東京海上HDの海外事業について
東京海上HDは連結純利益の5割を海外で稼いでいます。
他のメガ損保と比較して売上高、純利益ともに突出しており実質損保業界のなかで東京海上HD1強と言っても過言ではないと思っています。
2002年の売上構成比は国内が97%、海外が3%でしたが、2022年には国内が51%、海外が49%と海外事業を急成長させてきました。
海外事業の主役の一つにアメリカのHCCという企業があります。
東京海上HDが買収した企業で過去最大の海外M&Aでした。
このHCCの強みは「スペシャリティ保険」と呼ばれる専門性の高い保険です。
スペシャリティ保険はサイバー保険などの特殊性の高い保険商品です。
HCCはスペシャリティ保険を多数取り扱っており、同企業の保険料収入は非常に高いことが特徴です。
また、東京海上HDはHCCの保険を参考に日本でもスペシャリティ保険を拡充しています。(以下の資料の保険を展開)
このスペシャリティ保険は火災保険などと比べて災害の影響を受けにくく、比較的利益が安定しています。
上の表は東京海上HDの2023年度第2四半期決算における通期の海外事業の利益予想です。
HCCが増加しているのがわかると思いますが、注目してほしいのが前年増減率が突出していることです。
スペシャリティ保険が好調なことが数字からもうかがえます。
保険というのはストック型ビジネスの典型であり、先にお金を集めて保険会社がサービス(=保険金)を提供するのは何かが起きてからになります。
何も起きないこともあるため、保険会社は非常に稼げるビジネスモデルなのです。
投資の神様であるウォーレンバフェットが率いるバークシャーハサウェイも保険事業を行っていますのでいかに稼げる業種なのかわかると思います。
多くの人から集めたお金を使って保険会社は事業を拡大することができるため、東京海上HDは海外事業に注力をしています。
HCC買収もその一環であり、HCCの好調さから東京海上HDはさらなる収益基盤を作ることに成功したと考えられます。
実は国内の伝統的な損保ビジネスは自然災害の増加などにより保険金支払いがかさみ、厳しい環境にあるのが現実です。
そのため、伝統的な損保ビジネスだけでなくリスク分散の意味も込めて多角的な保険商品の展開が重要になってきます。
東京海上HDはリーマンショック以降からグローバル化で先行してきました。
今ではHCCなどの海外保険会社がグループの保険料収入に非常に貢献しており、今後もその収入を伸ばすことが予想されています。
伝統的な損保ビジネスとスペシャリティ保険という両輪を活用し、ストック型ビジネスで集めた資金をエンジンとして今後も東京海上HDは成長していくかもしれないですね。
東京海上HDの詳しい企業研究などを書いていますので読んでいただけると幸いです。
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