寝ジャズのお話 フロム盛岡[3]
NewJeansとアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ「モーニン」
最近お気に入りの曲がある。「Ditto」という曲。若い人に大人気のK-POPで、去年デビューした5人組ガールズグループ「New Jeans(ニュージーンズ)」の曲。Apple musicの TOP100 inJapanを通勤時に車でなんとなく流すのだが、このグループの曲がやたらかかる。その中でもこの曲は個人的に傑作と思った。曲の説明はよくできない。僕が知っているどんな曲とも似ていない。僕のごくごく浅いK-POPの知識の中にある曲とは曲調というかセンスが違う。誰が作ったのか知らないが、とにかくカッコいい。それでMVを観てみた。岩井俊二を思わせる映像におじさんには眩いばかりの青春の光と謎めいた影が描かれていた。他のK-POPのMVも観たことがあるが、どれも豪華なセットとCG、カラフルな衣装を組み合わせたものばかりだった。ところがこれは校舎でのロケ。衣装は制服とジャージ。CGは…あったのだろうか。それで十分と言えるほど、曲が良く、映像が美しい。
僕は下手くそな小説を何作か書いたが、主要な登場人物のほとんどが若者。読む小説も若者が主役のものが多い。おじさんのくせに「青春」という言葉がとても好きだ。でも最近は読書はしない、ドラマや映画も観ない、まして物書きをしない。だから青春を感じる作業をあまりしていなかった。そんな僕が久しぶりに青春を感じることができた。
もしかして、今こうして文章を綴り始めているのは「Ditto」のおかげかも知れない。
また前段が長くなった。
寝ジャズ。「青春」とジャズはなかなか結びつかない。ちょっと頭を捻った。で、思い当たったのが「坂道のアポロン」というコミック。僕はあまり漫画を読まないが、ジャズをモチーフにしている青春ストーリーだということを知ってこれを読んだ。すごく面白かった。内容に触れるとまた長くなるので割愛するが、このストーリーの中のとても感動的なシーンで登場人物達が演奏するのが「モーニン」。アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズのアルバム「モーニン」の表題曲として有名な曲だ。僕が若い頃は確かウィスキーのCMに使われていたような。もしかしたら日本で一番有名なジャズナンバーかも。「ザ・ハードバップ」「ザ・モダンジャズ」という雰囲気を泣けるほど醸し出す演奏。ジャズ・メッセンジャーズというとアート・ブレイキーの熱いドラミングが引っ張るハードな熱演のイメージだが、この演奏をあらためて聴くと、とても洗練されていて落ち着きすら感じる。ただ、アルバート・アイラーに並ぶ我がアイドル、リー・モーガンのトランペットだけは炸裂している。煌びやかな音色と自由奔放なアドリブは唯一無二。この天才は録音時に19歳か20歳なはず。彼だけは短い人生のかけがえない青春をこのソロに燃やしていたに違いない。
こじつけられただろうか。
おやすみなさい。
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