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「熱源」(川越宗一著)

北海道を舞台にした小説なので読んだ本。
北海道旅行の時点で半分くらい読んでいた。

あらすじは、明治から大正、第二次大戦直後までの樺太、北海道、日本、ヨーロッパが舞台。アイヌをはじめとした北方民族や政治犯として樺太に流刑されたポーランド人、日本人の生き様を描いたもの。

予備知識なしで読んでいたのだが、北海道で博物館「ウポポイ」に行ったら、小説に出てくる人の展示や銅像があって驚いた。
実在する人物を書いていたのだ。

小説の登場人物ピウツスキの胸像
小説の登場人物、千徳太郎治も

これをみた時は感激した。
あの小説って本当だったのか!!いや小説だから創作なんだけど、本当にあの時代に悩みながらも熱く生きた人々がいたんだと思うと心が揺さぶられた。
小説、読んで行ってよかった。

後で調べたら、そもそも小説がここの博物館(ウポポイという施設になったのは2020年だが、その前から博物館だった)を訪問したのがきっかけだったとのこと。

時代背景は古いし、外国人の名前がたくさん出てくるけど混乱せず読める。読みやすいと思う。

「アイヌ」というのは「人間」という意味だそうだ。
変わって行く時代の中で、もがき悩みながら、適応して生きて行く姿。
今だって、状況は違えど、環境がめまぐるしく変わっている。
その中で、それぞれな自分のルーツを認識しつつ、どう適応していくのか?

タイトルの「熱源」。
この本の最後で、意味が回収されたと思う。

読み応えがあった。
歴史に詳しくなくても、外国人の名前が苦手でも読み通せる。
多少ボリュームのある小説でも、面白ければ読み通せる人には自信を持ってお勧めしたい。

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