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宗教や信仰についての雑記 #29

◯「宗教の行方」を読んで その1

先日、宗教哲学者の八木誠一氏が著した「宗教の行方 現代のための宗教十二講」という本を読みました。

その本には、この世界(宇宙)には「統合体」という多くの「極」からなるまとまりがあり、それら「極」とは、磁石の両極のように対極とは区別されるが、対極なしては存立できないもの、といったことが書かれていました。
そして、個は統合作用の場の中にあり、極として互いにかかわりながら、統合作用によって統合体を形成するとし、統合体とは、あらゆる構成要素の間に妨げられずコミュニケ-ションが成り立ちうるような共同体のことだそうです。
その類比として、生体内の神経やホルモンによるコミュニケーションのネットワ-クを挙げていました。
八木氏はそれらのことを、自ら「直接経験」と呼ぶ何か特殊な体験によって感じとったそうです。

私には、この「統合体」や「統合作用」というのは仏教の「空」や「空性」のようなもので、「直接経験」とは「悟り」のようなものかなも思えましたが、それ以上の詳しいことは、私の理解力の限界を超えていたようで、よくわかりませんでした。

ただ、この本の中で、「私」を構成する全てのものは他者由来、という言葉があり、それがとても印象に残りました。
考えてみれば「私」という人間以外の全ての物事も、他者由来のもので構成されているようです。

映画「マトリックス」(1作目)のラストで、主人公のネオが、自分を含めた全てのものを揺らめくコードとして観る、というシーンがありましたが、「直接経験」とはそれに近いものなのしかもしれないと、そんなふうにも思いました。

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