アーセナルの若手育成⑥(ベストイレブン)
アーセナル若手育成年代順リスト
まずはこれまでに紹介した、アーセナルが育成してきた主だった若手を年代順にまとめてみたい。
1966生 トニーアダムス、マーティンキーオン、ナイアルクイン
1967生 ディビッドローキャッスル、マイケルトーマス
1968生 ポールマーソン
1970生 ケビンキャンベル、スティーブモロウ
1971生 アンディコール
1972生 ポールディコフ
1973生 レイパーラー
1975生 ジョンハートソン
1976生 パトリックヴィエラ
1977生 ルイスボアモルテ、アレックスマニンガー
1979生 ニコラアネルカ、マシューアップソン、リチャードヒューズ、ジュリアングレイ
1980生 アシュリーコール、ジェームスハーパー
1981生 コロトゥーレ、フランシスジェファーズ
1982生 スティーブシドウェル、ジェイボスロイド、レオンブリットン
1983生 ホセアントニオレジェス、ジャーメインペナント、ジェレミーアリアディエール、モリツフォルツ、ジェロームトーマス
1984生 マシューフラミニ、ディビッドベントリー、ジャスティンホイト
1985生 ガエルクリシー、フィリップセンデロス、セバスチャンラーション
1986生 アブディアビー、クインシーオウスアベィエ
1987生 セスクファブレガス、アレックスソング、ヨアンジュルー、マシューコノリー
1988生 ニクラスベントナー、デニウソン、ヴィトマノーネ、ファブリスムアンバ、アンソニーストークス
1989生 テオウォルコット、カルロスヴェラ、キーランギブス、アルマントラオーレ、ドワイトゲイル、ロブソンカヌー
1990生 アーロンラムジー、ヴォイツェフシュチェスニー、ホーバルノルトベイト、フランメリダ、ヘンリーランズバリー
1991生 フランシスコクラン、ルークエイリング、カイルバートリー
1992生 ジャックウィルシャー、エミリアーノマルティネス、エマヌエルフリンポン、カールジェンキンソン、オグザンオジャクプ
1993生 アレックスオックスレイドチェンバレン、ベニクアフォベ、ヤヤサノゴ
1995生 セルジュニャブリ、ヘクターベジェリン、カラムチェンバース、チューバアクポム、アイザックヘイデン、グレンカマラ、クリストファーオルソン
1996生 アレックスイウォビ
1997生 エインズリーメイトランドナイルズ、イスマエルベナセル、コンスタンティノスマヴロパノス
1998生 ステフィーマヴィディディ、ジョシュダシルバ、クリスチャンビエリク、ジェフレーヌアデレード
1999生 リースネルソン、エディエンケティア、ジョーウィロック、マテオゲンドゥージ、ドニエルマーレン、ネイサンテラ、ジェイドンアンソニー
2000生 エミールスミスロウ
2001生 ブカヨサカ、ガブリエルマルティネッリ、ウィリアムサリバ、フォロリンバログン
2002生 ユヌスムサ
2003生 チャーリーパティーノ、オマリハッチンソン、マルキーニョス
2007生 イーサンヌワネリ
アーセナル若手育成のベストイレブン選考基準
上記年代順リストのなかで、FAの育成選手の定義である、21歳の誕生日のシーズン終了(6/30)までに3シーズンアーセナルに在籍した選手を「アーセナルが育成した若手選手」とし育成のベストイレブンの選考基準としたい。
例えばパトリックヴィエラは20歳でアーセナルに加入しているが、上述「アーセナルが育成した若手選手」に該当しない。
しかし該当しないというだけで、アーセナルで成長し飛躍を遂げた若手選手であることにかわりはない。
したがってオリンピック世代である23歳になるシーズンまでにアーセナルに加入して、トップチームで3シーズン過ごした選手を「アーセナルで飛躍を遂げたU-23若手選手」とし、まずはこれのベストイレブン、スカッドをみていきたい。
※「アーセナルが育成した若手選手」は含まない
また年代をさかのぼると対象がむずかしいので、ここではプレミアリーグの成績を基準にする。(92-93から23-24終了時点まで)
アーセナルで飛躍を遂げたU-23若手選手ベストイレブン
(4-4-2)
FW ティエリアンリ 1977生/99-00加入 PL先発235(途中23)175ゴール74アシスト
FW ロビンファンペルシ 1983生/04-05加入 PL先発149(途中45)96ゴール39As
MF フレデリクリュングベリ 1977生/98-99加入 PL先発188(途中28)46ゴール26As
MF マルティンウーデゴール 1998生/20-21冬加入 PL先発113(途中9)31ゴール23As
MF サミルナスリ 1987生/08-09加入 PL先発79(途中7)18ゴール7アシスト
MF パトリックヴィエラ 1976生/96-97加入 PL先発272(途中7)29ゴール33アシスト
LSB キーランティアニー 1997生/19-20加入 PL先発66(途中25)3ゴール8アシスト
RSB エマヌエルエブエ 1983生/04-05冬加入 PL先発96(途中36)4ゴール14アシスト
CB ガブリエルマガリャンイス 1997生/20-21加入 PL先発129(途中3)14ゴール0As
CB コロトゥーレ 1981生/01-02冬加入 PL先発203(途中22)9ゴール8アシスト
GK ウカシュファビアンスキ 1985生/07-08加入 PL先発30(途中2)/Wハム先発327(3)
(Sub)
FW ヌワンコカヌー 1976生/98-99冬加入 PL先発63(途中56)30ゴール18アシスト
FW エマヌエルアデバヨール 1984生/05-06冬加入 PL先発86(途中18)46ゴール15As
MF エドゥ 1978生/00-01冬加入 PL先発44(途中35)8ゴール4アシスト
MF マシューフラミニ 1984生/04-05加入 PL先発112(途中56)10ゴール8アシスト
MF アブディアビー 1986生/05-06冬加入 PL先発92(途中32)14ゴール10アシスト
MF モハメドエルネニー 1992生/15-16冬加入 PL先発59(途中32)1ゴール5アシスト
DF 冨安健洋 1998生/21-22加入 PL先発36(途中28)2ゴール3アシスト
CB ロブホールディング 1995生/16-17加入 PL先発76(途中22)2ゴール1アシスト
GK アレックスマニンガー 1977生/97-98加入 PL先発38(途中1)/セリエA先発133(4)
ローレン、アーロンラムズデールが誕生月により対象外、ホセアントニオレジェスとルーカストレイラは海外ローン期間により選外とした。
GKはアーセナルを退団後に飛躍を遂げた選手だが、唯一の対象者となった。
歴代のベストイレブンとも呼べそうなそうそうたるメンバーが名を連ねる。
やはりアーセナルは選手を買うよりも、若手を育ててきたイメージ通りだといえるのだろう。
冨安健洋は試合数の関係でサブとなったが、パフォーマンス的には両サイドバックで充分スタメンに名を連ねる、今後に期待したい。
とはいえエマヌエルエブエは過小評価されがちだが、フィジカルレベルは相当に高く、ながらく右ウィングとしてウォルコットの前に立ちはだかった。
(有名なファンペルシのジャンピングボレーやユナイテッドにダブルを達成したロスタイムアンリのヘッド、ベルカンプの現役ラストマッチでのゴールをアシストしたのはすべてエブエであり、CL決勝でも先制セットプレーのファウルをダイブでゲットするなど意外性のある動きで大仕事をやってのけた。)
またキーランティアニーはアルテタのコンセプトには合わなかったが、純粋なサイドバックとしては高い能力をみせ過渡期のチームを引っ張った。
チームのハードワークのベンチマークを引き上げるウーデゴールとその権化とも言えるフレディ、超人的なカバーを誇るヴィエラをもってすればフラットな4-4-2も対応可能だろう。
唯一ナスリはしばしば守備を放棄したが、実際には高いフィジカルレベルを有しており五分でハビエルマスチェラーノをはじきとばした。
ベンゲルは優勝するためには4名のFWが必要と語ったが、強力な顔ぶれとなった。
いわずもがなプレミアリーグ歴代最多4度の得点王を誇るアンリと、得点王を2度(1度はマンU)獲得したファンペルシだか、在籍時アンリはファンペルシよりもアデバヨールとの相性がよかった。
ファンペルシはのちにスーパーストライカーへと成長したが、アンリ退団後の07-08アデバヨールはリーグ戦24ゴールをあげCLでの活躍もあり、その時点では欧州で5本の指に入るフォワードとの評価もあった。
カヌーはチャンピオンズカップを優勝したアヤックス時代、同じく18歳のパトリッククライファートに劣らぬ評価があった。
スーパーイーグルスのエースとしてゴールドメダルを獲得したアトランタでは、同年代のブラジルのロナウド(当時登録名はロナウジーニョ、サビオとベベットの控えだった)やエルナンクレスポらを圧倒した。
その時点では最も将来を嘱望された選手のひとりであったが、インテルでの心疾患によりそのキャリアは危ぶまれた。
その後ベンゲルのもとアーセナルで復活を遂げ、チェルシー戦のハットトリックの3点目など伝説的なプレーを残した。
アーセナルとバロンドール
アンリは2003バロンドールでパベルネドベドに次いで惜しくも2位であった。
バロンドールというものは常に議論を呼ぶものであるが、時間が経過し人々の記憶が曖昧になるほどタイトルというのは影響を持つことになる。
また受賞そのものよりもノミネート順位はその当時の世相、評価をある程度はあらわすものでもある。
アーセナルの「無敗優勝」というのもある種のタイトル(特別とまでは言わないまでも何か違った価値)のような影響を持っており、その時点での評価よりも後世になって多大な影響を及ぼしている。
(当時4月の時点でも意識はされていても、最優先は当然無敗ではなく目の前の優勝であったし、ベンゲルは狙ってできるものではないと語ったが、近年では信じていたとも語っている。)
このシーズン30ゴールをあげたアンリは2004バロンドールでは4位、スクデットを獲得しただけのアンドリーシェフチェンコが受賞した。(2位ポルトのデコ、3位ロナウジーニョ)
当時はまだイタリアやスペインが評価されがちで、無敗優勝というものがそこまで評価されていないことがわかる。
アーセナルの選手としてバロンドールにもっとも近づいたのが2003年度、2004年度のアンリであり、成績、インパクト、実力からいっても不公平感は否めない。
アンリはアーセナル史上最高の選手と呼ばれるが、受賞していればよりわかりやすく後世に伝わることになっただろう。
(無敗優勝もそうだがわかりやすさというものは大事なことがわかる)
もっとも現在でもアンリはプレミアリーグの殿堂にアランシアラーとともに真っ先に選出されプレミアリーグ史上最高の選手という評価を得ている。
もちろんバロンドールにもプレミアの殿堂にもあらゆるものに異論はあるだろうが、少なくとも多様な評価軸はあってしかるべきだろう。
そしてもっとも大事なのはそれぞれのこころのなかのスーパーヒーローであることは言うまでもない。
プレミアリーグ以前を含めたバロンドールの長い歴史のなかで、アーセナル所属の選手が5位以内にランクインしたのは、
ティエリアンリが2000年度に4位(ユーロ優勝)、2003年度に2位、2004年度に4位、2005年度に4位、2006年度に3位(ワールドカップとCL準優勝)
デニスベルカンプが1997年度に4位
の6度だけであり、この2トップの高次元のコンビネーションはアーセナルのハイライトでもあった。
アーセナル在籍以前では、ベルカンプがアヤックス在籍時、92ユーロでの活躍により1992年度に3位、1993年度に2位
ダヴォルシュケルがマドリー在籍時、ワールドカップ得点王により1998年度に2位
ジョルジーニョがチェルシー在籍時、ユーロとCL優勝により2021年度に3位となっている。
なお初代バロンドール受賞者のストークシティのスタンリーマシューズは、1945年におこなわれたアーセナル対ディナモモスクワの試合にゲストプレイヤーというかたちでアーセナルに参加している。(アーセナルは徴兵で選手が不足していた)
現在競争力では世界最高のリーグであるプレミアリーグ所属の選手でバロンドールを受賞したのはマイケルオーウェンとクリスティアーノロナウドの2名だけであり、ほかと比べて極端に少ない。
いまに始まったわけではないが、現在はとくにその競争力が欧州での戦いに影響を与えるジレンマを抱えている。
23-24シーズンのアーセナル
7年ぶりに出場したチャンピオンズリーグはベスト8でバイエルンミュンヘンに敗退した。
セカンドレグではコントロールされたいつものアーセナルだったが、ファーストレグは浮き足立つ場面が目立った。
トランジションで普段は正確なホワイトが割りと簡単にボールを明け渡し、サリバは(ビッグゲームでたまに見かけるが)明らかにかかっていた。
アルテタはシーズン好調のこれまで通りキビオルをセレクトしたが、準備が整っておらずガブリエルのパスを放棄し(キビオルは初めて中央で起用されたリーグ戦でも相手につま先を踏まれてゴール前でプレーを放棄し失点した)レロイザネに突破を許し、2失点に絡んで前半で交代した。
セカンドレグでは僅差だったが、問題はファーストレグでいつも通りのプレーが出来なかったことであり、これは勝ち上がるうえでは最低限必要であろう。
世界最高峰といわれるプレミアリーグで絶好調のアーセナルとブンデスリーガで不調といわれたバイエルンだったが、ラウンドが上がるほどプレッシャーの度合いが増すなかで、これまでの場数の違いが出た格好になった。
欧州の戦いは結局はカップ戦の戦い方で、スペースを埋めてしまえばどんな相手でもギリギリの戦いになる。
アーセナルはベスト16でポルト相手にPKまでもつれ込んだが、ラヤのPKは明らかに動き出しが早かったが相手は意に介さず僅差で勝利した。
運で決まるとまでは言わないが(運も重要だが、運を運ぶためにあらゆる準備をしているし、その段階まできている)、そういった僅差のなかではプレミアリーグの競争力の激しさによる消耗や、世界中で人気であるがゆえの日程の融通の利かなさバックアップする姿勢の無さなどは小さくないハンディキャップとなっている。
また一般にプレミアリーグがこれだけの人気になった理由は、インテンシティの高さテンポの速さによるゲームのおもしろさだといわれているが、カルロアンチェロッティはそれを認めながらも戦術的にはラリーガのほうが優れていると語っている。
シティのロドリもプレミアとラリーガは別で、同じようなリズムでプレーできない、スペインはより戦術的、イングランドのデビュー戦は考える時間が半分もなかったと語っており、
イングランドのクラブはヨーロッパでは普段よりもリズムを欠いた戦術的な戦いに持ち込まれている。
これはどちらが優れているということではなく、圧倒的な個やインテンシティに相手が対応できずに押し切ってしまうこともある訳で、かつてのアーセナルがまさにそうだった。
そのぶん一発に泣くこともあり、リスクヘッジという点で戦術的柔軟性が求められていた。
例えばレアルマドリーがプレミアリーグに入っても毎試合インテンシティの高い相手に対応するのは難しいだろうし、ジェイドンサンチョのような間合いを計ってプレーするような選手は欧州で活躍できてもプレミアでは苦戦してしまうのだろう。
つまりプレミアリーグを制するには、インテンシティの高い相手をより高いインテンシティでねじ伏せるか、もしくはより戦術的に相手をコントロールすることは可能であり、旗色は一変しやすいといえるのかもしれない。
なぜなら勝利することを除けば、退屈をファンが許さないからである。
アーセナルは22-23シーズン開幕からジェズス、マルティネッリの異常なまでのインテンシティで相手をねじ伏せてきたが、それはカタールワールドカップまでもたなかった。
その後終盤に負傷者が出たことによってタイトルを逃した。
迎えた23-24シーズン、ライス、ハヴァーツ、ラヤを加え戦術的なバリエーションが格段に増したアーセナルは、対戦相手や戦況に応じた戦い方で相手を出し抜き、さらに勝ち点を積み重ねていった。
ライスはさながらデカいカンテで、奪ってはみずから持ち運び、ゴール前で決定的な仕事をすればピンチには単騎でチームを救ってみせた。
これだけの働きをシーズンの最後までこなしてパンケーキしか食べないところを想像すると若干の恐怖すら覚える。
ラヤはボールをプレーさせればフィールドプレーヤー、というよりおそらく中盤の選手程度のスキルがあり、バックラインであろうとどこであろうと冷静に自分たちの間合いでピッチ全体をハンドリングしたいアルテタの志向を体現した。
おそらく従来のGKとしてはラムズデールは勝るとも劣らないが、(ラムズデールはこれまで幾度となくそのパーソナリティで窮地を救った。またラヤはハイボールの処理は及第点でもハイボール自体には物理的に精彩を欠いた。)
個人のミスを除けばバックラインからの主導権は常にアーセナルにあり、ハヴァーツへの高確度のロングフィードは相手のプレスを無効化した。
レシーバーとしてのハヴァーツは無類の強さをみせ、イングランドフットボールのなかにあっても我が軍のモビル○ーツは前線で勝利し続けた。
ハヴァーツはプレスの強度も相当に高く、元々トップ下の選手としてはかなり特異なプロフィールだといえる。
ハヴァーツの役割はトップでも中盤でもさほど変わらないはずで、今後ストライカーが必要な試合では中盤で、コントロールを重視したい試合ではトップでの起用となるはずだ。
現在のアーセナルがアルテタの考える理想の五段階中三段階なのか、どの段階なのかはわからないが、今後もスカッドは強化されていく。
エドゥはやれることはすべてやっても優勝できなかったと悔やんだが、たしかにシーズンをより戦術的に戦い、戦略的に負傷者を管理できたことを含めてかなりうまくやっている。
数年前の混沌を抜け出し、着実にステップアップしていくクラブの中心は言うまでもなくアルテタであるが、オーナーのバックアップを得て莫大な資金を有効に活用できていることでもある。
(例えばマルティネスではなくレノを選択して1年後にレノではなくラムズデールを選択して2年後にラムズデールではなくラヤを選択する、GKにそんなことができるのは相当なリソースがなければ不可能だ)
ファンはかつてかなり感情的になったが、現在でもよそのクラブが直面している既得権などによるかぜ通しの悪さやそもそもオーナーが何を考えているのかわからないのに比べるとはるかに恵まれている、、それも一時期の激情を経たからこそ、という意味ではファンによるものなのかもしれない。
順調だ、ああ順調だ、上手くいっている、これからさらに良くなっていくだろう、だからこそあえてあくまでも個人的な主張を叫びます。
アーセナルの若手育成と銘打ってまったく関係ない話題を述べてきたが、本来の若手育成という面ではイーサンヌワネリが出場した。
やはりフットボールの最大の魅力は何が起こるかわからないことであり、その意味で若手や新戦力というのはどんなプレーをするのかというワクワク感がもてる
そういったワクワク感がわたし個人から薄れてしまったのか、フットボールから消えつつあるのか
とくに現在はフットボール全体が訓練された予定調和になりがちで、トランジションを意識した味方が予測可能な安全だけど効果的なプレーに終始してしまう
強くなることと引き換えに手にする退屈、似たようなゴール、似たようなチーム
率直にいって見たいのは先が見えない展開だ、どうなるかわからないから本気で怒るし喜べる、感情的になれる
フットボールは行ったり来たりするからおもしろいのだと実感したシーズンでもあった
(完全に平和ボケであることは認める)
せめて想像(創造)ある選手が自由自在にみせる予測不可能なプレー(相手にとっても味方にとっても不確実性となるが)、ボールが渡っただけで次は何をするのかという期待、二人はムリだから一人でいい、ウィンガーの一対一ばかりじゃなく、いわゆるクラッキを最大限活かすすべをアーセナルにこそ取り組んでほしい
久しぶりに参加したチャンピオンズリーグも正直魅力を感じにくくなっていた、グループステージに至ってはヨーロッパリーグと何ら遜色がない。
プレミアリーグに圧倒的に選手が集まっていることやサウジアラビアなどへの選手のさらなる流出によるものだろうか。
たしかに現状のシステムの行き詰まりを実感させており、これ以上の格差の広がりは非常にマズい。
現在ではバルセロナやユベントスですら競争力を失いつつあり、ステータスによる搾取に陥っているがいずれ立ち行かなくなる。
ほとんどの人間にとって安定がもっとも大切であり現状変更を望んではいないが、これ以上当事者の多くが立ち行かなくなれば均衡が保てず現状変更も必然になる。
UEFAは伝統を守りつつ小手先の変更に終始するのであれば、スーパーリーグは失敗に終わったが今後も外圧は避けられない。
(気付いたら誰も興味を示さなくなることは起こりうる、マドリーとバルサが抜ければなおさらだ)
イングランドは現在の優位性を担保しつつ、他国の競争力を持続可能なものにする手助けを本気で考えるべきなのかもしれない。
稚拙なざれごとではあるが、イングランドのカップ戦に他国のクラブを招待して新たに莫大な投資を呼び込み分配のしくみを考えるというのはどうだろうか。
例えばレアルマドリー対ノッティンガムフォレストやストークシティ対バルセロナなどに興味はないだろうか。
アーセナルが育成した若手選手ベストイレブン
それではアーセナルが育成してきた若手選手のベストイレブン、スカッドをみていきたい。
(21歳の誕生日のシーズン終了(6/30)までにアーセナルに3シーズン在籍した選手が対象。プレミアリーグの成績(92-93から23-24)、各欧州トップリーグの成績を基準にする。)
まずはGKのノミネートから、
GK ヴィトマノーネ 1988生/PL先発15/PLサンダーランド先発66(途中1)
GK ヴォイツェフシュチェスニー 1990生/PL先発132/セリエA先発272
GK エミリアーノマルティネス 1992生/PL先発13(途中2)/PLアストンビラ先発144
つづいてLSBのノミネート
LSB アシュリーコール 1980生/PL先発151(途中5)8G12A/PLチェルシー先発221
LSB ガエルクリシー 1985生/PL先発168(途中19)1ゴール8アシスト
LSB キーランギブス 1989生/PL先発104(先発33)2ゴール8アシスト
RSBのノミネート
RSB モリツフォルツ 1983生/PL出場なし/PLフラム先発115(途中10)3G3A
RSB エクトルベジェリン 1995生/PL先発169(途中14)8ゴール20アシスト
RSB カラムチェンバース 1995生/PL先発53(途中21)3ゴール3アシスト
CBのノミネート
CB トニーアダムス 1966生/PL先発252(途中3)12ゴール9アシスト
CB マーティンキーオン 1966生/PL先発282(途中28)4ゴール7アシスト
CB マシューアップソン 1979生/PL先発20(途中15)/PLウェストハムなど先発251
CB フィリップセンデロス 1985生/PL先発54(途中10)4ゴール0アシスト
CB ヨアンジュルー 1987生/PL先発72(途中14)1ゴール1アシスト
CB ウィリアムサリバ 2001生/PL先発65(途中0)4ゴール2アシスト/リーグアン先発80
つづいてアンカーのノミネート
MF アレクサンドルソング 1987生/PL先発121(途中17)7ゴール14アシスト
MF フランシスコクラン 1991生/PL先発72(途中33)0G1A/ラリーガ先発82(途中54)
MF イスマエルベナセル 1997生/PL出場なし/セリエA先発129(途中39)7G12A
つづいてMFのノミネート
MF ポールマーソン 1968生/PL先発150(途中10)28ゴール23アシスト
MF レイパーラー 1973生/PL先発280(途中53)21ゴール20アシスト
MF セバスチャンラーション 1985生/PL先発2(1)/PLSunderland他240(39)26G26A
MF セスクファブレガス 1987生/PL先発190(途中22)35ゴール70アシスト
MF アーロンラムジー 1990生/PL先発181(途中81)40ゴール45アシスト
MF ジャックウィルシャー 1992生/PL先発92(途中33)7ゴール14アシスト
ウィンガーのノミネート
WG ジャーメインペナント 1983生/PL先発2(10)3G1A/リバプール他170(46)11G39A
MF ディビッドベントリー 1984生/PL先発1/PLブラックバーンなど160(24)17G24A
MF アレックスオックスレイドチェンバレン 1993生/PL先発68(途中64)9ゴール14As
WG セルジュニャブリ 1995生/PL先発5(途中4)1G0A/ブンデス先発162(53)84G34A
WG アレックスイウォビ 1996生/PL先発70(途中30)11ゴール17アシスト
WG ブカヨサカ 2001生/PL先発157(途中13)47ゴール35アシスト
さいごにFWのノミネート
FW アンディコール 1971生/PL出場なし/PLマンUなど先発350(64)187G74A
FW ニクラスベントナー 1988生/PL先発41(途中67)24ゴール11アシスト
WG テオウォルコット 1989生/PL先発170(途中100)65ゴール43アシスト
FW カルロスヴェラ 1989生/PL先発3(途中26)3G0A/Rソシエダ先発183(36)66G36A
FW エディエンケティア 1999生/PL先発38(途中78)19ゴール6アシスト
WG ガブリエルマルティネッリ 2001生/PL先発92(途中36)32ゴール16アシスト
以上をもとに独断と偏見をもって選定した「アーセナルが育成した若手選手」のベストイレブン、スカッドがこちら
(4-4-2)
FW ガブリエルマルティネッリ 2001生/PL先発92(途中36)32ゴール16アシスト
FW テオウォルコット 1989生/PL先発170(途中100)65ゴール43アシスト
WG セルジュニャブリ 1995生/PL先発5(途中4)1G0A/ブンデス先発162(53)84G34A
WG ブカヨサカ 2001生/PL先発157(途中13)47ゴール35アシスト
MF ジャックウィルシャー 1992生/PL先発92(途中33)7ゴール14アシスト
MF セスクファブレガス 1987生/PL先発190(途中22)35ゴール70アシスト
LSB アシュリーコール 1980生/PL先発151(途中5)8ゴール12アシスト
RSB エクトルベジェリン 1995生/PL先発169(途中14)8ゴール20アシスト
CB トニーアダムス 1966生/PL先発252(途中3)12ゴール9アシスト
CB ウィリアムサリバ 2001生/PL先発65(途中0)4ゴール2アシスト/リーグアン先発80
GK エミリアーノマルティネス 1992生/PL先発13(途中2)/PLアストンビラ先発144
(Sub)
FW アンディコール 1971生/PL出場なし/PLマンUなど先発350(64)187G74A
FW カルロスヴェラ 1989生/PL先発3(途中26)3G0A/Rソシエダ先発183(36)66G36A
MF ポールマーソン 1968生/PL先発150(途中10)28ゴール23アシスト
MF レイパーラー 1973生/PL先発280(途中53)21ゴール20アシスト
MF アーロンラムジー 1990生/PL先発181(途中81)40ゴール45アシスト
MF アレクサンドルソング 1987生/PL先発121(途中17)7ゴール14アシスト
CB マーティンキーオン 1966生/PL先発282(途中28)4ゴール7アシスト
CB マシューアップソン 1979生/PL先発20(途中15)/PLウェストハムなど先発251
GK ヴォイツェフシュチェスニー 1990生/PL先発132/セリエA先発272
GKはユベントスやローマで活躍したシュチェスニーとマルティネスで意見が割れるだろうが、ワールドカップ史上8名しかいないゴールデングローブ、ヤシン賞を受賞したマルティネスを選出した。
マルティネスはそのパーソナリティをもって近年ますますゲームへの影響力が増しており、今後さらに注目したい。
CBはアダムスのパートナーとして、実績ではキーオンやアップソンが上回るが、近年プレミアで優勝争いを繰り広げるなかで影響力を発揮しているサリバを選出した。
サンジェイの唯一といっていいデカすぎる功績であるサリバは初年度は古巣サンテティエンヌへローンバック、翌プレシーズンを経て冬にニースへローン、翌マルセイユへシーズンローン、アルテタは前政権の一連の選手たちについて、自分が獲得した選手じゃないと語ったともいわれた。
これをアーセナルの育成と呼んでいいのかわからないが、22-23シーズン以降2シーズン主力として活躍、成長をみせている。
デシャンはサリバの状況を危惧したが、たしかにアーセナルではゲームをコントロールすることが多く、サリバの得意なカバーリングなど能力を発揮しているが、それに終始するよりもよりハードでより細かな、より集中を要する局面での成長を促したいのであろう。
ジャックウィルシャーは数字の上ではかなり物足りないが、アーセナルの象徴、ヘイルエンドの申し子、一時期はイングランドの未来を担うとまでいわれた選手を控えにまわすことは出来なかった。
アンディコールは記録のうえでは抜群なのだが、アーセナルではリーグ戦1試合の途中出場のみで育成という点でスタメンからは外れた。
それに対してニャブリやヴェラはある程度のチャンスを与えられたが、それぞれの事情によって移籍後に活躍することとなった。
なおニコラアネルカは在籍が2年半で対象外となった。
(了)
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