二つの漫画で「フリチン」を見つけて感激した話

『ゴールデンカムイ』で、全裸状態すなわちフルチンのことをフリチンと表記していた。
ファンブックか何かで、それは作者のこだわりだと知った。

野田サトル先生独自の表記か…と思っていた。

ところが、ゲゲゲの鬼太郎コミック版を読んでいたら、裸で走ってくるねずみ男に向かって、鬼太郎が「なんだおまえフリチンで!!」と言っているのを見つけた。

なんと。
私の最推しの漫画家2人が同じ表現をしているとは驚いた。

水木しげる先生がなぜフルではなくフリと表現をしたのかはわからない。だが、確かに「フリ」だった。

先ほどのセリフは中公文庫の「決定版 ゲゲゲの鬼太郎」6巻収録の「目目蓮(もくもくれん)」という話のものである。
先のセリフを言っている時の鬼太郎の目線も秀逸だ。この一コマだけで相当笑える。

中公文庫の6巻には、フリチンの他に、「その後のゲゲゲの鬼太郎」も収録されていた。妖怪退治に疲れた鬼太郎が南方へ行く話なのだが、水木しげるのこの世あの世の捉え方がよく現れている話だと思う。
船旅する際の食糧のくだりも、単なるキタナイ話に見えるけれど、実は「物質の循環」の話だと思う。
100分で名著を読んでから、この話を読みたかったので6巻はとても良かった。

ものすごい画力の絵の中で、一見するとくだらない会話を繰り広げる漫画。
気の遠くなるような描き込みをしてある絵の中で、キャラクターは「オナラぷー」で、フリチンで、うんこを干物にするのである。

単なる悪ふざけではないと思う。「ラバウル戦記」の中で、糞尿を畑に撒く話があった。なかなかタイヘンで、壮絶だった。自分がその立場だったら…?ウンコが顔につくの嫌だ。
でも、撒いた糞尿を栄養にして野菜が育つ。キタナイ、嫌だと思っても、それらのものが新たな命を育む。
こういう経験から、河童の三平ではキャラクターが肥溜めにやたらに落ちるし、鬼太郎では干物を作ったりしているシーンがあるんだと勝手に思っている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?