『水木しげるの戦場』感想
戦争関連の短編漫画集『水木しげるの戦争』を読んだ。
特に心に残ったのは「波の音」。
水木しげるさんは、夜の見張り番をしていた時に銃撃され、現地民に追われながら部隊のある場所まで辿り着いて生き延びている。
その時のエピソードを元に、「生き延びられなかったパターン」を描いたものだと思う。
現実では生き延びたわけだが、「波の音」ではガイコツになって浜辺に転がっている。そして戦後、現地を訪れた日本人に語りかけるのである。
わたしはこれを読んだ時、水木しげるさんは生き延びけれど、「死んでいたかもしれない」という恐怖が心の中にあったのかなと思った。
また実際、このように亡くなった人もいたのかも知れない。
作品の途中までは「生き延びた」実話と同じだったからこそ、余計にこの話の結末が心に残り続けるのである。
今、命は大切なものだと教えられている。
しかし、この時代には、命は羽毛より軽いものだと教えられている。
水木しげるさんのすごいところは、教育に洗脳されなかったことだと思う。
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