ドラマ「何かおかしい2」第8話「めいこん」について考察・感想

ドラマ「何かおかしい2」第8話「めいこん」
ネタバレあります。

明らかにおかしい話なのに、欲に目が眩んでつい乗ってしまう。人が詐欺にあう様子を間近で見せられているような独特の厭さがありました。何かおかしい、を放置したら駄目ですね。随所に見られる心理誘導のテクニックは興味深かったです。

さて、今回の件がどのように仕組まれていたか検証していきます。メグさんのお母様については、以降ラジオネームの「グレードマザー」さんと表記します。

結論を先に書くと、
・メグさんとグレードマザーさんが上村さんにメイコンの企画を持ち込んだ。
・メグさんたちがラジオを利用したのはチャン・ウーさんにプレッシャーをかけて浮気を確実にやめさせるため。
・上村さんは過去のヤラセ番組での恨みがあるアヤさんとマナミさんを生贄として差し出すことにした。トラブルが起きればオビナマを打ち切りにできるかもという期待もあった。
・メグさんたちと上村さんはメイコンが成功するよう、スタッフ達を巧みに誘導した。


順を追って出来事を見ていきます。


①メグさんたちと上村さんの接触

メグさんたちの方から上村さんに話を持ち掛けたのではないかと考えます。

オビナマは放送中にたびたびハプニング(と呼んでいいレベルなのか?)を起こしています。記念すべき第1回からして「殺したい人がいる」というメールを紹介しているくらいです。

一般のリスナーは上村さんの暗躍など知る由もありません。ですからオビナマにいかがわしいイメージを抱いていても不自然じゃない。

そういう不健全なな信頼感から、メグさんたちはオビナマにメイコン企画のメールを送った。それを上村さんが拾い上げて3人の協力関係が生まれたのではないでしょうか。

最後の上村さんとの電話の様子から、メグさんではなくグレードマザーさんが言い出しっぺかもしれません。

上村さん側からメグさんたちを見つけたとは考えにくいです。メグさんたちは過去のヤラセ番組と何ら関係ないので上村さんの復讐対象外ですし、メイコンも慎重に秘密裏に行なっているはずなので、そうそう見つかりますまい。


②わざわざメイコンを中継させた理由

手頃な女性を手に入れるだけなら、SNSで探せばいい。実際に3年前はその手口でメイコンしたようです。ですがチャン・ウーさんの浮気はおさまらなかった。

そもそもこのメイコンにどれほどの効力があるのか疑問です。浮気相手ならまだしも、生贄になるのは夫にとって見ず知らずの女性です。自分のせいで無辜の女性が……という反省を期待するとしても、浮気癖のある人がそんな殊勝な心を持っているでしょうか。

だからメグさん達は今回メイコンするにあたって、確実にチャン・ウーさんを懲らしめるためにオビナマを使いました。

公開メイコンのメリットは2つ。1つ目は妻の怒りと覚悟を示せること。夫に恐怖を抱かせれば、浮気心を削げます。

2つ目は注目が集まること。この後アヤさんとマナミさんは行方不明になるでしょう。そうすればチャン・ウーさんの関与が疑われます。うまく揉み消せたとしても、次はどうかわからない。

自分の周りで更に行方不明者が出れば、おかしな噂が立ちかねない。また、メグさんが獲物選びや生贄作業にしくじれば殺人犯として捕まるおそれがある。風評も妻の殺人も、社会的地位のあるチャン・ウーさんには致命的。

だからさらにもう一度メイコンが行われるのを避けるために、浮気を控える。

もちろん公開メイコンにはデメリットもあります。真の意味がバレればメグさんたちは無事じゃいられない。だからわかる人にだけ伝わるように提示する情報を調節した。

スタッフがメグさん達のメイコンの意図に気づけたのは雨穴さんからの電話のおかげです。一般のリスナーは運命コンパだと思い込んだままでしょう。多少の不審はあっても生者の冥婚までは繋がらない。

それでも危険は残ります。ですがメグさん達はそれを承知で決行したのでは。メグさんは夫を愛し、グレードマザーさんはメグさんの幸せを願っていたからこそ、身を賭してとまで思い詰めていたのかもしれません。


③メイコンに中継を誘導する

ここから放送中の出来事の話になります。

番組内で様々なコンパが紹介される → 上村さんがメイコンの紹介を提案する → 土屋さんが承諾してインタビュー先を決定、という流れでメグさんとの通話が始まります。

まず、上村さんはここでインタビュー先をメイコンにしなくてはなりません。そのためには土屋さんのゴーサインが必要。

よく見ると、メイコン以外に挙がっているのは「激辛コン」「オムコン(オムライスコンパ)」「うさコン(兎コンパ)」で、名前から内容が簡単に推測できます。

土屋さんの性格からしてここはメイコン一択。事実上一択なのに、ダミーの選択肢を示して相手に自分が選んだように錯覚させる。巧妙な手口です。


④敢えて冥婚の情報を提供する

次はグラードマザーさんのターンです。親切な第三者を装って死者との結婚の話をオビナマに投稿しました。

ここまでだいぶトントン拍子に話が進んでいます。写真館へ行くあたりは不自然なほどスムーズ。

写真館について、あれは今回のためにサイバーネットの近くに拵えた仮設のものではないかと思います。何だか貧相ですし、ドレスの種類も少ないです。

写真館の主人も、もしかしたらお金で雇われただけの人かもしれません。雨穴さんの解説で、メイコンの依頼者は裕福な妻、とありますからメグさんも自由に使えるお金をかなり持っているのでしょう。

この辺で誰もが抱えているであろう「何かおかしい」という感覚。それを誰かが言い出す前に、敢えて形を与える。そうすることで死者との冥婚に皆の目を集めて、他の可能性を見えなくしてしまう。

ドッキリや詐欺、悪戯などもっと現実的な見方もあるのに、全員が乗せられてメグさんへの尋問に至ります。


⑤チャン・ウーさんが生きているとの証明

チャン・ウーさんの生存を問われたメグさんはSNSの投稿を証拠として挙げています。ですがこれでは弱い。すぐにもう中学生さんが反論しています。

最終的に内山さんが検索で見つけた外国雑誌の表紙が決定打となりますが、ここにも心理テクニックが使われています。

人間は努力して得たものに価値を見出しがちだそうです(コントラフリーローディング効果)。だからわざわざスタッフに証拠探しをさせた。メグさん自身が教えるよりもその方が信じてもらいやすいから。

そうして死者との冥婚が否定されると、メイコンへの風当たりはすっかり弱くなります。一度疑った後の方が、すんなり受け入れた時より強く信じてしまいがちです。さらに、きつく当たってしまった負い目や罪悪感から、メグさんを問い詰めたり反論したりしづらくなります。

これらの現象にも名前があったような気がするのですが、調べても出てきませんでした……。ご存知の方はお教えいただけると幸いです。


話を戻します。そうしてすっかり乗せられたアヤさんとマナミさんは上海へ飛び、そのまま中継は終了しました。放送後の上村さんの電話から、メイコンはうまくいったものと察せられます。

あらためて結論です。
・メグさんとグレードマザーさんが上村さんにメイコンの企画を持ち込んだ。
・メグさんたちがラジオを利用したのはチャン・ウーさんの浮気を確実ににやめさせるため。
・上村さんは過去のヤラセ番組での恨みがあるアヤさんとマナミさんを生贄として差し出すことにした。トラブルが起きればオビナマを打ち切りにできるかもという期待もあった。
・メグさんたちと上村さんはメイコンが成功するよう、スタッフ達を巧みに誘導した。


土屋さんと畑野さんの記憶から消されている花岡さんが面白かったです。土屋さんは素で忘却、畑野さんは忘れたフリでしたけど。畑野さんの「はじめましてよろしくお願いします(超早口)」とその後の花岡さんの困惑顔には笑いました。


お読みいただきありがとうございます。
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