。何しろ、はじめは間に合わせで急に作ったようなものなので問題点も出てくるわけです。そこで、在籍する猫がいない時に改築工事ということにしました。
次年度の予定を考えるには
子猫館の改修を終えると、ほどなく12月も年の暮れが迫ってきました。残念ながら、TNRに関しては、市の助成金予算が底をついてしまったので、しばらく休止です。しかし、次年度の4月からは早々に開始できるように、万全の用意をしておく必要があります。
そこで必要になってくるのが、2019年から続けていた猫の動向調査です。個体識別はできたものの、主にどの付近を縄張りとして生息しているのかも調べ上げておかないと、計画的に確実に捕獲することが難しくなります。つまり、乱暴な例えですが、警察も必ず犯人の居場所を特定して逮捕に踏み切るはずで、犯人が居ない場所をいくら探しても捕まらないのと同じことです。
動画をご覧いただくと、避妊・去勢手術の必要性が、本当によくわかると思います。この調子で、時期になると町内の至る所で激しい喧嘩をされると、住民としては非常に迷惑ですよね。
ところで、この動画に記録した地域猫の喧嘩は、その後の猫たちの動向を知るためにも、非常に大切な記録になったんです。
私たちの暮らす団地では、地域のいわゆる「ボス猫」として、かつてものすごい猫がいました。
外猫としては、非常に珍しく、およそ10歳前後まで生きたと考えられています。俗に言う野良猫ですから、その生活が厳しいことは言うまでもなく、通常ですと、平均的に5年ぐらいが外猫の寿命だと、以前は言われていました。ところがこの「シン」は、住民の話や容姿(バサバサでツヤのない毛並みや抜けた歯がある)などから、推定で10歳前後の老猫と判断しました。ほぼ一年中、喧嘩の怪我とみられる生傷が絶えないこと。住民に写真を見せると、知らない人がほとんどいなかったこと。また、町内のどこの場所に行っても見かけることがあり、さらに、自分の排泄物を隠さないという、あまりありがたくない性格で、人々に覚えられていました。つまり、シンの「置き土産」に住民は参っていたのです。と言うことは、かなりの広範囲にわたる縄張りを持っていたという見方が当てはまるでしょうか。これは、ボスの存在を確認しておいて、猫たちの動向を掴んでから、TNRの順序や作戦を考える必要があったからです。何しろオス猫の場合は、去勢しない限り、その繁殖能力は生涯続くとのことですから、当然そんなボス格の猫が、縄張りである町内にDNAを多く残すことが考えられます。
ところが、このシンが、私の記録では、2020年の5月1日を最後に、ぱったりと消息がわからなくなってしまったのです。それからしばらくして、住民からの情報で、シンが交通事故で虹の橋を渡ったらしいということで、それ以後は全く見かけなくなったことと、住民が覚えていた時期とシンを見かけなくなった時期がぴったり一致することから、死亡と断定しました。
住民からの聞き取りが大切
この時に思ったことですが、住民からの情報というのは、本当にありがたいもので、それによって様々なことがわかりました。そして、ついでにシンが長生きした理由も何となくわかってきました。それが皮肉なことに、あの不適切な餌やりのためではないかと言われているのです。確かに、ゴミ漁りなどで人間の食べ物を専門にゲットしている外猫は、長生きしないのが当たり前で、毎日毎日ペットフードを与えていれば、長生きしてしまったという理由もわからなくはないです。まあ、それはともかく、今度はどの猫がボスの座につくのかということで、縄張りの範囲や、メス猫と関係する順序などが決まってくるわけです。
住民の協力に対して、最大の感謝の気持ちを表すことは、何と言っても地域猫のTNRの実績をあげること、これが一番だと思いました。
本日も最後まで記事をお読みいただきまして、ありがとうございました。
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