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宗教や信仰についての雑記 #22

◯善と正義 その1

以前、捕鯨問題に興味を持ったことがあります。
沿岸捕鯨を槍玉に挙げられたある町に反捕鯨団体が押しかけて、町はその人たちとの話し合いの場を設けましたが、議論は平行線のまま終わったそうです。

それはおそらく善と正義との違いによるものだったのだと思います。
善とは道徳的に良いとされる性質や価値観ことで、個人的な観点から判断されることが多いのに対して、正義とは社会的な公正や平等が保たれている状態やそのための仕組みのこと、とされています。

町側は、捕鯨はその町の伝統文化であってそれを尊重してほしいと、正義の言う公正の観点から主張したのに対し、反捕鯨団体側は、捕鯨は残虐な行為だから即刻やめるべきだと、善の道徳的な観点から主張したようです。
これら二つの意見は依って立つ根拠が異なり、違う土俵で相撲を取ろうとしているかのようで、話が噛み合わないのも無理ないなと、そんなふうに思いました。

ただ外国の例を見ると、つい最近韓国では犬食を禁止する法律が成立しましたし、スペインのカナリア諸島やカタルーニャ州では闘牛が禁止されています。
たとえ伝統文化であっても、道徳的に問題があるとみなされれば決して例外ではないという考え方が主流になってきているようです。

この善と正義ということを、既存の諸宗教と宗教多元主義について考えてみると、どちらかというと、諸宗教は善を語ることが多く、宗教多元主義は正義の観点から考えることが多いように思えます。

少し長くなりそうなので、この続きは次回にしたいと思います。

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