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JAL VS ANA ナショナルフラッグキャリアはどちらか?

ナショナルフラッグキャリアと言われる航空会社がなぜか2つある日本の航空業界の未来について考える

こんにちは、皆さん。今日は、日本の航空業界について話したいと思います。日本は、世界でも珍しいことに、ナショナルフラッグキャリアと呼ばれる国を代表する航空会社が2つあります。それが、日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)です。この2社は、国内線や国際線で競争しながら、日本の空の王者を目指しています。しかし、両社ともに、国際的な航空連合に加盟しており、それぞれスターアライアンス(ANA)とワンワールド(JAL)の一員となっています。このように、国内では敵対しながらも、国際では協力するという矛盾した関係にある2社の未来はどうなるのでしょうか?

JALとANAの対立の歴史

まず、JALとANAの歴史を簡単に振り返ってみましょう。JALは、1951年に設立された日本初の国際線専門の航空会社です。その後、1964年に国内線も開始し、1970年には世界初のボーイング747型機を導入するなど、日本の航空業界を牽引してきました。しかし、2000年代に入ると、経営不振に陥り、2010年には破産宣告を受けました。その後、政府主導の再建計画により、2011年に再上場しましたが、その過程で多くの路線や機材を削減しました。現在では、利益率や顧客満足度などで復活の兆しを見せていますが、以前の勢いは失われています。

一方、ANAは、1952年に設立された国内線専門の航空会社です。その後、1986年に国際線も開始し、1999年にはスターアライアンスに加盟しました。2000年代に入ると、JALの衰退とは対照的に、積極的な路線や機材の拡大を行いました。特に、2011年には世界初のボーイング787型機を導入し、革新的なサービスや快適性を提供しました。現在では、国内線やアジア路線ではJALを上回るシェアを持ち、国際的な評価も高くなっています。

JALとANAの違い

JALは、2007年にワンワールドに加盟しました。ワンワールドは、アメリカン航空やブリティッシュ・エアウェイズなどの大手航空会社が参加している航空連合で、世界中の約1000都市に就航しています。JALは、ワンワールドのメンバーとコードシェアやマイレージプログラムなどの提携を行っており、お客様に多様な選択肢やサービスを提供しています。

JALの強みは、安全性やサービス品質が高く評価されていることです。JALは、2019年にスカイトラックス社が発表した世界の航空会社ランキングで5つ星を獲得しました。また、2020年にはエアライン・レイティングス社が発表した世界最安全な航空会社ランキングで1位になりました。JALは、お客様の満足度を高めるために、機内食や機内エンターテイメントなどの改善にも力を入れています。

一方、ANAは、1952年に設立された国内線専門の航空会社です。その後、国際線や貨物便も運航するようになりましたが、国内線が主力事業であり続けています。ANAは、1999年にスターアライアンスに加盟しました。スターアライアンスは、ルフトハンザ航空やシンガポール航空などの大手航空会社が参加している航空連合で、世界中の約1300都市に就航しています。ANAは、スターアライアンスのメンバーとコードシェアやマイレージプログラムなどの提携を行っており、お客様に多様な選択肢やサービスを提供しています。ANAの強みは、国内線ネットワークが広く地域密着型であることです。ANAは、日本全国47都道府県のほとんどをカバーしています。

JALとANAのどちらが日本のナショナルフラッグキャリアなのか?

ナショナルフラッグキャリアとは、国の代表的な航空会社であり、国旗を機体に掲げることができる航空会社のことです。

例えば、イギリスのナショナルフラッグキャリアはブリティッシュ・エアウェイズであり、フランスのナショナルフラッグキャリアはエールフランスです。

ブリティッシュエアウェイズ B787

日本の場合は、JALもANAも国旗を機体に掲げていません。

しかし、それぞれが日本の代表的な航空会社であることは間違いありません。実際、両社ともに国際線や国内線のシェアや売上高ではトップクラスです。また、両社ともに政府から支援を受けたり、政府関係者を乗せたりすることがあります。

そう考えると、JALもANAも日本のナショナルフラッグキャリアと言えるのではないでしょうか?

しかし、歴史的に見ると、JALがフラッグキャリアとして扱われてきたことは事実です。JALは、1951年に設立された日本初の国際線専門の航空会社であり、政府からの出資や保証を受けて発展してきました。それ以降も国際線が自由化されるまではJALのみが国際線を運航できる会社でした。JALは、1964年東京オリンピックや1970年大阪万博などの国際的なイベントにも協力しました。

1987年に日本航空株式会社法が廃止されるとともに,政府が持っていた株が売り出され,完全民営化を果たしました。
それとともに正式なナショナルフラッグキャリアではなくなりました。

民営化後もJALは1983年から続けてきた,政府専用機の運航を行っており,2009年まで続きました。天皇や首相などの要人を乗せて世界各地に飛んでいました。

一方、ANAは国内線専門の航空会社であり、当初はJALと競合しないように規制されていました。しかし、1986年に国際線の自由化が始まり、ANAも国際線を運航するようになりました。ANAは、1999年にスターアライアンスに加盟しました。スターアライアンスとは、世界最大の航空連合であり、共通のサービスやマイレージプログラムを提供しています。ANAは、スターアライアンスの中で日本を代表する航空会社として活動しています。また、ANAは2009年から政府専用機を運航しており、JALからその役割を引き継ぎました。

政治の話は胡散臭いと思う方は飛ばされて結構です。
できるだけ私見が入らないようにしました。

これまでの文章を見ると,ANAのほうが現状フラッグキャリアに近いのかなと思われるかもしれません。しかし,そこには政治工作があったといわれています。

もう覚えている人が少ないかもしれませんが,2010年にJALが倒産しました。ドラマ「半沢直樹」でも取り上げられた,JALの再建劇ですが,JALが倒産すると,一般企業としては異例となるぐらいの大きな公的資金が投じられたました。

ANAは数年前に経営危機を自力で生き残っていることから,JALは税金を使って再建できるなんてずるいという考えを持っていたといわれています。

実際にまあ数字に起こしてみると,大変な格差があるとわかります

官民ファンドの企業再生支援機構から3500億円もの出資に加え、政府の事実上のバックアップがあったからこそ、金融機関などから5215億円もの債務放棄を勝ち得ています。また、既存の制度を使っただけとはいえ、税制優遇措置により2010~18年で合計4000億円以上の法人税減免措置も受けているのですから、これでは過剰支援と言わざるを得ません。
 この政府による過剰支援の結果として、JALはピカピカの財務体質の会社となって蘇りました。売上高こそANA(16年3月期で1兆7900億円)がJAL(同期で1兆3300億円)を上回っているものの、当期利益はJALがANAの2.2倍で1000億円もの差があり、営業利益率もJALがANAの約2倍、有利子負債の額はJALがANAの約9分の1となっています。

https://diamond.jp/articles/-/91057 より引用

そこでJALを攻撃するために,ANAは自民党へ接近します。

一方の自民党も民主党唯一の功績ともいわれた、「JALの再建」を問題にできれば、政権交代へ向けていい材料になると考えていました。

両者が接近することは極めて自然なことであり,自民党が政権奪還をすると,ANAへの優遇策,JALへの冷遇策を講じることになります。

政権交代後,国土交通省は,「JALの再建は国民生活に不可欠なもので必要なものであると理解しているが,JAL の再建時に支援のために投入された税金によって,公正な競争が阻害されてはならない」(通称8.10ペーパー)という発表を行いました。

内容としては,2016年までのJALの新規投資や新路線開設を抑制するといったものです。JALの路線拡大が難しくなった一方で,ANAに関しては,JALの羽田空港の発着枠を優先的に配分してもらうなどの優遇を受けました。

また,会社更生法を2009年に適応して以降,法人税の支払いを免除されていましたJALでしたが,2016年の税制改正で「早期に経営を再建できた企業は,法人税免除の期間を短くする」という方針を閣議で決定。

明らかにJALを狙い撃ちした税制改正を行うなど,ANAに大変有利な政策が施行されました。

JAL再建のために自力でもちろん頑張ってはおり,この奇跡の再建に社員の努力無くしてはできなかったということは付け加えていきます。

稲盛会長は会社更生法の適用から再上場を果たした3年間を振り返り、「倒産という『死の淵』から多くの社員たちが立ち上がってくれた」と述べた。「経営が急回復すると、誹謗(ひぼう)中傷を受けることもある」と指摘する一方で、「業績の回復は社員のすばらしい熱意と努力の成果」とJALの役員や従業員をたたえた。

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFL190OQ_Z10C13A3000000/ より引用

しかし,ANAの「政府によって行われた異常の支援が公平な競争を妨げている」という意見は正当性が見受けられ,自民党は民主党を攻撃する材料としてJALが使われてしまったといったところです。

こういった経緯もあり,ANAのほうが政府に近いといった実情がありますが,どちらも日本を代表する航空会社であることは間違えありません。

まとめ

これから航空業界が テレワークの普及どによって大きな変革を迎える中において,コロナにおいてはこれまでのANAがJALを上回っているという経営状態が逆転してしまいました。再建において会社更生法を適応して負債を一掃できたJALと一掃できていないANAで見事に逆転してしまい,コロナにおいては非常に厳しいANA。これから ANA と JAL がどのように生き残りを計っていくのか これからどのような戦略でライバル企業と戦っていくのか。

特徴を生かして成長していくことを祈り この記事を締めようと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました よければ フォロー いいね お願いいたします それではまた。

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