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帽子

 頭髪が薄いせいか、いやほとんど無いせいか帽子をよく被る。
髪の毛がないものだから、夏は日除け、冬は寒さ予防と、もう生活の必需品である。
当然ながら、春、秋も被る。
 キャップ、ハット、ニット帽、ベレー帽、麦わら帽といつのまにか、なんでも揃っている。こんなに沢山買っていたのかと、目の前の帽子を見て自分ながら驚く。
 それを横目で見ながら、奥様が一言、 
「こんなに沢山の帽子があっても、かぶる頭は一つしかないのに。一個あればいいのじゃない?」
 その一個の帽子を大切に手に取りながら、外出しようと玄関に行く。
 靴を出そうと靴箱を開ける。
 そこには赤、白、黄色、より取りみどりの女性用靴が、溢れる位に詰めこんである。
 だが、決して、口には出さない。

 世界平和のために。



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