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選挙ポスターの掲示は改革が必要~組織力や資金力がものを言う

東京都知事選挙では選挙用のポスター掲示をめぐって、トラブルが起きています。候補者の政見を広めるためというそもそもの目的から逸脱しているにも関わらず、法的に禁止されていないからという理由で毅然とした態度を示せない選挙管理委員会にも釈然としない思いを感じます。

今回、脚光を浴びることとなった選挙ポスターの掲示ですが、実は問題だらけです。まず東京都の場合、掲示箇所が1万か所を超えているにも関わらず、すべて立候補者がポスターを貼らなければなりません。選挙区が広ければ広いほどポスターを貼ることは大変です。知事選挙や参議院選挙はよほどの組織か、資金がない限り、すべての掲示板に貼るのは難しいです。

わたしも苦い経験があります。市議会議員選挙ではありますが、ポスター貼りには苦労しました。最初に立候補したときは、特に人手が足りず、3日間も費やし、わたしもポスターを貼り続けました。まず立候補届を行ない、ポスターを貼る場所の番号がくじ引きで決まります。選挙管理委員会からは掲示場所の住所と地図が手渡されます。これを頼りに一斉にポスターを貼っていきます。ここで組織力がものを言います。組織力がある候補者ほど早く貼れます。


掲示板は、公の場所である公園に多いのですが、そのほかの場合、見つけにくい場所にあり、掲示板自体を探すのに四苦八苦します。さらに高い場所にある時があり、金網などをよじ登らなければならない時もあります。
選挙管理委員会は、そもそもポスター掲示は候補者の意志に任されていて、別に貼らなくてもいいと言います。しかし真剣に選挙に取り組んでいる候補者であれば、すべて貼るのは常識です。有権者の判断材料のためのポスター掲示であるのに候補者の任意で、しかも貼るのに労力が求められるのは趣旨に反するのではないかと思います。

もう一つ、問題なのが掲示板の設置場所です。掲示板が設置されている場所は、人口に関わらず、ほぼ平均的に設けられています。人口が多い都市部であろうが、人口が少ない郊外であろうが、ほぼ同じ数の掲示板が設けられています。一見、公平に見えますが、候補者の政見を広げ、有権者の判断材料にしてもらうという趣旨からすればこれも趣旨に反するのではないかと思います。

そこで提案があります。掲示板の数を例えば半分に減らした上で、都市部の掲示板を2倍に増やすこと。駅前など人々が行き交う場所に掲示板があれば、見る人も増えます。そしてポスターをあらかじめ選挙管理委員会に提出し、委員会側が一斉にポスターを貼ること。人件費が問題ならば一定の金額を徴収すればいいと思います。これだけで実質的に公平になりますし、有権者にとっても有益のはずです。あまり知られていませんが、今回のトラブルを機に総務省には検討してほしいです。

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