ラグランジュの未定乗数法を用いて

以前の記事で以下の問題を解いた

$${x,y}$$を実数とする。$${x^2+y^2=1}$$の条件のもとで$${3x+4y}$$の最大値,最小値を求めてください。

以前の記事では「$${x^2+y^2=1}$$の条件のもとで」が抜けていました。
大変申し訳ございません。
(修正済み)

さてこの問題を解くときに
「ラグランジュの未定乗数法を使ってもよいのでは?」
という旨のコメントを頂いた。

その通りだと思った。
そのあとに以下の記事を読んだ

なるほどと思った。
数学を専門にしている中でもちろんラグランジュの未定乗数法は勉強する。
だがあまり使うことはないように思う。
一方で経済学部の人の問題などを見てみると「えーこんな感じで使うんや!」となることが結構ある。
この問題にも使えるというのは全く考えていなかったが、それはまさに数学観の違いなのかなと感じた。

さてラグランジュの未定乗数法の記事だからそろそろ…

ラグランジュの未定乗数法とは?

とても簡単に厳密性を全く考えなく言えば条件がついている環境で最大値、最小値を探す方法を教えてくれるものだ。

例えば先ほど出した問題で、私は最初条件を付け忘れていた。
条件が無ければ最大値最小値は存在しない。
ところが
「$${x^2+y^2=1}$$の条件のもとで」とつけると途端に決まってしまう。

これは数学的(?)な理由だが、ほかには「使えるお金は決まっている。その中でどうすれば最も多く買えるか?」といった問題にも使える(のではないかと思う)。

あまり専門的な書き方をしてもあれなので簡単に主張を確認する。

dは自然数とする。
$${D\subset\mathbb{R}^{d+1}}$$で$${\bm{a}\in{D}}$$
$${f,g:D→\mathbb{R}}$$を$${C^1}$$級関数とし、$${g=0}$$のもとで$${f}$$が極値を取る点を考える。
$${\bm{a}}$$で極値を取るとすると
$${\mathrm{grad}g=\bm{0}}$$を満たすか、
あるλが存在して

$${\mathrm{grad}f=λ\mathrm{grad}g}$$

を満たしている。

この定理により最大値や最小値(厳密には極大値極小値)を考えることができる。
ただしこれは1変数のときと同様で必要条件であることに注意する。

さて

これを使って問題を解いてみる。


$${f(x,y)=3x+4y,g(x,y)=x^2+y^2-1}$$とおく。
$${Zg=\lbrace(x,y)|x^2+y^2=1\rbrace}$$とするとこれはコンパクトで、
$${f|_{Zg}:Zg→\mathbb{R}}$$は連続でなので、
$${f}$$の制限$${f|_{Zg}}$$は最大値最小値を持つ。

よって$${(x,y)}$$が最大値最小値を与えるとする。
まず$${\mathrm{grad}g(x,y)=g(2x,2y)=\bm{0}}$$で$${(x,y)=(0,0)}$$
次に$${\mathrm{grad}f=λ\mathrm{grad}g}$$より
$${f(3,4)=λg(2x,2y)}$$となり、各成分を比較してあげると


となってこれを解くと
$${(x,y,λ)=(\pm{\dfrac{3}{5}},\pm{\dfrac{4}{5}},\pm{\dfrac{5}{2}})}$$(複号同順)

となる。
また$${f(\pm{\dfrac{3}{5}},\pm{\dfrac{4}{5}})=\pm{5}}$$(複号同順)でこれ以外で最大値最小値をとらない。
よって最大値は5,最小値はー5となる。
終わり

振り返り

まず最大値最小値が存在するのか確かめる必要がある。
そこで最大値最小値の原理を用いた。

定理
AをコンパクトとしてEuclid空間で連続な以下のような写像を考える。
$${f:A→\mathbb{R}}$$
このとき$${f}$$は最大値をもつ。

そのあとは定理にそってλを見つけていけばよい。

あとがき的な


まず連立方程式がなぜかうまく描写されないのはなぜなのか、、
書いている段階ではきちんとなっているのに、、

この問題をラグランジュの未定乗数法で解くのはいかに効率が悪いかは前の記事と見比べれば一目瞭然だろう。
だがそれは当たり前で、問題によってどれを使えばよいかは異なる。
もっと条件が複雑になった時、この方法が役に立ってくると思う。
それを見極めるのもある意味で数学力だと思う。


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