見出し画像

かぜのねの名曲アルバム②オンブラ・マイ・フ

緑が活き活きするこの季節、聴きたくなります。
有名なキャサリーン・バトルの歌声で。

演奏時間2分50秒

80年代、ウイスキーのCMで使われていました。
懐かしい。かっこよかったなあ。

ヘンデル作曲。

こちらの動画にもあるように歌詞(日本語訳)は

かつてどの
樹々の陰にも
かように甘くやさしく
柔らかなものはなかった

とシンプルに繰り返しています。
木陰を賛美した曲なのですね。

オペラ『セルセ』(全3幕)より第1幕第1場のアリア。のちに器楽に編曲されてヘンデルの「ラルゴ」の名でも親しまれています。

ざっくり大筋はペルシャ王のセルセは弟アルメネスの恋人をものにしようとするが、彼の計略は失敗に終わる、というもの。

モテモテのアルメネス、セルセも実は婚約者がいるのに横恋慕。美しい歌で彩られますが、オペラの筋は惚れた腫れたの人間くささ満載。

なんだかんだ言って、ひとの色恋沙汰は面白いw。

そしてこのオペラ自体、ヘンデルの曲の中では、煌びやかな『水上の音楽』や『メサイヤ』(「ハレルヤ」を含む)に比べると当時は上演回数も少なくあまり売れなかったようです。

とはいえ、現代この「オンブラ・マイ・フ」は超有名な曲として愛されています。

♪♪♪

よもやま話ですが、ヘンデルはあのバッハと同じ1685年ドイツ生まれ。若くしてイタリアに留学、1710年から亡くなるまで、ロンドンへ渡り活躍しました。

当時ロンドンは音楽の消費都市。聴衆の流行を意識して、イタリア語のオペラ「リナルド」で人気を博すも、

聴衆の中心が王侯貴族から中産階級に移行したため
1730年代末に英語によるオラトリオへと方向転換。

(オラトリオ:宗教的内容を扱う大規模な声楽曲。舞台装置や演技を伴わない点でオペラと異なる)

ヘンデルのオラトリオは劇場やコンサートホールのために書かれました。

かたやバッハはドイツ語圏で生活し、職人のように教会や神様のための音楽や頼まれた貴族への音楽を作ったイメージ。

聴衆や向かうものが対照的な2人ですが、神様の存在を音楽にしているところは共通していて面白いなあと思います。

読んでいただきありがとうございました。


参考文献:「クラシック音楽作品名辞典 第3版」井上和男編 三省堂/「よくわかるクラシックの基本 西村理監修 西東社」/「知識ゼロからのクラシック入門 高嶋ちさ子 幻冬舎」