真っ赤な毛糸のパンツ

中学1年生の時、授業参観に母親が来ました。
私は、授業参観が嫌いでした。
母が来るからです。
母は、とても太っています。
母は、貧乏性のため、服を自分で作りますが、とても人前に出られるようなシロモノじゃありません。
おばさんパーマが爆発してます。
洗髪は、数ヶ月に一度、頭がくさいです。
いわゆる、授業の参観が終わり、放課後、部活の参観が始まりました。
私は、バスケットボール部です。
30人ぐらいのお母さん方が立って見ています。
一人だけ、ベンチに座っている。
そう、私の母親です。
母親は、足を大きく開いて座っていました。
ひざまである、真っ赤な毛糸のパンツが丸見えでした。
しかも、そのパンツは、ぼろぼろにほつれ、穴だらけ。
さらに、その穴からは、親父がはくのを嫌になった、つぎはぎだれけのサルマタが見えていました。
同級生や先輩は、母親を見て、笑っています。
母親は、まったく人の目など気にしません。
そんなセンスがあったら、そんな行動はしないんです。
私は、いたたまれなくなりました。
中学一年生というのは、ふれれば壊れそうなほど、繊細。
一生で一番、ナイーブな時期なのです。

最近、この話を口の悪い友人に話しました。
こう言われました。
「俺なら、舌噛んで死ぬ」

#創作大賞2024 #漫画原作部門

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