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マルハニチロ 培養魚肉への挑戦

培養魚肉というものをご存知でしょうか。

培養魚肉とは魚から採取した細胞に栄養素を与え、培養装置で増やして作られる人工的な魚肉のことです。

そんなもの食べられないという方もいるかもしれませんが、以下の写真を見てください。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211117/amp/k10013349721000.html


培養されて作られた魚肉だとは思わないのではないでしょうか。
技術の進歩をものすごく感じる領域です。

鶏肉などの培養肉についてはシンガポールや米国で飲食店向けに提供が始まっています。

特に大豆から作られる代替肉でトップランナーのビヨンドミートは有名です。
ビヨンドミートについては以下の記事で書いていますので読んでいただけると幸いです。


しかし、培養魚肉は各国政府の認可を得た企業がなく、まだ販売には至っていません。

水産大手のマルハニチロは培養魚肉をシンガポールの新興企業とともに商品化する予定だとしています。

かまぼこのような練り製品をシンガポールなどの海外で販売するという計画だそうです。

欧米や東南アジアでは日本食や日本の水産物の人気が高まっており、マルハニチロは高級スーパーでの需要を見込んでいます。

ではなぜ培養魚肉の研究が進んでいるのでしょうか。

一つ目の理由は環境問題の軽減に培養魚肉が貢献できると予想されているからです。

最新の研究では、底引き網漁に使われる漁船の燃料が、年間1ギガトンもの二酸化炭素を排出すると推計されています。

これは、航空業界を上回るレベルの排出量だそうです。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211117/amp/k10013349721000.html


二つ目の理由は資源には限りがあるということです。

実は世界の1人当たりの水産物消費量はこの50年で約2倍に増えた一方で漁獲量は少しずつ減りつつあります。

世界の水産物消費量
(https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h29_h/trend/1/t1_2_3_2.html)


今後も世界の人口増加で水産資源は不足する恐れがあり、そのため海外を中心に培養魚肉の開発競争が活発になっているのです。

水産大手であるマルハニチロも漁獲だけに頼らない事業構造の転換が迫られており、新分野を開拓するべく培養魚肉の研究を行っています。

培養の技術で魚肉を作ることができれば、漁業による二酸化炭素の排出を減らますし、水産資源の乱獲を防ぐことにもつなげられます。

今後は獲る漁業ではなく創る漁業も必要になってくるのではないでしょうか。

マルハニチロについての詳しい記事も書いていますので併せて読んでいただけると嬉しいです。



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