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新幹線から見る百名山 その2

東海道新幹線の車窓から

 前半部分で書いた、丹沢山、富士山、天城山、伊吹山が東海道新幹線の車窓から見える四座ということなのだけど、これ肉眼で誰の目にも明らかな山という視点にたったものだったので、今回は視点を広げ遠く横たわる山々の中にも百名山が紛れているのではないかという仮説に基づいて机上の空論に陥りそうな考察を展開してみようという企画で繰り広げる。
 あくまで理論上見えるんじゃないのかというたわごとかもしれないことを先に触れておく。実際、取り上げる山々で己が新幹線から視認できると確認した山は一つとしてない。まして、天候や実際の見通し出来る距離などは一切考慮していない事も追記しておく。各文末に「しらんけど」を追加したいくらいだ。

 いざ出発。
 東京駅から新大阪方面へ。とにかく品川までは無機構造物群に阻まれ山を見るなんてことは非現実的だ。まずは品川を過ぎ高架を走るあたりから多摩川を渡るまでの間、奥多摩方面の山並みが遠望できる箇所がある。その山塊の中に百名山が頂を覗かせている。東京の最高峰である雲取山と中里介山の大菩薩峠で知られている大菩薩嶺がそれだ。この二座は実際に多摩川から(少し上流ではあるけれど)遠望できる事は確認済みなので、きっと新幹線からも視認できると思われる。
 丹沢山、富士山、天城山という認識しやすい百名山を通り過ぎながら静岡県に入るといよいよ百名山がまとめて遠望できそうな区間が訪れる。富士山の南面を通り抜けるあたりで西方に南アルプスの山々が姿を現す。富士山の威容に目を奪われている場合ではない。塩見岳、赤石岳、聖岳という赤石山脈の山稜に連なる名峰。季節が良ければ白麗の峰が天に突き出しているはずだ、遠く豆粒のようだとしても。
 その後しばらくは百名山を拝めない時間が続きそうなのでお弁当を食べるならここでどうぞ、とはいえ悠長に堪能する時間はないかもしれないけれど。
 富士山南麓からの遠望では南アルプス最南の百名山である光岳は見えないかもしれないけれど、掛川を過ぎ浜松あたり、天竜川を挟んだ洪積台地を通過する線路北側が開けていて見通しが効きやすいく、その姿を垣間見ることが出来るかもしれない。いにしえ武田と徳川が激突した三方ヶ原の戦いの地でもある。徳川からは進軍してくる甲斐武田の背後にある山の威容さもふくめ戦慄の一つとして捉えたのかもしれないと思いを馳せる。
 新幹線は西へと進み、いよいよ東海道新幹線百名山遠望者垂涎の地とも言える濃尾平野へと。なにせ濃尾平野をぐるりと取り囲むように百名山が点在している。その平野をひた走る新幹線の車窓からは木曽山脈の恵那山、空木岳、木曽駒ヶ岳。御嶽山、乗鞍岳、霊峰白山、伊吹山など名だたる峰の頂きを拝むことが出来るはずだ。いくら新幹線とはいえ濃尾平野を通過するにはそれなりの時間が必要になる、ということは多くの時間を観察に割けるということだ。ぜひとも百名山の遠望をご堪能いただきたい。

 関ヶ原古戦場を抜け伊吹山の懐を新幹線は駆け抜け東海道新幹線百名山遠望の旅も終点へと向かう。
 次回乗車した折には是非ともそれらの山々を探してみよう。山側の席、二人掛けの窓際に座り、そこから食い入るように山塊の中にある百名山を探し出し、発見したいものだ。

終わりにこの妄想的DTTを繰り広げるのに大いに役立ったのが地図オタク必携のスーパー地形というアプリだ。任意の地点からの見通し判定ができたり、パノラマ展望図が表示できたりと頼もしく、謝辞を呈します。
*DTT(Desk Top Thinking もしくは 大体多分適当に)


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