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2025 Spring & Summer ミラノコレクション雑感


gap PRESSのMILAN/NEW YORK 2025 Spring & Summer コレクション特集号を購入したので、3つのブランドをピックアップして雑感を書かせていただこうと思います。


BOTTEGA VENETA


今期のテーマは“WOW!”

子供時代の自由な感覚と、思春期を経て変容し何者かになった自分自身をリンクさせ、過去と現実が夢の中で入り混じるような遊び心溢れるコレクションを披露しました。

秋頃に帰国してカットしに来てくださったアントワープ王立アカデミーを卒業したお客様が、エディがセリーヌを辞めるならマチューのいるボッテガ・ヴェネタに行きたいと言っていましたが、それだけマチューは面白い服作りをしているのだと思います。

ボッテガ・ヴェネタは、前任のダニエル・リーの時に一躍トレンドセッターのポジションへとブランドを導きましたが、その後を引き継いだマチューも素晴らしいクリエイションを続けており、ボッテガとしてはダニエルが去った危機を見事に乗り越えさらにブランドの価値を高め続けることに成功しています。

マチューも素晴らしいですが、経営陣の手腕も素晴らしいのでしょう。

PRADA



プラダもラフ・シモンズの電撃的な加入以来、現在のモード界において常に注目を集める存在であり続けています。

「無限の現在」を意味する“INFINITE PRESENT”が今期のテーマ。

“有限のプログラムで構成された情報社会の構造と対をなす、人々の持つ無限の選択肢にフォーカス”しているらしいです。

近年のテクノロジーの進化や、なんだかちょっと量子学っぽさも入ってそうな考察ですね。

粒子のようにも波のようにも振る舞う不思議な性質を持つ素粒子やニュートリノなどを扱う量子学の世界では、“人々の持つ無限の選択肢”から選択した答えさえも遥か昔にその行動を起こすことが決まっているとも言われています。

2002年の映画『マイノリティ・リポート』では、犯罪を起こす人物を3人の予知能力者たちに事前に割り出させ、犯行前に拘束する犯罪予防局という仮想未来が描かれていました。

これは2054年を舞台にした作品ですが、もしかしたら現実には2054年に未来の犯罪者を割り出す役目をしているのは予知能力者ではなく最先端の量子コンピュータを搭載したAIかも知れません。

話が逸れてますが、このコレクションでラフが訴えたかったのはそんな未来の難しい話ではなく、SNSなどインターネットのアルゴリズムによってコントロールされた今の”有限”(マジョリティ)の領域から抜け出して、もっとみんな恐れずに自分の個性や感性を出すことでファッションに多様性や意外性を出して楽しんでほしいというような率直な思いなんだと感じます。

それは僕も共感するところがあります。

Jil Sander


ルーシー&ルーク・メイヤー夫妻がJil Sanderのクリエイティヴ・ディレクターに就任した2017年は、長年セリーヌで唯一無二の素晴らしいクリエイションを続けていたフィービー・ファイロがブランドを去った年でもありました。

当時のセリーヌは、世界だけでなく日本のアパレルブランドの中にもセリーヌのパターン(型紙)を真似るところが多くありました。

今の時代だと、ザ・ロウやこのジル・サンダーなどがそういう参考にされやすいブランドだと思います。

日本のファストファッションブランドのユニクロも近年、クリストフ・ルメールやクロエなどで活躍したクレア・ワイト・ケラーなどと契約を結び、それぞれのラインからコレクションを展開しています。

これらのデザイナーに共通するところは、そのクリエイションの根底が“ベーシック”であるということです。

モードの世界には、一部のファッション上級者にしか好まれなかったり着こなせないような洋服も毎シーズンたくさん発表されます。

その一方で、一般的な日常のベーシックファッションをアップデートさせたような洋服を作り続けているデザイナーもたくさんいます。その“ニュー・ベーシック”な服作りのトップにいるのが上に挙げたようなデザイナーたちです。

彼(彼女or LGBTQ+)らの作る洋服は、細部までこだわって作り込まれていますが、一般人の多くは(値段が高くなる代償として)そこまで望んでいなくて「もう少し手の届きやすい価格帯で同じようなデザインの服」を求めているわけです。

だから、それらのブランドのパターンを参考にしたようなブランドの洋服というのは多くの需要を見込めるので、それを真似したような服を作るブランドも多いんです。

フィービー・ファイロがセリーヌを離れた時、その顧客のうち少なくない人数がルーシー&ルークがデザイナーに就任したジル・サンダーに流れたと聞きました。

それだけ目の肥えたファッション愛好者たちを惹きつけるクリエイションだったのだと思います。

ルーシー&ルークのジル・サンダーでの仕事は、ストリートやクチュールライクな要素を積極的に取り入れるなど、これまでの“ニュー・ベーシック”の考え方にさらに多様性を持たせアップデートさせたもので、就任から7年が経過した現在においても新鮮さを失うことなく素晴らしいコレクションを発表し続けています。


おわりに

コレクション自体の説明というよりは側面的なお話が多くなってすみませんでした。

今回の記事は、僕がNOTEで書いた初めての記事となります。
大変稚拙でお見苦しく、しかも僕は単なる一般人ですので、上に書いたことも業界の人から見たらとんでもなく的外れなことを書いてる可能性だってある内容だと思います。
ですが、これでもいつも使ってるWordPressよりは遥かに使いやすいアプリだと驚愕しながら書いてました。

これからも趣味のことなど、自分への議忘録としてちょくちょく書いていこうと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。


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