手裏剣の打法解説

直打法(ちょくだほう じきだほう じきだほ)
手裏剣を回転させずに打つ打法で、手裏剣術において基本とされる打法。
手裏剣の切っ先を指先側に向けて持ち、手から離れた手裏剣は垂直に近い形で飛び出す。
回転させないと表現することが多いが正確には的に到達するまで90度倒れるので4分の1回転はしている。棒状の物体を投擲すると手と身体の構造や物体の進行による加力などにより本来はどうしても回転がかかる。この4分の1は手裏剣術者に許されたゆとりであり、その回転を距離に応じてどの程度コントロールするかが手裏剣術の楽しみであり奥の深さと言える。
習得にはやや時間を要するが突然の距離の変化に対応しやすい。これは手裏剣の切っ先が的を向いて飛行する時間が長いことで近間から遠間まで応用が効きやすく、直打法を一度覚えればある程度の距離は一つの打法で文字通りすべて「間に合う」と言える。

半回転打法(はんかいてんだほう) 反転打(はんてんだ)
手裏剣を半回転させて打つ打法。手裏剣術においては(流派にもよるが)三間以上の遠い間合いで使われることが多い。
手裏剣の切っ先を手首側に向けて持つ。
半回転という名称ではあるが正確には的に到達するまでに270度、4分の3回転している。本来、棒状の物体を投擲した場合は回転するのは自然なことであるので比較的取得は容易とされている。回転と距離が合う場所を見つけてしまえば短時間で的に刺さるようになる半面、感覚のみで距離に応じて回転をコントロールしなくてはいけないので近間から遠間などの突然の距離切り替えにはやや弱い。これは直打法よりも回転数が多いため、切っ先が的方向を向いている時間がやや短い傾向にあるためである。習得が容易なので稚拙な技術と評されてしまったこともあるが、回転による遠心力を使えるので威力も高く、そのメリットを見直されてきている技術である。

回転打法(かいてんだほう)
手裏剣を一回転もしくはそれ以上の回転をさせて打つ打法。
長距離を打つ場合に用いたこともあると言われているが実際にはほとんど使われない。これは手裏剣の有効射程距離は弓などのそれと比べても短い上に小さい手裏剣を長距離で回転させても術者本人も視認することが難しく、距離の調整がかえって困難になる点が挙げられる。ただし、得物が手裏剣よりも大型のスローイングナイフでは使われる技術であるし、日本の古流武術などで短刀や刀などを投げる際はあえて回転を掛ける流派も見られる。これは刺すというよりも相手に絡めるように使用したり、その回転により隙を作ったりすることを目的としていることも多いためである。

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