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母の命日によせて 介護健忘録①「介護の始まりの日•最後の日」

 

8月24日は母の命日です。
母が亡くなり時が経つのは早いもので、6年もの月日が流れました。

この日を機会に、「介護健忘録」を記事にしていこうと思います。
アルツハイマー 認知症だった母の事
母が亡くなった後、すぐに始まった父の看護の日々の事

これから介護を始められる方や
介護を始めたばかりで戸惑っていらっしゃる方、辛い思いをしている方が
私の介護の経験(失敗多数)が、何かのカタチでお役に立てたなら嬉しいです。

今日は母の六回目の命日に寄せて
母の介護の始まりの日と、亡くなる数日前のことを振り返りました。

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(四十九日に記した当時の日記より)

「母が亡くなり四十九日が経ちました。
特別養護施設に入居し、誤嚥性肺炎がきっかけで施設から病院へ。約4か月の入院生活で母は帰らぬ人となりました。

母が病院で意識を失くし危篤状態になってから、限られた時間の面会でしたが、毎日病院へ通っていました。

危篤になり二週間経った日に
看護婦さんが私に声をかけて下さいました。

「これからお母様の洗髪をしようと思うのですが、良かったら一緒に洗って差し上げませんか?」と。
バイタルも徐々に下がり、あと数日の命と主治医から説明があった朝でした。
私自身が母にできるであろう最後の介護の機会を与えてくださった看護婦さんの心使いに感謝し、感謝を込めて母の髪の毛を洗いました。そんな中、私はある方との偶然の出会いとその方からの言葉を思い出していました。

母が認知症になる前は、物忘れや、物をなくすといったことが頻繁になり、
気持ちが塞ぎ込むのか、眠っていることが多くなった母でした。
内科の主治医から、もしかしたらアルツハイマーなどの認知症かもしれないから、脳外科で検査してもらってください。と言われていた矢先のことです。

仕事から戻り、いつものようにドアを開けると
家の中は真っ暗闇。明らかにいつもも何かが違っていました。
リビングの扉を開けると、部屋の隅に蹲り、わけのわからない言葉を叫んでいる母がいました。今朝とは別人のようになってしまった母を観て私も気持ちが動転しました。

ちょうど父は心臓の持病で入院中だったので、1人で対応するしかありません。
タクシーを呼んで救急病院に連れて行き、不安な気持ちで診療を待っていると、1人の女性がやってきました。

その女性は看護婦に荷物を渡して、私と母の横に座りました。
気が動転している私と、訳のわからないことをしゃべったり、突然大声を出す母を観て、私に声をかけてきました。

「失礼ですけど、そちらの方はあなたのお母様ですか?」と。

ことの経緯を説明し、認知症の検査をするように言われていたこともその方に打ち明けていました。

若くして介護を始められることになって、戸惑っていらっしゃることかと思うけど
お母様はきっと大丈夫ですよ。今より落ち着いてくるはずです。とおっしゃいました。

聴くとその女性は、某病院の病院長の奥様で、長らく院内で婦長をされていらっしゃった方でした。
今は引退し、自宅のマンションを認知症の方や、障害を持った方などに解放して、お茶会などのイベントをされているそうです。 

色々お話しする中で、その方が持つ暖かな雰囲気を感じ、不安な気持ちも和らいでいきます。

「介護とは、その方の魂に触れることができるとても尊いことよ。そしてとても楽しいことなのです。
わたし、もう80代半ばなんですけど、介護は楽しいっていう本をこれから書こうと思ってるんですよ。生涯、現役ですよ。」と明るい輝きを放ちながらおっしゃっています。

「そうだ、お母様を私の家に来ないかしら?
みんなでお菓子を食べたり、絵を描いたり、花を生けたりしてるんですよ。」

その方との偶然の時間は、私の不安な気持ちを鎮め、希望すら持てる感覚がするからとても不思議なことでした。


「介護とは、その方の魂に触れることができるとても尊いこと。そしてとても楽しいこと。」


母の洗髪中、今、わたし、お母さんの魂に触れてるんだなとドライヤーで髪を乾かしながら感じていました。
そして、本当の意味で言葉の意味がわかったような気がしたのです。
意識がないので、もう話すことはできないけど、母の魂にはきっと気持ちが届いているに違いないと。

この2日後の朝に母は、息を引き取りました。

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8年間の自宅介護の時間は、大変なことも多かったけれど、子供のようにニコニコ笑うことが多くなった母を見ては癒されてきました。

わたしはといえば、時として辛いこともたくさんあったけど、それ以上にわたしは母のことが大好きで、母からたくさんの幸せと癒しをもらいました。

目に見えないけれど、いつも見守ってくれていることと思います。

この貴重な時間を与えてくれた母と、
介護を支えてくれた方々に心から感謝しています。

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長文、最後までお読みいただきありがとうございます。
要介護3からスタートした、介護生活。
心に残っていることを投稿していこうと思います。

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