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世界一周で出会った優しさ:ヨルダンの思い出

「世界でどの国が一番良かった?」と聞かれることがよくある。それはもうほぼ確実に。そして毎回、私はこう答える。「どの側面で?」と。


だって、答えはそれぞれだ。「食べ物」で一番なのか、「建築」や「田舎の風景」、それとも「街歩き」の楽しさか、その人が何を求めているかで全然変わるから。


どの国もそれぞれ素晴らしい。でも、一つだけ確かに言えることがある。世界で一番“人”が優しかった国は間違いなく、ヨルダンだった。


ヨルダンへの旅を決めた理由


実は、ヨルダンに行くと言ったとき、周りからはものすごく止められた。「危ないんじゃない?」と。確かに、メディアでよく目にする事件は心配になる要素だらけだ。でも、それは一部の地域の話。首都アンマンは安全で、むしろとても平和だと調べていた。私はペトラ遺跡や死海を見てみたかったし、行かない理由がなかった。


ヨルダンで感じた優しさ


ヨルダンに着いてからは、驚きの連続だった。まず空港からホテルまでタクシーに乗ったのだけど、運転手さんはわざわざガソリンスタンドに寄って、私に飲み物や食べ物を買ってくれたんだ。運賃も安くしてくれたりして、こちらが恐縮するくらい。


そして街を歩いていても、道行く人たちがとても親切だった。宿のスタッフがパンを無料でくれたり、レストランの前で「美味しそうだな…」と眺めていたら「試食していいよ」と声をかけてくれたり。ガイドをしてくれる人までいて、本当に心配になるくらいだった。


最初は「絶対に後でお金を請求されるだろう」と警戒していたけれど、そんなことは一度もなかった。


優しさの理由


そこで、ついに聞いてみた。「どうしてこんなに優しいの?」と。すると、みんな口を揃えてこう言った。


「中東やヨルダンに対しては、メディアが作った怖いイメージがある。だからこそ、少ないけど訪れてくれる観光客には、自分たちがどれだけ違うかを伝えたいんだ。」


9.11の影響や過激派組織の存在で、ヨルダン=危険というステレオタイプが作られてしまったという。そして、そうした悪いイメージを少しでも変えたいという思いから、観光客一人ひとりに心を尽くして優しくしていると話してくれた。


病気との戦い、そして薄れた記憶


残念なことに、私はその後、ヨルダンでひどい食あたりに見舞われた。火の通ったものしか食べていないのに、お腹を壊してしまい、急いでトルコへ移動することになった。そのため、ヨルダンでの時間は短く、体調が悪かったこともあって、記憶は少しぼんやりしている。


でも、人の優しさだけは今でもはっきりと覚えている。どの国にも素晴らしい面があるけれど、ヨルダンの人たちほど心温かい国民に出会ったことはない。


次はまた別の国の話をしようと思う。ぜひお楽しみに。



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