ドラマ「何かおかしい2」第9話「ひきこさん」について考察・感想

ドラマ「何かおかしい2」第9話「ひきこさん」
ネタバレあります。

珍しく都市伝説がテーマ! 都市伝説好きとしてはたまりませんでした。街の歪みと時代の流れに合わせて改変されているのが、また都市伝説らしくてトキメキます。

さて、今回の件が誰によってどのように仕組まれていたか検証していきます。

結論を先に書くと、
・田島さん、上村さん、七北市議が結託してカオリンに制裁を加えた。小野寺さんも計画を承知。
・田島さんの動機はネットでの誹謗中傷の恨み、上村さんは過去のヤラセ番組のトラブル、七北市議はいじめ撲滅。
・番組内でひきこさんを行なったのは、カオリンのネットいじめを明らかにするためと、七北市議の宣伝の場を作るため。
・田島さんも復讐的な投稿が七北市議にいじめと見做され、ひきこさんの餌食となった。上村さんは黙認。


オビナマでの出来事の前に、七北市議たちの裏活動が気になったので想像したことを書いていきます。

*七北市議たちのひきこさん活動について

雨穴さんの解説やドラマ内での話から、子供をいじめられた母親たちがいじめっ子を引き摺っているとわかります。

様子からして継続的な活動であり、実績も数回程度では済まないはず。なぜ捕まらないのでしょうか。よくよく検討してみると、安全対策が結構しっかりしています。


❶人に目撃されないために

第一に引き摺り現場を押さえられないことが大切です。

伝説のひきこさんよろしく対象を肉塊にするなら文字通り市中引き回しが必要ですが、怪我させるだけなら数分も引き摺れば充分です。

地域住民なら人通りの少ない道、少ない時間帯をよく知っているはず。そこを選んで引き摺りに及ぶ。そうすれば現行犯逮捕を防げます。


❷見られても誰だか判らないように

ひきこさんスタイルは個人の識別を困難にしてくれます。衣装は体型を、長い髪は顔を隠してくれますし、引き摺りの中腰姿勢は身長を誤魔化せます。


❸アリバイ工作

ひきこさんはセブンアーミーが交代で行っています。非番の人たちが引き摺り担当の人のアリバイ工作をすれば、運悪く知人に目撃されるなどして一人が疑いをかけられても安心です。

事件のあった時刻に引き摺り担当と一緒にいたと証言したり、引き摺り担当が他の人の前にいる時に別の人がひきこさんをやったり。

まさかセブンアーミー全員が共犯なんて、なかなか現実で考える人はいないでしょう。気づいたところで集団相手では手を出しづらいです。


❹特定の1人が現行犯逮捕された場合

万が一にもそういう事態が起きてしまったら、その1人の暴走ということにする手筈だったのではないでしょうか。そうすれば、他の仲間は守られます。しばらくひきこさん活動はできなくなりますが、別の方法を編み出せばいい。

ゆえに実際の引き摺りは市議以外のメンバーが行っていたのでは。七北市議が捕まってしまえば、元も子もありませんから。


前置きが長くなりました。ここからオビナマでの出来事について見ていきます。

①田島さんと上村さんの会話、計画の萌芽

冒頭のシーンで田島さんがネットでの誹謗中傷について上村さんに話しています。この時、カオリンの話が出て今回の計画が生まれたのではないでしょうか。

田島さんは自身がアイドルを辞めるきっかけになったカオリンを恨んでいました。だからカオリンの裏アカをチェックしたり、カオリンが観光大使を務める東所山市について調べたりロードビューを眺めたりして動向を追っていた。

そこで東所山市のひきこさんの噂を知り、ロードビューに映る怪しい人物を発見した。それを話の流れで上村さんに喋った。

上村さんの方も、過去のヤラセ番組での因縁から関係者の身辺を調べていました。田島さんの情報と合わせて、ひきこさんを主導しているのが七北市議であるというところまで辿り着いたのでは。


②七北市議を巻き込む

カオリンをひきこさんの刑に処すには、ひきこさんを味方につけなければなりません。ひきこさんの母体である七北市議は、どうしてオビナマ出演と引き摺りをOKしたのでしょうか。

考えられる理由は2つ。

1つ目は、ひきこさんをする代わりにイメージアップの場を提供すると上村さんに持ち掛けられたから。事実、生放送中に政党結成と衆議院選挙出馬を表明しています。SNSの反応も良好でした。

2つ目は、カオリンのいじめ行為を明らかにしたかったから。いじめゼロを訴える東所山市の観光大使がネットいじめをしているなど、七北市議にとっては許せないでしょう。公開処刑にしたくなってもおかしくない。

また、中傷に使われたのは裏アカ。プロバイダに開示請求でもしなければ、カオリンの投稿だと証明できません。だからひきこさんを使って脅し、動揺させることでいじめの犯人だとリスナーに示そうとした。

ただし、番組内でのひきこさんには正体がバレる危険があります。だから直接的なことは言わず、引き摺り場面も映さず、仄めかす程度に留めました。


③中継での七北市議の意味深な発言

ここから生放送中の出来事に入ります。

自己紹介の後、いじめゼロをどう達成したのか問われた七北市議は「二度といじめなんてできないようにしてやればいい」「(具体的な方法について)そのうちわかる」と奇妙な答えを返しています。

その後のひきこさんに繋がる布石であり、カオリンへプレッシャーをかける狙いもあると推測されます。


④内山さんへのひきこさんタレコミメール

いじめ問題に関して微妙な空気の中、内山さんに「この街にはひきこさんがいる」というメールが届きます。そこから田島さんがストリートビュー写真を出し、東所山市のひきこさんの存在が現実味を帯びます。

内山さんにメールを送ったのは上村さんや七北市議の関係者だと考えられます。理由はサブ室で盛り上がるため。

今回は上村さんと田島さんが仕掛け人。事情を知る2人のうちどちらかがうっかり口を滑らせたら、計画は台無しになってしまいます。全員にひきこさんの存在を教えて、関係者側に引き込んでおけば安心です。

メールの相手が花岡さんでなく内山さんだったのは、花岡さんならすぐにひきこさんの正体に勘付いてその場で七北市議にぶつけてしまいそうだからではないでしょうか。


⑤七北市議の極秘出産の暴露

上村さんに焚き付けられて、花岡さんが七北市議の極秘出産を暴露します。スタジオの予想と裏腹に七北市議はすぐさま疑惑を認め、いじめ撲滅への熱意のアピールに繋げました。

もともと上村さんはこのネタを把握していた、或いは七北市議から聞いていたと推測されます。

七北市議はこの件を公開して、自身の政策と信念のスピーチの前振りとするつもりだったのではないでしょうか。いじめ撲滅のショッキングな原点が明らかになれば、同情や共感から支持アップが見込まれます。

わざわざナーハー砲を利用したのは、劇的な効果を期待してのこと。暴露からの反論で、後ろ暗いイメージが鮮やかに反転して強い女性像が浮かび上がりました。

ですがこの部分は、花岡さんがネタを手に入れられるかに懸かっています。

花岡さんはこのネタをどこから手に入れたのでしょう。花岡さんが独自に調べたものとも、上村さんから聞いたものとも考えられます。

上村さんのプランとしてはまず、七北市議を番組にゲストとして呼んだことだけ花岡さんに伝える。花岡さんはライフワークとして勝手にネタ探しをしてくれます。

たかしママのブログが開設された頃は技術もまだまだでしたが、現代なら画像検索を駆使すれば七北市議の映り込みも発掘できそうです。

もし直前まで花岡さんが極秘出産に辿り着けなければ、上村さんが匿名でタレ込むか直接ネタ提供する。そうすればリスクヘッジもばっちりです。


⑥カオリンへのひきこさんからのメッセージ

白い女の影に怯えるカオリンのSNSに「引  く  ぞ   ひきこ」というメッセージが届きます。引くぞの文字の間隔が絶妙です。

これはカオリンを脅かして恐怖や焦りなど、後ろ暗い人間特有の反応を引き出すことが目的と考えられます。先述の通りカオリンのネットでの中傷には証拠がないため、自白を狙ったのです。カワイバコ作戦と同じですね。

ひきこさんをよく知らないリスナーのために、すかさず小野寺さんが「ひきこさんっていじめっ子しか引き摺らない」「心当たりでもあるんですか?」と援護射撃。

これでリスナーたちの中に「カオリンがひきこさんを恐れている」=「カオリンもいじめをしている」という図式が出来上がります。放っておけば誰かがカオリンの裏アカを晒してネットいじめを明らかにしてくれるでしょう。野次馬や泣き寝入りの被害者たちは喜んで手を貸してくれるはずです。

この時の素早い対応を見るに、小野寺さんも協力者でしょう。


⑦カオリン引き摺り画像の流出

放送後の薄暗いサブ室で上村さんがSNSに拾い画としてアップされた写真を眺めています。カオリンらしき女性をひきこさんの格好の人物が引き摺る様子が写っています。

上村さんが「やるなぁ、セブンアーミー」と呟いていることから、これを投稿したのは七北市議陣営でしょう。上村さんはひきこさんがセブンアーミーだと知っているはずなので、「やるなぁ」は引き摺り行為ではなく画像投稿にかかっていると思われます。

投稿の目的はひきこさんからカオリンに対する制裁が完了したことを示すため。上手いのが「拾い画」としたところです。何かあれば「拾った画像だからよくわからない」「合成かもしれない」で言い逃れできます。噂に燃料を注ぎつつ、尻尾は掴ませないという訳です。


⑧ひきこさんによる田島さん引き摺り

カオリンへの復讐と称した書き込みがいじめと見做され、田島さんもひきこさんの刑に処されました。田島さんは同じプロジェクトのメンバーではなかったのでしょうか。

おそらく七北市議は利害が一致したから上村さんや田島さんと手を組んだだけだったのでしょう。そして田島さんも許されざるいじめっ子に成り下がってしまったから、ルール通り処罰したに過ぎない。

上村さんは田島さんに恨みはありませんが、庇う理由もありません。だから七北市議と成り行きに任せた。もしかしたらスタッフの再度の重傷で番組を打ち切りにできるかも、という期待もあったのかもしれません。


⑨上村さんが七北市議を復讐ターゲットにしなかった理由

上村さんは過去のヤラセ番組の関係者たちに順番に復讐しています。今回のゲストのカオリンも七北市議も例の番組の出演者でした。それなのになぜカオリンだけが酷い目に遭ったのでしょう。

理由は2つ。1つ目は過去のヤラセへの関与の程度と現在の態度。ヤラセに果たした役割が小さいか従属的で、反省しているか不遇の人生を送っているような人は見逃したり、逆に手を貸したりしているものと考えられます。

例えば上村さんのお膳立てで、第3話のヒカリさんは疾しい過去の清算に成功し、第4話の梶川さんは土屋さんへの復讐を果たしています。

今回の七北市議はヤラセ番組のアナウンサーだったためイメージが悪くなり、苦労したそうです。上村さんが生放送中に同情的に語っていました。

自分や七北市議の受けた世間からのバッシングをいじめと重ね、いじめ撲滅のために闘う彼女にシンパシーを抱いたのかもしれません。


あらためて結論です。
・田島さん、上村さん、七北市議が結託してカオリンに制裁を加えた。小野寺さんも計画を承知。
・田島さんの動機はネットでの誹謗中傷の恨み、上村さんは過去のヤラセ番組のトラブル、七北市議はいじめ撲滅。
・番組内でひきこさんを行なったのは、カオリンのネットいじめを明らかにするためと、七北市議の宣伝の場を作るため。
・田島さんも復讐的な投稿が七北市議にいじめと見做され、ひきこさんの餌食となった。上村さんは黙認。


花岡さんの服、毎回細部がちょっとずつ違っている気がするのですがどうなんでしょうか。似たようなものを何着も持っている? なんて、気にすべきことはもっと他にありますよね……小野寺さんの帰還とか。それらはこれから書いていければいいなと思います。


長くなりましたがお読みいただきありがとうございました。
ご意見、ご指摘、ご感想などありましたらコメントいただけると嬉しいです。


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